91~100番歌

百人一首の意味と文法解説(93)世の中は常にもがもな渚こぐあまの小舟の綱手かなしも┃鎌倉右大臣(源実朝)

小倉百人一首解説:和歌の現代語訳・古文単語の意味・文法解説・品詞分解-93

投稿日:2018年3月12日 更新日:

世の中は常にもがもな渚漕ぐあまのをぶねのつなでかなしも

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小倉百人一首から、鎌倉右大臣(源実朝)の和歌に現代語訳と品詞分解をつけて、古文単語の意味や、助詞および助動詞の文法知識について整理しました。

また、くずし字・変体仮名で書かれた江戸時代の本の画像も載せております。

ふだん我々が使っている字の形になおした(翻刻と言う)ものと、ひらがなのもとになった漢字(字母)も紹介しておりますので、ぜひ見比べてみてください。

原文

ogura-hyakunin-isshu-93

百人一首(93)世の中は常にもがもな渚こぐあまの小舟の綱手かなしも


画像転載元
国立国会図書館デジタルコレクション
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2541162

翻刻(ほんこく)(普段使っている字の形になおす)

hyakuni-isshu-honkoku-93

百人一首(93)世の中は常にもがもな渚こぐあまの小舟の綱手かなしも

釈文(しゃくもん)(わかりやすい表記)

鎌倉右大臣
世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ あまの小舟の 綱手かなしも
 

字母(じぼ)(ひらがなのもとになった漢字)

hyakunin-isshu-jibo-93

百人一首(93)世の中は常にもがもな渚こぐあまの小舟の綱手かなしも

現代語訳(歌意)・文法解説

※この和歌の題やよまれた事情はあきらかでない。

世の中は変わらないものであってほしいことよ。なぎさを漕ぐ漁師が小舟を綱でひいていく様子が悲しく感じられる。

世の中は常にもがもな渚こぐあまの小舟の綱手かなしも

世の中は常にもがもな渚こぐあまの小舟の綱手かなしも

※二句切れ。
 

語釈(言葉の意味)

※特記のないかぎり『岩波 古語辞典 補訂版』(大野晋・佐竹昭広・前田金五郎 編集、岩波書店、1990年)による。
 

詞書(ことばがき)

※詞書とは、和歌がよまれた事情を説明する短い文のことで、和歌の前に置かれます。

題しらず(※和歌の題やよまれた事情が明らかでないこと。)

※詞書の引用は『和歌文学大系 新勅撰和歌集』(中川博夫、2005年、明治書院、101ページ)によります。
 

もがも

〘助〙
《終助詞モガに更にモを後で加えた語。平安時代にはモガナに転じる》
①…が欲しい。「君が行く道の長手を繰りたたね焼き亡ぼさむ天の火―」〈万三七二四〉
②…でありたい。…であって欲しい。「天地(あめつち)とともに―と思ひつつ」〈万三六九一〉。「万代にかくし―と」〈万四七八〉。「天橋も長く―、高山も高く―」〈万三二四五〉
 

つなで【綱手】

船具の一。船を引く綱。「人言は暫(しま)しそ吾妹―引く海ゆまさりて深くし思ふを」〈万二四三八〉。「牽―、豆奈天(つなで)、挽船縄也」〈和名抄〉
 

かなし

心底の痛切な感情を表す語。(『和歌文学大系 新勅撰和歌集』101ページ)
 

(前略)
 終助詞としては、主に奈良時代に例があって、形容詞終止形を承けるものが極めて多い。動詞終止形、あるいは否定形を承けることもあるが、これらの「も」は、用言の叙述を言い放たずに、不確定の意を添えてその表現をやわらげるものと思われる(3)。平安時代以後、文末にはあまり使われなくなった。(中略)

(3)「難波潟潮干なありそね沈みにし妹がすがたを見まく苦し」〈万二二九〉「佐保山をおぼに見しかど今見れば山なつかし風吹くなゆめ」〈万一三三三〉(後略)
 

百人一首の現代語訳と文法解説はこちらで確認

こちらは小倉百人一首の現代語訳一覧です。それぞれの歌の解説ページに移動することもできます。

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あきぜに ぎりす はるぎて
あきたの こころてに はるよの
ぬれば こころ かたの
あさふの ひとを ひといさ
あさぼらけ たびは ひとをし
あさぼらけ すてふ くからに
ひきの やこの ととぎす
あはしま びしさに みかもり
あはとも ぶれど みかはら
みての つゆに ばやな
あふとの みのえの のくの
あまかぜ をはやみ しのの
あまはら さごの らさめの
あららむ のおとは ぐりあひて
あらふく のうらに しきや
ありけの わかれ ともに
ありやま のをよ らはで
しへの をかも むぐら
いまむと ちぎりきし やまはに
いまただ ちぎり やまとは
りける やぶる されば
みわび みれば のとを
やまに ばねの よのなか
にきく ながらむ よのなか
おほやま ながへば すがら
おほなく なげつつ こめて
ひわび なげとて わがほは
とだに のよは わがでは
さぎの なにおはば わするる
かぜよぐ なには わすじの
かぜいたみ なには わたのはら
きみがため はなそふ わたのはら
きみがため はないろは ぬれば
らやま

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都内の私立大学 文学部国文学専攻出身
お菓子メーカー勤務のサラリーマン
趣味は歌舞伎鑑賞(2012年~)
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