21~30番歌

百人一首の意味と文法解説(29)心あてに折らばや折らむ初霜のおきまどはせる白菊の花┃凡河内躬恒

小倉百人一首解説:和歌の現代語訳・古文単語の意味・文法解説・品詞分解-29

投稿日:2018年3月11日 更新日:

こころあてに折らばや折らむはつしものおきまどはせる白菊の花

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小倉百人一首から、凡河内躬恒の和歌に現代語訳と品詞分解をつけて、古文単語の意味や、助詞および助動詞の文法知識について整理しました。

また、くずし字・変体仮名で書かれた江戸時代の本の画像も載せております。

ふだん我々が使っている字の形になおした(翻刻と言う)ものと、ひらがなのもとになった漢字(字母)も紹介しておりますので、ぜひ見比べてみてください。

原文

ogura-hyakunin-isshu-29

百人一首(29)心あてに折らばや折らむ初霜のおきまどはせる白菊の花


画像転載元
国立国会図書館デジタルコレクション
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2541162

翻刻(ほんこく)(普段使っている字の形になおす)

hyakuni-isshu-honkoku-29

百人一首(29)心あてに折らばや折らむ初霜のおきまどはせる白菊の花

釈文(しゃくもん)(わかりやすい表記)

凡河内躬恒
心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花
 

字母(じぼ)(ひらがなのもとになった漢字)

hyakunin-isshu-jibo-29

百人一首(29)心あてに折らばや折らむ初霜のおきまどはせる白菊の花

現代語訳(歌意)・文法解説

※白菊の花をよんだ歌。

当て推量に、もし折るならば折ろうか。初霜が置いて区別できなくなっている白菊の花を。

折らばや折らむ

折らばや折らむ


e + ら・り・る・れ:置きまどはせる白菊の花

e + ら・り・る・れ:置きまどはせる白菊の花

体言止め(たいげんどめ)。和歌を体言(名詞)でしめくくることを言います。「白菊の花」という名詞で和歌が終わります。

※接続助詞や係助詞の解説は「古典の助詞の覚え方」をご覧ください。

※已然形に接続する助動詞「り」の解説は「古典の助動詞の活用表の覚え方」でご確認ください。
 

語釈(言葉の意味)

※特記のないかぎり『岩波 古語辞典 補訂版』(大野晋・佐竹昭広・前田金五郎 編集、岩波書店、1990年)による。
 

詞書(ことばがき)

※詞書とは和歌の前についている短い説明文のことです。

白菊の花を、よめる(白菊の花をよんだ歌)

※引用は『新日本古典文学大系 古今和歌集』小島憲之・新井栄蔵、岩波書店、1989年、94ページから。

こころあて【心当て】

①当て推量。「―に、それかかれかなど問ふに、言ひ当つるもあり」〈源氏帚木〉
 

(※疑問の係助詞)
 

はつしも【初霜】

秋も末になって初めて置く霜。「心あてに折らばや折らん―の置きまどはせる白菊の花」〈古今二七七〉
 

まどはせる

●まどは・しマドワシ【惑はし】
〘四段〙《マドヒの他動詞形。古くはマトハシと清音》
①どう行けばよいか、わからなくさせる。行く手を見失わせる。「〔敵ヲ〕神風にい吹き―・し」〈万一九九〉。「声立てて泣きぞしぬべき秋霧に友―・せる鹿にはあらねど」〈後撰三七二〉
③見誤らせる。区別できなくする。「心あてに折らばや折らむ初霜の置き―・せる白菊の花」〈古今二七七〉
 
●る
(※存続の助動詞「り」連体形。已然形に接続。動詞の母音e+ら・り・る・れ:存続か完了。)
 

作者:凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)について

凡河内躬恒の生没年は未詳です。生まれた年も死んだ年もよくわかっていません。
 

古今和歌集(こきんわかしゅう)

延喜(えんぎ)5年(905)、醍醐(だいご)天皇の勅命(ちょくめい)により最初の勅撰和歌集、『古今和歌集』がつくられたときには、紀貫之(きのつらゆき)を中心として、紀友則(きのとものり)、壬生忠岑(みぶのただみね)とともに撰者の一人として編纂にたずさわりました。

「勅撰」は天皇の命令でつくること

「勅撰」は天皇の命令でつくること


 

三十六歌仙(さんじゅうろっかせん)

躬恒は三十六歌仙の一人にかぞえられます。

三十六歌仙とは、平安時代中期に藤原公任(ふじわらのきんとう)(966~1041年)がつくった『三十六人集』(『三十六人撰』とも言う)にもとづく36人のすぐれた歌人のことです。

人麿・貫之・躬恒・伊勢・家持・赤人・業平・遍昭・素性・友則・猿丸大夫・小町・兼輔・朝忠・敦忠・高光・公忠・忠岑・斎宮女御・頼基・敏行・重之・宗于・信明・清正・順・興風・元輔・是則・元真・小大君・仲文・能宣・忠見・兼盛・中務

人麿・貫之・躬恒・伊勢・家持・赤人・業平・遍昭・素性・友則・猿丸大夫・小町・兼輔・朝忠・敦忠・高光・公忠・忠岑・斎宮女御・頼基・敏行・重之・宗于・信明・清正・順・興風・元輔・是則・元真・小大君・仲文・能宣・忠見・兼盛・中務


 

百人一首の現代語訳と文法解説はこちらで確認

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あきぜに ぎりす はるぎて
あきたの こころてに はるよの
ぬれば こころ かたの
あさふの ひとを ひといさ
あさぼらけ たびは ひとをし
あさぼらけ すてふ くからに
ひきの やこの ととぎす
あはしま びしさに みかもり
あはとも ぶれど みかはら
みての つゆに ばやな
あふとの みのえの のくの
あまかぜ をはやみ しのの
あまはら さごの らさめの
あららむ のおとは ぐりあひて
あらふく のうらに しきや
ありけの わかれ ともに
ありやま のをよ らはで
しへの をかも むぐら
いまむと ちぎりきし やまはに
いまただ ちぎり やまとは
りける やぶる されば
みわび みれば のとを
やまに ばねの よのなか
にきく ながらむ よのなか
おほやま ながへば すがら
おほなく なげつつ こめて
ひわび なげとて わがほは
とだに のよは わがでは
さぎの なにおはば わするる
かぜよぐ なには わすじの
かぜいたみ なには わたのはら
きみがため はなそふ わたのはら
きみがため はないろは ぬれば
らやま

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運営者 : honda
都内の私立大学 文学部国文学専攻出身
お菓子メーカー勤務のサラリーマン
趣味は歌舞伎鑑賞(2012年~)
歌舞伎の観客のすそ野を広げるには古典教育から見直す必要があると考えているので、このブログで古文にまつわる情報を発信しております。


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