古文・古典文法の解説
古典文法の勉強法について基本的なことからご紹介します。古文を苦手に感じている方も、もう一度、古典文法の基礎を見なおすことで、古文を読む力が上がっていきます。動詞や助動詞の接続や活用も、きちんと対策すればできるようになります。
目次
古文は外国語?
上の画像※1は、江戸時代につくられた百人一首の本で、昔のひらがな(これを変体仮名(へんたいがな)と言う)を使って書かれています。
上の和歌は、「ちはやぶる神代(かみよ)もきかず竜田川(たつたがわ)からくれなゐ(い)に水くくるとは」という、在原業平(ありわらのなりひら)がよんだ歌です。
昔の本は、このように昔の文字で書かれているので、教科書にのっている古文は、だれでも読み取れるように、私たちがいつも使っている字の形に直してあるのです。
古文は日本語で書かれた文章ですが、ふだん 、我々がつかっている日本の言葉とくらべると、使い方や意味がちがうところがたくさんあります。ですから、これは私の高校時代の先生がおっしゃったことでもありますが、古文を勉強するときは、外国語をあらたに勉強するような気持ちでのぞまなければなりません。
古典文法の活用と接続
古文をむずかしいと感じさせる原因は、活用(かつよう)と接続(せつぞく)にあります。
活用とは、言葉の形が変わることで、活用するのは、動詞(どうし)・形容詞(けいようし)・形容動詞(けいようどうし)・助動詞(じょどうし)、の4つだけです。
たとえば、「読む」という動詞は、「読まない」「読みながら」「読めば」というように、形が変化します。
古文にはこの形の変化に法則があるので、それを覚えるのです。
活用の覚え方
このサイトではほかのページで何度も書いていることなのですが、覚えるときのポイントがあります。
それは音読(おんどく)することと、指を使うことです。
なぜ音読が暗記に効果があるかと言うと、それは、さまざまな感覚をとおして、脳に刺激を与えられるからです。
文字を目で追えば視覚が刺激されますが、声に出して言えば、自分の声を聞くことになるので聴覚も刺激されます。また、自分の手を動かして文字を書きうつせば触覚も刺激されるので、書いて覚えることも有効な方法です。
それから、活用を覚えるときには指を使うと便利です。
活用は、「未然(みぜん)・連用(れんよう)・終止(しゅうし)・連体(れんたい)・已然(いぜん)・命令(めいれい)」の6種類です。これらを、この順番どおりに覚えます。そのときに、それぞれの活用と自分の指を対応させてみましょう。
このようにすれば、実際に古文を読んで活用を考えるときに、簡単におこなうことができます。
それぞれの活用の意味は?
活用は6種類ありますが、それぞれどのような場合に使われるのでしょうか。基本的な使い方を確認しましょう。
①未然形(みぜんけい)
「未然」とは「まだそうなっていない」という意味です。「ず」とくっついて否定をあらわしたり、「ば」とくっついて仮定条件をあらわしたりします。
例)読まず(読まない)
※ほかの言葉にくっつくことを接続(せつぞく)と言いますが、あとでくわしく説明します。
②連用形(れんようけい)
「連用」とは「用言(ようげん)につらなる」という意味です。
用言とは「動詞・形容詞・形容動詞」のことで、「人がどのような動きをするのか」や、「ものがどのような様子なのか」などをあらわす言葉です。いっぽう、つらなるとは「つづいていく」ことを意味するので、連用形は、文を途中で切らないでつづける場合に使う形と言えます。
例)雨ふりて、かさをさす。(雨がふって、かさをさす。)
●連用中止法(れんようちゅうしほう)
「て」を使わずに連用形で文をつづけることを連用中止法と言います。
例)雨ふり、かさをさす。(雨がふって、かさをさす。)
「て」を使う場合も、使わない場合も、意味は変わりません。文をつづけるときに2つの連用形の使い方があることを確認しておきましょう。
③終止形(しゅうしけい)
終止形は、文が終わるときに使われる形です。
例)書を読む。(本を読む。)
④連体形(れんたいけい)
「連体」とは「体言(たいげん)につらなる」という意味です。
体言とは名詞のことです。人やもの、ことの名前をあらわす言葉です。したがって、連体形は、言葉を名詞につなげたりかけたりして説明する場合に使う形と言えます。
例)読む本(読む本・読むための本)
⑤已然形(いぜんけい)
「已然」とは「すでにそうなっている」という意味です。「ば」とくっついて原因や理由をあらわします。
例)雨降れば、かさをさす。(雨がふるので、かさをさす。)
※「ば」については、のちほど接続のところで説明します。
⑥命令形(めいれいけい)
だれかに命令するときに使う形です。
例)書を読め。(本を読め。)
最初に覚えるのは形容詞・形容動詞
活用する言葉を覚える順番は、最初は数がすくない形容詞と形容動詞が良いと思います。覚えることは形容詞の場合、ク活用のみ、形容動詞の場合、ナリ活用とタリ活用の2つです。
形容詞を見る
形容動詞を見る
つぎに覚えるのは動詞
形容詞と形容動詞を覚えたら、こんどは動詞を覚えましょう。
古文の動詞のなかで、数がたくさんあるのが、四段活用(よだんかつよう)・上二段活用(かみにだんかつよう)・下二段活用(しもにだんかつよう)です。
種類のすくないものから先に覚えるので、最初に覚える動詞の活用は、不規則な変化をする4つの変格活用(へんかくかつよう)の動詞です。つまり、カ行変格活用・サ行変格活用・ナ行変格活用・ラ行変格活用、まとめて言えば「カサナラ変」です。
つぎに下一段活用(しもいちだんかつよう)、上一段活用(かみいちだんかつよう)と覚えて、さいごに四段・上二・下二を覚えて完成です。
動詞を見る
点訳活動をしている者です。
古文などを点訳するときに、品詞分解されているので、とても参考になります。
よろしければ、運営している点訳のHPで紹介して、リンクも貼らせていただきたいと思うのですが、よろしでしょうか。
メールに返信いただければど思います。
よろしくお願いします。
コメントをありがとうございます。
HPでのご紹介、ぜひよろしくお願いいたします。リンクもご自由に貼っていただいて構いません。
今後とも何卒お願い申し上げます。
私は外国人で、長い間古語に関する文法や活動をちゃんと説明する情報源を探していました。このサイトを見つけて本当に助かりました。本田さんの作った教材を勉強してから実践に移れる気がします。本当にありがとうございます!
ありがとうございます!
今後も有益な情報をお届けできるように頑張ります。