歌舞伎を見にいきたいと思ったらまず何をすれば良いでしょうか?初心者の方はチケットの買い方や座席、食事など、よくわからないことがいろいろあると思います。初めての方が歌舞伎を見にいくときのポイントや楽しみ方をご紹介します。(※役者名は敬称略表記)
目次
演目の選び方
私はほとんどの場合、役者によって見る演目を決めています。もちろん、有名な作品の中でまだ見ていないものがあれば、役者に興味がなくても見に行くことはありますが、舞台の良し悪しは演じる役者に大きく左右されると思っているので、基本的には「この俳優が出演するから見てみたい」「この俳優には興味がないから見に行かない」という基準で、見にいく演目を選んでいます。
ですから初心者の方も、テレビ番組でよく見かける歌舞伎役者が出演する舞台を見てみる、というのも演目を選ぶ基準の一つになると思います。
どの劇場で何を上演しているか調べる
歌舞伎を見たい場合はどこで何を上演しているのか調べる必要があります。
✿関東の主な劇場✿
劇場 | 公演月 |
歌舞伎座 | 毎月 |
国立劇場 | 1・3・6・7・10・11・12月 |
新橋演舞場 | 不定期 |
明治座 | 不定期 |
江戸川区総合文化センターや横須賀芸術劇場など、公立のホールでも巡業公演がおこなわれる場合がありますので、歌舞伎が上演される劇場はさまざまだと言えますが、毎月のように公演をおこなっているのは東京の銀座にある歌舞伎座です。歌舞伎座周辺には歌舞伎の興行主である松竹株式会社のビルや、出演者たちの稽古場などもあるので、銀座は歌舞伎の演者たちにとって本拠地とも言うべき場所です。
個人的には国立劇場でおこなわれる1月の通し狂言と、6・7月の歌舞伎鑑賞教室が、価格もリーズナブルでチケットが取りやすく、内容も充実していることが多いのでおすすめなのですが、このページでは、毎月公演があり一幕見席(ひとまくみせき)という当日券もある歌舞伎座の場合についてご紹介します。
>>関連:歌舞伎座の見学コースを紹介!木挽町広場と屋上は無料で入れる観光スポット
歌舞伎美人のサイトを見る
松竹が運営する歌舞伎の公式サイト「歌舞伎美人(かぶきびと)」から、歌舞伎座で何が上演されているか確認します。
①歌舞伎座の公演情報を確認
②チラシを拡大して演目を確認することができます。「公演詳細」のボタンを押せば購入方法を選択する画面に移動します。
③購入方法を選択する画面。
おすすめの演目は?
初心者の方は舞踊か、話の内容がわかりやすい通し狂言を見るのが良いと思います。舞踊の場合は詞章がわからなくても、音楽を聞いたり衣装や化粧を見たりして楽しめます。いっぽう、通し狂言は作品の冒頭から終わりまで上演することで、話の筋を追うのが簡単です。かつて歌舞伎は一日がかりで上演することが多かったのですが、これでは見るのが大変なので、有名な場面や人気のある場面だけをピックアップして上演されるようになりました。これをみとり狂言と言って、現在の歌舞伎座ではこのスタイルが主流です。しかしながら、私は、話の内容がわかりづらくなるうえに、複数の演目を何の脈絡もなく並べるみとり狂言があまり好きではありません。ですから、初心者の方もできれば通し狂言を見たほうが良いのではないかと思っています。
おすすめの演目については、私が初心者向けの演目を選んで公開中ですので、参考程度にご覧ください。
チケットを買う方法
チケットを買う方法は主に3種類です。
①インターネット(チケットWeb松竹)
②電話(チケットホン松竹)
③窓口(木挽町広場)
①チケットWeb松竹
チケットをインターネットで購入するにはユーザー登録が必要です。
支払いはクレジットカードです。チケットを予約できたら歌舞伎座にある発券機で発券します。観劇当日に(それより前でも発券可能)、支払いに使ったクレジットカードを持参して、発券機に入れるとチケットが出てきます。
②チケットホン松竹
電話で予約したチケットは歌舞伎座の窓口で受け取れます。支払いは現金かクレジットカードですが、劇場によって条件が異なるようなので、オペレーターにご確認ください。
③窓口
歌舞伎座地下2階「木挽町(こびきちょう)広場」の窓口で残席があれば購入できます。
チケットの価格
チケットの価格は下記の通りです。
席種 | 価格(税込) |
1階桟敷席 | ¥20000 |
1等席 | ¥18000 |
2等席 | ¥14000 |
3階A席 | ¥6000 |
3階B席 | ¥4000 |
チケットを買う時のポイント
私は庶民なので、いつも買うのは最も安い3階B席です。3階席の場合、舞台を上から見わたせるのが特長ですが、花道はすべて見えません。見えるのはスッポンと呼ばれる昇降装置のあたりまでですが、役者が演技をするのは主にこのあたりまでなので、花道がすべて見えなくても問題ありません。3階席の中で花道が見やすいのは右側のほうです。視界に角度がつくので、ほんの少しだけ花道が見やすくなると思われます。ちなみに、2階席は頭上に3階席があるので、舞台が見づらいということはありませんが多少の圧迫感を覚える恐れがあり、個人的にはおすすめしません。
座席の良し悪しについて少し書きましたが、正直に申し上げると、初心者の方が安めのチケット(3階A・B席)を手に入れるのは非常にむずかしいと思います。歌舞伎座のチケットの一般販売開始は上演される前の月の12日です。しかし、その前に松竹歌舞伎会会員を対象とした先行販売が8~10日にかけておこなわれますので、人気の演目は12日の一般発売を前に売り切れます。特に、テレビ番組の露出が多い役者や、世間一般的に「イケメン」として知られる人気俳優が出演する場合は、チケットの売れるスピードが速い印象があります。例を挙げると、市川猿之助や坂東玉三郎、市川海老蔵などです。
ただし場合によっては、ローソンチケットなどが座席をおさえていることもあるので、そちらに問い合わせれば3Aや3Bのチケットを買えるかもしれません。
チケットがとれない場合は一幕見席
チケットが取れない場合、一幕見席という当日券で歌舞伎を見ることも可能です。歌舞伎座の一幕見席の特徴やチケットの買い方はこちらをご覧ください。
>>歌舞伎座の一幕見席は初心者も安く買える当日券!チケットの買い方と注意点は?
事前の準備や持ち物
あらすじを確認
松竹が配布しているチラシの裏にあらすじが書いてあるので目を通します。あらすじを確認したほうが作品を理解しやすくなるので読んでおいたほうが良いと思います。チラシはもちろん無料で、歌舞伎座に置いてあります。
あると便利な持ち物
双眼鏡と上着、コーヒーがあると便利です。
歌舞伎座は冷房が寒く感じるときがあるので、一枚上に羽織るものを持参すると便利です。また、場内のスタッフに頼めばひざ掛けを借りることもできます。チケットを見せれば座席まで持ってきてくれます。
それから、私は上演中に眠くならないように、開演前に必ずコーヒーを飲みます。
>>歌舞伎鑑賞におすすめのオペラグラス。観劇用の双眼鏡を紹介。
服装
こちらの記事にも書きましたが、歌舞伎にドレスコードはないので、服装は何でも良いです。ただ、上記のとおり、場内が寒い場合もあるので、上に羽織るものを持参すると便利です。
マナー
最も大切なのは「後ろの観客を邪魔しない」ことだと思います。帽子をかぶったまま観劇したり、前のめりになったりすると、舞台が見えません。特に歌舞伎座は座席の間隔が非常にせまいので、前の観客が少しでも前傾姿勢をとると舞台が見えなくなります。
観劇当日のポイント
開場時間にあわせて行動
当日は時間に余裕を持つため、開演時間ではなく開場時間を目安に行動するのが良いです。こうすれば、劇場内の売店を見ることもできますし、お弁当を買う時間もできます。
弁当は三越で
私が歌舞伎を見始めた頃は、歌舞伎座地下2階「木挽町広場」の売店で買ったり、自宅近所のパン屋で買ったりしましたが、最近は三越で買うことが多いです。三越にはパン屋もあります。
イヤホンガイド
イヤホンガイドは上演中のセリフや詞章などにあわせて作品の解説をしてくれるものですが、使う必要はないと思います。作品のすべてを理解しようとする必要はありませんので、気楽に舞台を楽しんでいただきたいです。というより、歌舞伎を観客にわかりやすく伝えようとする努力は上演する側がするべきです。観客がお金をはらってガイドを聞く、というのは納得できないので、私はイヤホンガイドを利用しない方針です。
歌舞伎は気軽に見られる
歌舞伎はわかりづらい面もたしかにありますが、音楽や衣装など、舞台を楽しむポイントはいくつもあります。何度も見ているうちに役者や作品の特徴がわかってくるので、一度だけではなく二度三度と劇場に足を運んでいただきたいです。歌舞伎座以外にも、国立劇場や新橋演舞場で歌舞伎を楽しむことができますので、ぜひ一度いらっしゃってください。