41~50番歌

百人一首の意味と文法解説(50)君がため惜しからざりし命さへながくもがなと思ひけるかな┃藤原義孝

小倉百人一首解説:和歌の現代語訳・古文単語の意味・文法解説・品詞分解-50

投稿日:2018年3月12日 更新日:

君がため惜しからざりし命さへながくもがなと思ひけるかな

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小倉百人一首から、藤原義孝の和歌に現代語訳と品詞分解をつけて、古文単語の意味や、助詞および助動詞の文法知識について整理しました。

また、くずし字・変体仮名で書かれた江戸時代の本の画像も載せております。

ふだん我々が使っている字の形になおした(翻刻と言う)ものと、ひらがなのもとになった漢字(字母)も紹介しておりますので、ぜひ見比べてみてください。

原文

ogura-hyakunin-isshu-50

百人一首(50)君がため惜しからざりし命さへながくもがなと思ひけるかな

画像転載元
国立国会図書館デジタルコレクション
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2541162

翻刻(ほんこく)(普段使っている字の形になおす)

hyakuni-isshu-honkoku-50

百人一首(50)君がため惜しからざりし命さへながくもがなと思ひけるかな

釈文(しゃくもん)(わかりやすい表記)

藤原義孝
君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひぬるかな
 

字母(じぼ)(ひらがなのもとになった漢字)

hyakunin-isshu-jibo-50

百人一首(50)君がため惜しからざりし命さへながくもがなと思ひけるかな

現代語訳(歌意)・文法解説

※女のもとから帰ってきたあと、使者に持たせて、女に書き送った歌。

あなたに逢うために、惜しくはないと思った命までも、こうしてお逢いできたあとは、長く生きていたいと思われることです。

君がため惜しからざりし命さへながくもがなと思ひけるかな

君がため惜しからざりし命さへながくもがなと思ひけるかな

※助動詞「けり」と「」は、いずれも連用形に接続します。連用形接続の助動詞は、「き・けり・つ・ぬ・たり・たし・けむ」の7種類です。助動詞の解説は「古典の助動詞の活用表の覚え方」にまとめましたのでご確認ください。

※「もがな」は願望(~だったら良いなあ)の意味を表す終助詞です。「もが・もがも・もがな・がな」はいずれも願望の意味を表します(例:「常にもがもな」・「言ふよしもがな」・「逢ふこともがな」・「命ともがな」・「くるよしもがな」など)。助詞の解説は「古典の助詞の覚え方」をご確認ください。
 

語釈(言葉の意味)

※特記のないかぎり『岩波 古語辞典 補訂版』(大野晋・佐竹昭広・前田金五郎 編集、岩波書店、1990年)による。
 

詞書(ことばがき)

※詞書とは、和歌がよまれた事情を説明する短い文のことで、和歌の前につけられます。

女のもとより帰りてつかはしける(※女のもとから帰ってきたあと、使者に持たせて、女に書き送った歌。)

※詞書の引用は『新日本古典文学大系 後拾遺和歌集』(久保田淳・平田喜信、1994年、岩波書店、218ページ)によります。
 

をし

●を・し【惜し・愛し】
〘形シク〙《すでに手中にしているものが大事で、手放せない感情をいう語。類義語アタラシは、その物のよさ美しさが生かされないのを、もったいないと思う意》
①(失ったり、そこなわれたりすることが)もったいない。「玉匣(たまくしげ)明けまく―・しきあたら夜を袖(ころもで)離(か)れて独りかも寝む」〈万一六九三〉。「お前の藤の花、いと面白う咲き乱れて、世の常の色ならず、ただ見過ぐさむ事―・しきさかりなるに」〈源氏藤裏葉〉
 

さへ

(※~までも)
 

もがな

〘助〙
《奈良時代のモガモの転。終助詞のモは平安時代にナに代られるのが一般であった》
①…が欲しい。「ながらへて君が八千代に逢ふよし―」〈古今三四七〉
②…でありたい。「世の中にさらぬ別れの無く―千代とも嘆く人の子の為」〈古今九〇一〉
 

百人一首の現代語訳と文法解説はこちらで確認

こちらは小倉百人一首の現代語訳一覧です。それぞれの歌の解説ページに移動することもできます。

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あきぜに ぎりす はるぎて
あきたの こころてに はるよの
ぬれば こころ かたの
あさふの ひとを ひといさ
あさぼらけ たびは ひとをし
あさぼらけ すてふ くからに
ひきの やこの ととぎす
あはしま びしさに みかもり
あはとも ぶれど みかはら
みての つゆに ばやな
あふとの みのえの のくの
あまかぜ をはやみ しのの
あまはら さごの らさめの
あららむ のおとは ぐりあひて
あらふく のうらに しきや
ありけの わかれ ともに
ありやま のをよ らはで
しへの をかも むぐら
いまむと ちぎりきし やまはに
いまただ ちぎり やまとは
りける やぶる されば
みわび みれば のとを
やまに ばねの よのなか
にきく ながらむ よのなか
おほやま ながへば すがら
おほなく なげつつ こめて
ひわび なげとて わがほは
とだに のよは わがでは
さぎの なにおはば わするる
かぜよぐ なには わすじの
かぜいたみ なには わたのはら
きみがため はなそふ わたのはら
きみがため はないろは ぬれば
らやま

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都内の私立大学 文学部国文学専攻出身
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趣味は歌舞伎鑑賞(2012年~)
歌舞伎の観客のすそ野を広げるには古典教育から見直す必要があると考えているので、このブログで古文にまつわる情報を発信しております。


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