41~50番歌

百人一首の意味と文法解説(46)ゆらのとをわたる舟人かぢをたえ行方も知らぬ恋の道かな┃曽祢好忠

小倉百人一首解説:和歌の現代語訳・古文単語の意味・文法解説・品詞分解-46

投稿日:2018年3月12日 更新日:

由良の門をわたる舟人かぢをたえゆくへも知らぬ恋の道かな

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小倉百人一首から、曽祢好忠の和歌に現代語訳と品詞分解をつけて、古文単語の意味や、助詞および助動詞の文法知識について整理しました。

また、くずし字・変体仮名で書かれた江戸時代の本の画像も載せております。

ふだん我々が使っている字の形になおした(翻刻と言う)ものと、ひらがなのもとになった漢字(字母)も紹介しておりますので、ぜひ見比べてみてください。

原文

ogura-hyakunin-isshu-46

百人一首(46)ゆらのとをわたる舟人かぢをたえ行方も知らぬ恋の道かな

画像転載元
国立国会図書館デジタルコレクション
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2541162

翻刻(ほんこく)(普段使っている字の形になおす)

hyakuni-isshu-honkoku-46

百人一首(46)ゆらのとをわたる舟人かぢをたえ行方も知らぬ恋の道かな

釈文(しゃくもん)(わかりやすい表記)

曽祢好忠
由良のとを 渡る舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな
 

字母(じぼ)(ひらがなのもとになった漢字)

hyakunin-isshu-jibo-46

百人一首(46)由良の門をわたる舟人かぢをたえ行方も知らぬ恋の道かな

現代語訳(歌意)・文法解説

由良の水路を漕いで渡る舟人がかじを失って困りはてるように、行方もわからない恋の道であることだ。

由良の門をわたる舟人かぢをたえ行方も知らぬ恋の道かな

由良の門をわたる舟人かぢをたえ行方も知らぬ恋の道かな

※助動詞の解説は「古典の助動詞の活用表の覚え方」をご覧ください。
 

語釈(言葉の意味)

※特記のないかぎり『岩波 古語辞典 補訂版』(大野晋・佐竹昭広・前田金五郎 編集、岩波書店、1990年)による。
 

由良の門(ゆらのと)

○由良の門
契沖(けいちゅう)(※1640~1701年)は作者が丹後掾(たんごのじょう)に任じたことから丹後国とするが、八雲御抄(やくもみしょう)(※順徳天皇が書いた歌学書)五は紀伊国(きいのくに)とする。「と」は門で、陸地に挟まれ水路の狭くなった所。海峡、湾口、川口等で、港や渡しがあった。(『新日本古典文学大系 新古今和歌集』田中裕・赤瀬信吾、1992年、岩波書店、319ページ)

●ゆら【由良】

(前略)ところが、『百人一首』にもとられて有名な曾根好忠の歌「由良の門(と)を渡る舟人揖(かぢ)を絶えゆくへも知らぬ恋の道かな」(新古今集・恋一)の「由良の門(と)」に限って丹後国とする説がかなり強いのである。作者曾根好忠が丹後掾になっていることから、丹後国、今の宮津市の由良、すなわち由良川の河口とするわけである。もっとも、丹後掾になったから丹後の由良でなければならぬという理由は何もなく、それ以後も丹後国の歌枕と断定できる用例は全く見出せぬが、源俊頼の『散木奇歌集』に「与謝(よさ)の浦(うら)に島がくれゆく釣舟のゆくへも知らぬ恋もするかな」という、好忠の歌を本歌にしたかと思える歌があり、それが「与謝の浦」すなわち丹後国与謝郡の浦と規定していることを思うと、少なくとも俊頼が「由良(ゆら)の門(と)」を丹後と見ていたことは確かと言わなければなるまい。(後略)
『歌枕 歌ことば辞典』片桐洋一、笠間書院、1999年

●と【戸・門】
①出入口。「後(しり)つ―よ(ヨリ)い行き違ひ」〈紀歌謡二二〉
②狭い通り路。出入りの路。「奈良〔ヘノ〕―よりは跛(あしなへ)・盲(めしひ)あはむ」〈記垂仁〉
③水の出入口。瀬戸。「由良の―の―中のいくり(岩)に」〈記歌謡七四〉
 

補足:由良の門

※由良の門は丹後の国(今の京都府)と考えるのが一般的です。

由良の門:ゆらのとをわたる舟人かぢをたえ行方も知らぬ恋の道かな

由良の門:ゆらのとをわたる舟人かぢをたえ行方も知らぬ恋の道かな

(※京都府宮津市の地図は「海の京都」天橋立観光ガイドで見られます。)
(※由良川については京都府のホームページをご覧ください。)
 

かぢ

●かぢ【梶・楫・檝】
①舟をこぎ進める道具。櫓(ろ)や櫂(かい)の総称。「入江漕ぐなる―の音の」〈万四〇六五〉。「檝、和名加遅(かぢ)、使舟捷疾也」〈和名抄〉

○かぢ
櫓(ろ)・櫂(かい)。今の舵(かじ)ではない。(『新日本古典文学大系 新古今和歌集』319ページ)
 

百人一首の現代語訳と文法解説はこちらで確認

こちらは小倉百人一首の現代語訳一覧です。それぞれの歌の解説ページに移動することもできます。

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あきぜに ぎりす はるぎて
あきたの こころてに はるよの
ぬれば こころ かたの
あさふの ひとを ひといさ
あさぼらけ たびは ひとをし
あさぼらけ すてふ くからに
ひきの やこの ととぎす
あはしま びしさに みかもり
あはとも ぶれど みかはら
みての つゆに ばやな
あふとの みのえの のくの
あまかぜ をはやみ しのの
あまはら さごの らさめの
あららむ のおとは ぐりあひて
あらふく のうらに しきや
ありけの わかれ ともに
ありやま のをよ らはで
しへの をかも むぐら
いまむと ちぎりきし やまはに
いまただ ちぎり やまとは
りける やぶる されば
みわび みれば のとを
やまに ばねの よのなか
にきく ながらむ よのなか
おほやま ながへば すがら
おほなく なげつつ こめて
ひわび なげとて わがほは
とだに のよは わがでは
さぎの なにおはば わするる
かぜよぐ なには わすじの
かぜいたみ なには わたのはら
きみがため はなそふ わたのはら
きみがため はないろは ぬれば
らやま

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都内の私立大学 文学部国文学専攻出身
お菓子メーカー勤務のサラリーマン
趣味は歌舞伎鑑賞(2012年~)
歌舞伎の観客のすそ野を広げるには古典教育から見直す必要があると考えているので、このブログで古文にまつわる情報を発信しております。


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