81~90番歌

百人一首の意味と文法解説(82)思ひわびさても命はあるものを憂きに堪へぬは涙なりけり┃道因法師

小倉百人一首解説:和歌の現代語訳・古文単語の意味・文法解説・品詞分解-82

投稿日:2018年3月12日 更新日:

思ひわびさても命はあるものをうきにたへぬは涙なりけり

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小倉百人一首から、道因法師の和歌に現代語訳と品詞分解をつけて、古文単語の意味や、助詞および助動詞の文法知識について整理しました。

また、くずし字・変体仮名で書かれた江戸時代の本の画像も載せております。

ふだん我々が使っている字の形になおした(翻刻と言う)ものと、ひらがなのもとになった漢字(字母)も紹介しておりますので、ぜひ見比べてみてください。

原文

ogura-hyakunin-isshu-82

百人一首(82)思ひわびさても命はあるものを憂きに堪へぬは涙なりけり


画像転載元
国立国会図書館デジタルコレクション
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2541162

翻刻(ほんこく)(普段使っている字の形になおす)

hyakuni-isshu-honkoku-82

百人一首(82)思ひわびさても命はあるものを憂きに堪へぬは涙なりけり

釈文(しゃくもん)(わかりやすい表記)

道因法師
思ひわび さても命は あるものを 憂きに堪へぬは 涙なりけり
 

字母(じぼ)(ひらがなのもとになった漢字)

hyakunin-isshu-jibo-82

百人一首(82)思ひわびさても命はあるものを憂きに堪へぬは涙なりけり

現代語訳(歌意)・文法解説

※この和歌の題やよまれた事情はあきらかでない。

つれない恋人を思いつづけて、もはや物思いにふける気力すら失っても、それでも命はあるのだが、つらさにこらえきれないのは涙で、たえずこぼれ落ちつづけることだ。

思ひわびさても命はあるものを憂きに堪へぬは涙なりけり

思ひわびさても命はあるものを憂きに堪へぬは涙なりけり

※連用中止法。連用形で文が切れずにつづくことを言います。接続助詞の「て」を補っても意味は変わりません。

連用中止法

連用中止法

※過去の助動詞「けり」が和歌で使われる場合、一般的に、詠嘆(えいたん)(~だなあ)の意味で訳します。
 

語釈(言葉の意味)

※特記のないかぎり『岩波 古語辞典 補訂版』(大野晋・佐竹昭広・前田金五郎 編集、岩波書店、1990年)による。
 

詞書(ことばがき)

※詞書とは、和歌がよまれた事情を説明する短い文のことで、和歌の前につけられます。

題不知(だいしらず)(※和歌の題やよまれた事情が明らかでないこと。)

※詞書の引用は『新日本古典文学大系 千載和歌集』(片野達郎・松野陽一、1993年、岩波書店、247ページ)によります。
 

思ひわび

恋人の薄情さを恨みわが身の憂さを歎き悲しんで。(『新日本古典文学大系 千載和歌集』247ページ)
 

わぶ

一〘上二〙
《失意・失望・困惑の情を態度・動作にあらわす意》
①気落ちした様子を外に示す。落胆した様子を見せる。「吾無しとな―・びわが背子ほととぎす鳴かむ五月は玉を貫かさね」〈万三九九七〉。「言はむすべもなくせむすべも知らに、悔しび賜ひ―・び賜ひ」〈続紀宣命五一〉
⑧《動詞連用形について》…する気力を失う。…する力がぬける。「里遠み恋ひ―・びにけりまそ鏡面影さらず夢に見えこそ」〈万二六三四〉
 

さても

一〘接続〙
それにしても。それはそうと。ところで。話題を変える時に用いる。「愛敬のはじめは日選(え)りして聞こし召すべきことにこそ。―、ねのこは幾つか仕うまつらすべうはべらむ」〈源氏葵〉
 

百人一首の現代語訳と文法解説はこちらで確認

こちらは小倉百人一首の現代語訳一覧です。それぞれの歌の解説ページに移動することもできます。

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あきぜに ぎりす はるぎて
あきたの こころてに はるよの
ぬれば こころ かたの
あさふの ひとを ひといさ
あさぼらけ たびは ひとをし
あさぼらけ すてふ くからに
ひきの やこの ととぎす
あはしま びしさに みかもり
あはとも ぶれど みかはら
みての つゆに ばやな
あふとの みのえの のくの
あまかぜ をはやみ しのの
あまはら さごの らさめの
あららむ のおとは ぐりあひて
あらふく のうらに しきや
ありけの わかれ ともに
ありやま のをよ らはで
しへの をかも むぐら
いまむと ちぎりきし やまはに
いまただ ちぎり やまとは
りける やぶる されば
みわび みれば のとを
やまに ばねの よのなか
にきく ながらむ よのなか
おほやま ながへば すがら
おほなく なげつつ こめて
ひわび なげとて わがほは
とだに のよは わがでは
さぎの なにおはば わするる
かぜよぐ なには わすじの
かぜいたみ なには わたのはら
きみがため はなそふ わたのはら
きみがため はないろは ぬれば
らやま

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都内の私立大学 文学部国文学専攻出身
お菓子メーカー勤務のサラリーマン
趣味は歌舞伎鑑賞(2012年~)
歌舞伎の観客のすそ野を広げるには古典教育から見直す必要があると考えているので、このブログで古文にまつわる情報を発信しております。


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