81~90番歌

百人一首の意味と文法解説(84)ながらへばまたこのごろやしのばれむ憂しと見し世ぞ今は恋しき┃藤原清輔朝臣

小倉百人一首解説:和歌の現代語訳・古文単語の意味・文法解説・品詞分解-84

投稿日:2018年3月12日 更新日:

長らへばまたこのごろや忍ばれむうしと見し世ぞいまはこひしき

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小倉百人一首から、藤原清輔朝臣の和歌に現代語訳と品詞分解をつけて、古文単語の意味や、助詞および助動詞の文法知識について整理しました。

また、くずし字・変体仮名で書かれた江戸時代の本の画像も載せております。

ふだん我々が使っている字の形になおした(翻刻と言う)ものと、ひらがなのもとになった漢字(字母)も紹介しておりますので、ぜひ見比べてみてください。

原文

ogura-hyakunin-isshu-84

百人一首(84)ながらへばまたこのごろやしのばれむ憂しと見し世ぞ今は恋しき

画像転載元
国立国会図書館デジタルコレクション
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2541162

翻刻(ほんこく)(普段使っている字の形になおす)

hyakuni-isshu-honkoku-84

百人一首(84)ながらへばまたこのごろやしのばれむ憂しと見し世ぞ今は恋しき

釈文(しゃくもん)(わかりやすい表記)

藤原清輔朝臣
長らへば またこの頃や 忍ばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき
 

字母(じぼ)(ひらがなのもとになった漢字)

hyakunin-isshu-jibo-84

百人一首(84)ながらへばまたこのごろやしのばれむ憂しと見し世ぞ今は恋しき

現代語訳(歌意)・文法解説

※むかしが思い出されるころ、三条内大臣(さんじょうのないだいじん)がまだ中将でいらっしゃった時に、使者に持たせておくった歌。

生き長らえたら、やはり今この時が思い出されるのだろうか。つらいと思った世の中も、今ではなつかしく思われるのだから。

ながらへばまたこのごろやしのばれむ憂しと見し世ぞ今は恋しき

ながらへばまたこのごろやしのばれむ憂しと見し世ぞ今は恋しき

三句切れ。係り結びのところが和歌の切れ目となる場合が多いです。

※「未然形 + ば」で「もし~ならば」の意味を表します。

順接仮定条件

順接仮定条件

※係助詞「や」「ぞ」は連体形で結びます。係り結びは「ぞ・なむ・や・か=連体、こそ=已然形」とまとめて覚えます。

係助詞:ぞ・なむ・や・か・こそ

係助詞:ぞ・なむ・や・か・こそ

※助動詞「る」は、「受身・尊敬・可能・自発」の意味がありますが、直前に感情をあらわす動詞が来れば、自発の意味になります。(例:『浜辺の歌』「あした浜辺をさまよへば、むかしのことぞ偲ばるる」〈朝はやくに浜辺をぶらぶらすると、むかしのことがなつかしく思い出されるものだ〉)

助動詞:る・らる

助動詞:る・らる

助動詞「る」のくわしい解説や、その他の未然形接続の助動詞の解説は、「古典の助動詞の活用表の覚え方」をご覧ください。
 

語釈(言葉の意味)

※特記のないかぎり『岩波 古語辞典 補訂版』(大野晋・佐竹昭広・前田金五郎 編集、岩波書店、1990年)による。

詞書(ことばがき)

※詞書とは、和歌のよまれた事情を説明する短い文のことで、和歌の前に置かれます。

いにしへおもひいでられけるころ、三条内大臣いまだ中将にておはしける時つかはしける(※むかしが思い出されるころ、三条内大臣がまだ中将でいらっしゃった時に、使者に持たせておくった歌。)

※注
治承(じしょう)三十六人歌合。三条公教(さんじょうきみのり)が中将であったのは大治(だいじ)五年(1130)から保延(ほうえん)二年(1136)十一月まで。

※詞書の引用は『新編国歌大観 清輔集』に、注の引用は『新日本古典文学大系 新古今和歌集』(田中裕・赤瀬信吾、1992年、岩波書店、536ページ)によります。
 

ながらふ

(※生き長らえる。)
 

しの・び【偲び】

一〘四段〙
①賞美する。「黄葉(もみち)をば取りてそ―・ふ」〈万一六〉。「あしひきの山下ひかげ鬘(かづら)ける上にや更に梅を―・はむ」〈万四二七八〉
②遠い人、故人などを思慕する。「あが思ふ妻ありと言はばこそよ、家にも行かめ、国をも―・はめ」〈記歌謡九〇〉。「直(ただ)の逢ひは逢ひかつましじ石川に雲立ち渡れ見つつ〔亡キ夫ヲ〕―・はむ」〈万二二五〉
 

百人一首の現代語訳と文法解説はこちらで確認

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あきぜに ぎりす はるぎて
あきたの こころてに はるよの
ぬれば こころ かたの
あさふの ひとを ひといさ
あさぼらけ たびは ひとをし
あさぼらけ すてふ くからに
ひきの やこの ととぎす
あはしま びしさに みかもり
あはとも ぶれど みかはら
みての つゆに ばやな
あふとの みのえの のくの
あまかぜ をはやみ しのの
あまはら さごの らさめの
あららむ のおとは ぐりあひて
あらふく のうらに しきや
ありけの わかれ ともに
ありやま のをよ らはで
しへの をかも むぐら
いまむと ちぎりきし やまはに
いまただ ちぎり やまとは
りける やぶる されば
みわび みれば のとを
やまに ばねの よのなか
にきく ながらむ よのなか
おほやま ながへば すがら
おほなく なげつつ こめて
ひわび なげとて わがほは
とだに のよは わがでは
さぎの なにおはば わするる
かぜよぐ なには わすじの
かぜいたみ なには わたのはら
きみがため はなそふ わたのはら
きみがため はないろは ぬれば
らやま

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都内の私立大学 文学部国文学専攻出身
お菓子メーカー勤務のサラリーマン
趣味は歌舞伎鑑賞(2012年~)
歌舞伎の観客のすそ野を広げるには古典教育から見直す必要があると考えているので、このブログで古文にまつわる情報を発信しております。


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