古典文法

古文の動詞の活用と覚え方 – 見分け方のコツは種類の少ないものを暗記すること

古文の動詞の活用と覚え方 - 見分け方のコツは種類の少ないものを暗記すること

投稿日:2018年5月15日 更新日:

古文の動詞の活用表の覚え方と、見分け方について解説します。何も見ないで活用表を書けるようになるまで練習することが重要です。また、動詞の種類を見分けられるようになるには、種類の少ない動詞から覚えることが大切です。

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目次

古文の動詞

まずは、これから解説する動詞が、古典文法全体の中でどの位置にあるのかご覧ください。なお、この表は覚える必要ありません。

単語の分類-動詞

単語の分類-動詞

動詞は活用(かつよう)と言って形が変わります。現代語でも「読む」という動詞が「読まない」と変化するように、古文でも「読まず」と変化します。以上のように、「よむ」が「よま」と形が変わることを活用と言うのです。
 
 

古典の動詞を覚えるための準備

動詞の活用表を覚える前に、まず覚えなければならないことがあります。それは、活用形(かつようけい)のそれぞれの順番です。

●未然(みぜん)
●連用(れんよう)
●終止(しゅうし)
●連体(れんたい)
●已然(いぜん)
●命令(めいれい)

未然形、連用形、終止形、連体形、已然形、命令形、以上の順番で活用表に並んでいるので、順番どおりに覚えましょう。また、覚えるときには自分の手の指を使うと良いです。

未然形・連用形・終止形・連体形・已然形・命令形

未然形・連用形・終止形・連体形・已然形・命令形

古文を読んでいて動詞や助動詞の活用を考えるときに、指を使うと便利です。私は右利きなので、右手でペンを持ちますから、空いているほうの左手の指を使います。覚えた活用形にあわせて小指から順番に上げていくと品詞分解もスムーズにできます。
 
 

古文の動詞の活用表の覚え方

古文の動詞には大きく分けて2つの種類があります。「正格活用(せいかくかつよう)」と「変格活用(へんかくかつよう)」です。

動詞は9種類

動詞は9種類

 
 

少ないものから覚える

少ないもの、例外的なものから覚えます。

変格活用をすべて覚える。「カサナラ変」とまとめます。
下一段(しもいちだん)活用は「ける」のみです。
上一段(かみいちだん)活用は「干(ひ)る」「射(い)る」「着(き)る」「似(に)る」「煮(に)る」「見(み)る」「居(ゐ)る」「率(ゐ)る」の8つです。「ひいきにみゐる」とまとめます。
四段(よだん)・上二(かみに)・下二(しもに)の活用表と見分け方を覚えます。古文の動詞のほとんどが、四段・上二・下二です。
 

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①カサナラ変(変格活用)

変格活用をまとめて覚えましょう。
 
 

カ変

カ変の覚え方は次のとおりです。30回、音読しましょう。

こ、き、く、くる、くれ、こ・こよ

カ変の覚え方

カ変の覚え方

 
 

サ変

サ変の覚え方は次のとおりです。30回、音読しましょう。

せ、し、す、する、すれ、せよ

サ変の覚え方

サ変の覚え方

 
 

ナ変

ナ変の覚え方は次のとおりです。30回、音読しましょう。

な、に、ぬ、ぬる、ぬれ、ね

ナ変の覚え方

ナ変の覚え方

 
 

ラ変

ラ変の覚え方は次のとおりです。30回、音読しましょう。

ら、り、り、る、れ、れ

ラ変の覚え方

ラ変の覚え方

 
 

②下一段「蹴る」

下一段活用動詞「蹴(け)る」の覚え方は次のとおりです。30回、音読しましょう。

け、け、ける、ける、けれ、けよ

下一段「蹴る」の覚え方

下一段「蹴る」の覚え方

 
 

③上一段「ひいきにみゐる」

上一段活用動詞の覚え方は次のとおりです。30回、音読しましょう。

い、い、いる、いる、いれ、いよ

ひいきにみゐる上一段

ひいきにみゐる上一段

 
 

④四段・上二・下二

古文の動詞の中で最も多いのが、四段活用・上二段活用・下二段活用です。それぞれ見ていきましょう。
 
 

四段

四段の覚え方は次のとおりです。30回、音読しましょう。

ア、イ、ウ、ウ、エ、エ

四段活用動詞の覚え方

四段活用動詞の覚え方

 
 

上二段

上二段の覚え方は次のとおりです。30回、音読しましょう。

イ、イ、ウ、ウル、ウレ、イヨ

上二段活用の覚え方

上二段活用の覚え方

 
 

下二段

下二段の覚え方は次のとおりです。30回、音読しましょう。

え、え、う、うる、うれ、えよ

下二段活用の覚え方

下二段活用の覚え方

 
 

見分け方

四段・上二・下二を見分けるには、うしろに「ず」をつけて未然形にします。

・読まず … ア段の音 → 四段活用
・起きず … イ段の音 → 上二段活用
・受けず … エ段の音 → 下二段活用

四段・上二・下二:見分け方

四段・上二・下二:見分け方

 

 

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動詞の活用表一覧

以上をふまえて活用表をご確認ください。

古文の動詞一覧

古文の動詞一覧

何も見ないでこの表を書くことができれば、古文の動詞の活用の基本はできています。まずはこの表が書けるようになるのを目指しましょう。
 

古文が苦手な方はこちらの記事もチェック

古典が苦手な方はこちらの記事もご覧ください。

>> 古典文法の勉強法(基礎編)わかりやすい覚え方で用言の活用形から学ぶ

また、百人一首を品詞分解して現代語訳と文法解説をつけたページもございますので、勉強のテキストとしてぜひご利用ください。

>> 百人一首の現代語訳一覧(わかりやすい意味と解説で恋の歌も簡単に理解)

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  1. さんさん より:

    動詞の活用の種類と活用形を答える問題があり、種類の方は分かるのですが活用形を答えるのがわかりません。
    やり方がわからないです。

    • 本田 より:

      コメントをありがとうございます。

      >>種類の方は分かるのですが活用形を答えるのがわかりません。

      たとえば、「舅(しうと)にほめらるる婿(むこ)」という言葉の中の、「ほめ」の種類と活用形を答えさせる問題があった時に、「マ行下二段活用の『ほむ』だということは分かるけれど、未然形であることが分からない」ということでしょうか?

      もしも、そうであるならば、助動詞の接続を覚える必要があります。

      この例の中の「らるる」は、受身の助動詞「らる」の連体形です。助動詞「らる」は、四段・ナ変・ラ変以外の未然形に接続します。

      「ほむ」は下二段活用動詞で、未然形は「ほめ」です。したがって、助動詞「らる」に接続する形として適切です。

      うまく回答できているか分かりませんが、いかがでしょうか。

      ちなみに、私が古文のすべての助動詞について、意味や接続、活用、勉強法などを解説し、まとめた記事がございますので、よろしければそちらも合わせてご参照くださいませ。ご参考になれば幸いです。

      >>https://honda-n2.com/kobun-jodoushi

  2. 名無しの人物 より:

    ひいきにみゐるのもっと良い覚え方ってあります?

    • 本田 より:

      コメントありがとうございます。

      私の高校時代の古文の先生は「ひいきみにゐゐ」と仰っていましたが、「ひいきにみゐる」とそれほど変わらないかなと思います。

      私も色々と考えてみましたが、思い浮かばないので、より良い覚え方があれば私も教えてほしいです……。良い回答ができず、申し訳ありません。

    • 匿名 より:

      僕はきみにいゐひ(君に良い日)と教えられました

      • 本田 より:

        コメントありがとうございます。

        「君に良い日」、良いですね!

        覚えやすくて素敵だと思います。貴重なご意見、ありがとうございます!

  3. lil peep より:

    定期試験対策で見に来ましたがわかりやすすぎてすぐに覚えることができました!
    ありがとうございます!!

    • 本田 より:

      コメントありがとうございます。

      こちらこそ、お役に立てて幸いです!
      今後も有益なコンテンツをお届けできるように頑張ります。

  4. SOON より:

    この記事をみて、全然理解できなかった動詞について理解できました!
    ありがとうございました!
    質問なのですが、一人でできる効率の良い勉強のしかたを教えてもらいたいです。

    • 本田 より:

      コメントをお寄せいただきありがとうございます。記事がお役に立てたようで嬉しいです。

      一人でできる効率の良い勉強方法についてですが、教科書や参考書の内容を覚える作業(インプット)の後に、問題演習をすること(アウトプット)が大切だと思います。

      ①問題演習を通して苦手分野を把握する
      ②苦手分野を教科書や参考書で復習する
      ③同じ問題を解く

      以上の①~③のステップを繰り返すのが効率の良い勉強法だと考えています。

      また、問題集は1度解いたら終わりではなく、2回、3回と繰り返すのが理想的です。

      市販の問題集なら何でもよいのですが、一人で読んでも十分理解できるくらい丁寧に解説が作られている本が良いと思います。

      古文の場合、この記事(https://honda-n2.com/kobun-kotenbunpou-sankousho)でも言及していますが、例えば『中堅私大古文演習 (河合塾SERIES)』(河合出版・1999年)は解説が詳しくておすすめです。

      それから、古文を品詞分解しながら読むのも良い訓練になります。ノートの作り方は以下の記事でご紹介しているので、よろしければこちらもご覧ください。

      >>古文のノートの作り方・取り方・書き方

  5. 匿名 より:

    綺麗で見やすいです。ありがとうございました。

  6. 匿名ちゃん より:

    コメント失礼します                                      
    動詞の活用形を覚えたのですがすぐ頭からぬけてしまいます。
    もしよろしければこれらの勉強の仕方について教えてもらえませんか。

    • 本田 より:

      コメントありがとうございます。

      動詞の活用形をある程度、覚えたら、古文の読解練習に取り組むことをおすすめします。文章を読んでみて、意味がよく分からない箇所も出てくるはずですが、その場合は、文法や単語の意味の確認など、基礎に立ち返って勉強すると、効率的に勉強できるかなと思われます。

      おすすめの勉強方法
      1. 基礎の勉強(文法や単語の学習)
      2. 読解練習
      上記の1と2の繰り返し

      読解練習に使う教材ですが、当サイトで『更級日記』の品詞分解・現代語訳を公開していますので(※2023年2月4日時点では作成途中)、こちらを教材としてご利用いただいてもよろしいかと思われます。

      >> 更級日記【あこがれ/門出/東路の道の果て】冒頭の品詞分解・現代語訳・原文と内容を解説
      >> 更級日記【梅の立ち枝/継母との別れ/物語/源氏の五十余巻/猫】品詞分解・現代語訳・内容を解説

      ちなみに、『更級日記』の本文は、岩波文庫(1963年)や、新日本古典文学大系(1989年・岩波書店)、新編日本古典文学全集(1994年・小学館)などで読めます。

      もちろん、学校で使われる古文の教科書で読解練習をしてもよいのですが、教科書には詳細な解説が付いておらず、独習のテキストに向いていません。当サイトで独習に使えそうな教材を公開する予定ですので、今後ともご利用いただければ幸いです。

      それから、音読がおすすめです。読解練習に使った文章を、勉強した内容を意識しながら何度か音読します。私は高校生の頃、英語や古文の勉強で音読をよくしていました。

      • 匿名 より:

        ありがとうございました!
        参考してみます!!
        本当にありがとうございました!!!!!

        • 本田 より:

          こちらこそ貴重なご意見をありがとうございました。今後ともご利用のほど、よろしくお願いいたします。

  7. 匿名 より:

    とても分かりやすかったです!!
    明日の定期テストも乗り越えられそうです!

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