81~90番歌

百人一首の意味と文法解説(89)玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする┃式子内親王

小倉百人一首解説:和歌の現代語訳・古文単語の意味・文法解説・品詞分解-89

投稿日:2018年3月12日 更新日:

玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることのよわりもぞする

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小倉百人一首から、式子内親王の和歌に現代語訳と品詞分解をつけて、古文単語の意味や、助詞および助動詞の文法知識について整理しました。

また、くずし字・変体仮名で書かれた江戸時代の本の画像も載せております。

ふだん我々が使っている字の形になおした(翻刻と言う)ものと、ひらがなのもとになった漢字(字母)も紹介しておりますので、ぜひ見比べてみてください。

原文

ogura-hyakunin-isshu-89

百人一首(89)玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする


画像転載元
国立国会図書館デジタルコレクション
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2541162

翻刻(ほんこく)(普段使っている字の形になおす)

hyakuni-isshu-honkoku-89

百人一首(89)玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする

釈文(しゃくもん)(わかりやすい表記)

式子内親王
玉の緒よ 絶えなば絶えね 長らへば 忍ぶることの 弱りもぞする
 

字母(じぼ)(ひらがなのもとになった漢字)

hyakunin-isshu-jibo-89

百人一首(89)玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする

現代語訳(歌意)・文法解説

※百首歌の中に「忍ぶ恋」という題でよんだ歌。

私の命よ、絶えてしまうならば絶えてしまえ。生き長らえていたら、胸の内に秘める力が弱まって、秘めていられなくなってしまうと困るから。

玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする

玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする

二句切れ

※「絶えなば」の「」は、強意・完了の助動詞「ぬ」の未然形です。活用は「な に ぬ ぬる ぬれ ね」です。連用形に接続します。連用形接続の助動詞はぜんぶで、「き・けり・つ・ぬ・たり・たし・けむ」の7種類です。助動詞の解説は「古典の助動詞の活用表の覚え方」にまとめましたので、その他の助動詞も確認してみてください。

※「未然形 + ば」の形で、「もしも~ならば」の意味を表します。

順接仮定条件

順接仮定条件

「已然形 + ば」(~なので、~すると)と区別できるようにするのが大切です。くわしい解説は「古典の助詞の覚え方」をご覧ください。

縁語(えんご)。ある言葉から連想される「縁(えん)」のある言葉のことです。
 

語釈(言葉の意味)

※特記のないかぎり『岩波 古語辞典 補訂版』(大野晋・佐竹昭広・前田金五郎 編集、岩波書店、1990年)による。
 

詞書(ことばがき)

※詞書とは、和歌のよまれた事情を説明する短い文のことで、和歌の前に置かれます。

百首歌の中に忍恋を(※百首歌の中に「忍ぶ恋」という題でよんだ歌。)

※詞書の引用は『新日本古典文学大系 新古今和歌集』(田中裕・赤瀬信吾、1992、岩波書店、310ページ)によります。
 

たまのを【玉の緒】

①玉をつらぬいた緒。「―を片緒に搓(よ)りて緒を弱み乱るる時に恋ひずあらめやも」〈万三〇八一〉
③《魂(たま)を身体につないでおく緒の意で》命。「ぬきもあへずもろき涙の―に長き契をいかが結ばむ」〈源氏総角〉

○玉の緒
玉を連ねた長い緒で、命をいう。「絶え」「ながらへ」「よわり」は緒の縁語。(『新日本古典文学大系 新古今和歌集』310ページ)
 

ながらへ

生き長らえる意と緒の長く延びる意を掛ける。(『新日本古典文学大系 新古今和歌集』310ページ)
 

しの・び【忍び・隠び】

一〘上二〙
①じっとこらえる。じっと我慢する。「万代と心は解けてわが背子が抓(つ)みし(ツネッタ)手見つつ―・びかねつも」〈万三九四〇〉。「―・ぶれど涙こぼれそめぬれば」〈源氏帚木〉
 

もぞ

〘助〙《不確実な推量や、打消と呼応する係助詞モと、強調を示す係助詞ゾとの複合語》
①将来に対する危惧・懸念を表わす。…といけないから。…と困るから。「あなかま。人に聞かすな。煩はしき事―ある」〈源氏手習〉。「人あなづられなる事ども―あらまし」〈源氏薄雲〉
 

百人一首の現代語訳と文法解説はこちらで確認

こちらは小倉百人一首の現代語訳一覧です。それぞれの歌の解説ページに移動することもできます。

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あきぜに ぎりす はるぎて
あきたの こころてに はるよの
ぬれば こころ かたの
あさふの ひとを ひといさ
あさぼらけ たびは ひとをし
あさぼらけ すてふ くからに
ひきの やこの ととぎす
あはしま びしさに みかもり
あはとも ぶれど みかはら
みての つゆに ばやな
あふとの みのえの のくの
あまかぜ をはやみ しのの
あまはら さごの らさめの
あららむ のおとは ぐりあひて
あらふく のうらに しきや
ありけの わかれ ともに
ありやま のをよ らはで
しへの をかも むぐら
いまむと ちぎりきし やまはに
いまただ ちぎり やまとは
りける やぶる されば
みわび みれば のとを
やまに ばねの よのなか
にきく ながらむ よのなか
おほやま ながへば すがら
おほなく なげつつ こめて
ひわび なげとて わがほは
とだに のよは わがでは
さぎの なにおはば わするる
かぜよぐ なには わすじの
かぜいたみ なには わたのはら
きみがため はなそふ わたのはら
きみがため はないろは ぬれば
らやま

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都内の私立大学 文学部国文学専攻出身
お菓子メーカー勤務のサラリーマン
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歌舞伎の観客のすそ野を広げるには古典教育から見直す必要があると考えているので、このブログで古文にまつわる情報を発信しております。


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