歌舞伎初心者の方に向けて、比較的わかりやすく退屈することがないような、おすすめの歌舞伎作品を紹介します。有名な演目が必ずしも楽しめるとはかぎりませんし、毎月のように歌舞伎座や国立劇場などで歌舞伎を見る私でも、あまり面白くないと感じる舞台もあります。これから歌舞伎を見に行こうと考えている方は、一度と言わずに三度くらいは劇場に足を運んでいただきたいと考えています。見に行くうちに自分が面白いと思える演目や、どのような俳優が好きなのか、いろいろ気づけるようになるからです。この作品のこのセリフ好きだなとか、この俳優はこの役柄にあってるなとか、何かしら発見があるので、私は歌舞伎を見るのが好きです。初心者の方が「歌舞伎ってつまらないな」と思ってしまわないように、できるだけ楽しめそうな作品を選ぶことを心がけます。(※役者名は基本的に敬称略)
なお、私が上手だと思う役者についてはこちらにまとめました。
観劇の際は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、劇場内でのマスクの着用や、入場時の手指の消毒など、各劇場の取り組みにご協力ください。各公演の感染予防対策や上演形態などの詳細は、歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人(かぶきびと)」でご確認ください。
目次
- 1 初心者におすすめの歌舞伎作品
- 1.1 2023年2月・歌舞伎座
- 1.2 2022年4月・シネマ歌舞伎
- 1.3 2020年2月・歌舞伎座
- 1.4 2020年1月・歌舞伎座
- 1.5 2019年12月・歌舞伎座
- 1.6 2019年10月・歌舞伎座
- 1.7 2019年10月・歌舞伎座
- 1.8 2019年9月・歌舞伎座
- 1.9 2019年6月・国立劇場
- 1.10 2019年6月・歌舞伎座
- 1.11 2019年5月・歌舞伎座
- 1.12 2019年4月・歌舞伎座
- 1.13 2019年3月・歌舞伎座
- 1.14 2018年10月・国立劇場
- 1.15 2018年10月・歌舞伎座
- 1.16 2018年8月・歌舞伎座
- 1.17 2018年7月・国立劇場
- 1.18 2018年6月・国立劇場
- 1.19 2018年5月・歌舞伎座
- 1.20 2018年4月・歌舞伎座
初心者におすすめの歌舞伎作品
2023年2月・歌舞伎座
霊験亀山鉾(れいげんかめやまほこ)
仇討物です。片岡仁左衛門が悪役の藤田水右衛門と八郎兵衛の二役を勤めます。本水で雨を降らせる演出も見どころのひとつです。
2022年4月・シネマ歌舞伎
桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう) 上の巻・下の巻
シネマ歌舞伎は、録画した歌舞伎の舞台公演を全国各地の映画館で上映するというものです(※上映映画館やスケジュールは公式HPでご確認ください)。
「桜姫東文章」は前後半に分けて、2021年4月と6月に上演されました。片岡仁左衛門と坂東玉三郎の顔合わせによる上演は36年ぶりとあって、大きな話題を呼びました。今回は映画館で、映像作品として、充実の舞台を再び楽しむことができます。
2020年2月・歌舞伎座
羽衣(はごろも)
夜の部。
いわゆる羽衣伝説をもとにした演目。舞踊。玉三郎の天女、勘九郎の漁師という顔合わせ。
●あらすじ
ひとりの漁師が浜辺で美しい衣を見つけるが、それは天女の羽衣だった。羽衣がなければ、天女は天に帰れない。舞を披露することと引き換えに、羽衣を返してもらった天女は天へと帰っていくのだった。
人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)
夜の部。
三遊亭円朝の落語が原作。左官の長兵衛が、自分の娘を売った金で、文七という手代の命を助ける話。長兵衛のセリフ、「人の命は金じゃ買えねぇ」が聞かせどころ。
配役は菊五郎の長兵衛、梅枝の文七、莟玉(かんぎょく)のお久。菊五郎が長兵衛の悲喜交交をよく表現している。
2020年1月・歌舞伎座
連獅子(れんじし)
夜の部。
市川猿之助が親獅子を、市川團子が仔獅子を演じる。猿之助はもちろんだが、團子の舞踊が素晴らしい。仔獅子のはつらつとした若々しさが感じられる。歌舞伎の基礎となる舞踊を疎かにしないのが澤瀉屋の家風なのだろう。
鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)
夜の部。
三島由紀夫原作の戯曲。喜劇なので気軽に見られる。
2019年12月・歌舞伎座
阿古屋(あこや)
昼の部。
玉三郎の阿古屋、彦三郎の重忠が良い。
>>歌舞伎「壇浦兜軍記~阿古屋」あらすじと解説、玉三郎の芸談。
本朝白雪姫譚話(ほんちょうしらゆきひめものがたり)
夜の部。
グリム童話、白雪姫を歌舞伎に翻案。随所に散りばめられたオペラや古典のパロディが楽しい。
>>【歌舞伎の白雪姫】坂東玉三郎「本朝白雪姫譚話」(2019年12月歌舞伎座公演)感想・解説
2019年10月・歌舞伎座
「梅雨小袖昔八丈」髪結新三(つゆこそでむかしはちじょう かみゆいしんざ)
昼の部。一幕のみの観劇で2000円。
髪結(※今で言う所の理髪師)の新三が悪事を働く話。
2019年10月・歌舞伎座
江戸育お祭佐七(えどそだちおまつりさしち)
昼の部。一幕のみの観劇で1500円。
芸者をめぐる悲劇。尾上菊五郎(おのえきくごろう)が演じる佐七に愛嬌がある。
坂東亀三郎(ばんどうかめさぶろう)と寺嶋眞秀(てらしままほろ)、二人の子役による忠臣蔵の劇中劇が楽しい。
お軽ちゃん✨
今月も働く小学生、お行儀良くしっかり踊ってます😊#お祭佐七#お軽#歌舞伎座#坂東亀三郎
今日も無事に終わりました🙋♂️ pic.twitter.com/shuW8KYY8K
— 坂東やゑ亮 (@yaesukebando) October 7, 2019
※引用:坂東やゑ亮のTwitter。2019年10月7日の投稿(最終閲覧:2019年10月11日)。
2019年9月・歌舞伎座
勧進帳(かんじんちょう)
夜の部。特に奇数日。
月の奇数日に片岡仁左衛門が、偶数日に松本幸四郎が、それぞれ弁慶を務める。特に仁左衛門の弁慶は情感豊か。主君の義経を思う心が巧みに表現される。
2019年6月・国立劇場
神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)(歌舞伎鑑賞教室)
歌舞伎になじみのない方に向けた解説付き。解説担当は中村虎之助(とらのすけ)。
失恋したにもかかわらず、愛する男を救うために命をなげうつ女の話。中村壱太郎(かずたろう)の人形振り(※役者が人形浄瑠璃で使われる人形の動きを取り入れて演じること)が見もの。
【中村壱太郎(@Rinta0803)】
強欲非道な父の手から
恋しい人を守ろうと
命をかけるヒロインお舟(ふね)……❤人形の動きを取り入れた45年ぶりの
“人形振(ぶ)り”も見逃せないよ(⌒∇⌒)歌舞伎デビューにおすすめ✨
6月歌舞伎鑑賞教室は6/24(月)まで#歌舞伎みたよ #神霊矢口渡 pic.twitter.com/9ZB6ytM6fv— 国立劇場(東京・半蔵門) (@nt_tokyo) 2019年6月10日
お舟より
6月2日 – 6月24日まで!!
基本は11:00と14:30。
17日だけは19:00の回があるから!! お仕事終わりに是非^ ^1等席、4000円!!
学生さんは、1500円!!歌舞伎鑑賞教室
解説付きで、
歌舞伎初心者も安心!!詳細はこちらにて^ ^
↓↓https://t.co/nMIae8jvLX
26日、静岡公演もあるよ! pic.twitter.com/CE2HolZG4d— 中村 壱太郎 ( Nakamura Kazutaro ) (@Rinta0803) 2019年6月11日
2019年6月・歌舞伎座
封印切(ふういんぎり)
昼の部。一幕の観劇で1400円。
恋のため、仕事上のお金を横領してしまう男の話。前半の明るい雰囲気から、後半の悲劇へと一転する展開を楽しめる。仁左衛門(にざえもん)演じる忠兵衛が見事。
2019年5月・歌舞伎座
勧進帳(かんじんちょう)
昼の部。配役はいまひとつだが、有名な舞踊の演目なので一見の価値あり。初心者もじゅうぶん楽しめる。あらすじは「歌舞伎 on the web」の「歌舞伎演目案内」にて。
神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)
昼の部。通称「め組の喧嘩」。
鳶(とび)(※火消し)と相撲取りがけんかするという内容。江戸っ子は「火事と喧嘩は江戸の花」と言われるほど荒々しい気性だったようだが、その雰囲気を楽しめる華やかな作品である。江戸時代に実際に起きた事件が元になっている。
坂東亀三郎(かめさぶろう)が又八(またはち)を好演。父の彦三郎によく似て、声が非常に通る。
本日中日を迎えました!
今月はぼっちゃんのお世話担当です😊学校行って楽屋入りして、顔の途中でお昼寝して起きたらハイテンションです😂
め組が大好きみたい。
嬉しいですね☺️又ちゃんとーっても頑張ってます‼️#歌舞伎座#め組の喧嘩#坂東亀三郎#新一年生 pic.twitter.com/tZbYGP4rwG
— 坂東やゑ亮 (@yaesukebando) 2019年5月15日
※引用:坂東やゑ亮のTwitter。2019年5月15日の投稿(最終閲覧:2019年5月19日)
京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)
夜の部。有名な舞踊の演目なので一見の価値あり。ただ、尾上菊之助の娘道成寺は軽やかさに欠ける。華やかさや身のこなし、清姫の恨みの表現などは、どれも坂東玉三郎に遠く及ばない。あらすじは「歌舞伎 on the web」の「歌舞伎演目案内」にて。
2019年4月・歌舞伎座
御存鈴ヶ森(ごぞんじすずがもり)
昼の部。立ち回りが楽しめる。
実盛物語(さねもりものがたり)
夜の部。仁左衛門の実盛が魅力的。寺嶋眞秀(まほろ)が先月に引き続き活躍。あらすじは「歌舞伎 on the web」の「歌舞伎演目案内」にて。
黒塚(くろづか)
夜の部。市川猿之助が出演。あらすじは「歌舞伎 on the web」の「歌舞伎演目案内」にて。
2019年3月・歌舞伎座
傾城反魂香(けいせいはんごんこう)・序幕
昼の部。一幕見席は12:45発売予定、13:19上演開始。
「序幕」に続いて「大詰」が上演される。「大詰」は「吃又(どもまた)」として広く知られる場面だが、初心者には向かない。「歌舞伎を試しに見てみたい」という方には、「序幕」のみの観劇(※800円)をおすすめする。
盛綱陣屋(もりつなじんや)
夜の部。一幕見席は14:35発売予定。上演開始は16:30。
古典のため、セリフが難しく感じられるかもしれない。上記の「傾城反魂香・序幕」と比べると難易度が高め。ただ、あらすじを予習すれば、それほど難しくはないと思われる(※参考:「歌舞伎 on the web」より「歌舞伎演目案内」)。
片岡仁左衛門(にざえもん)の盛綱が魅力的。ほかに、寺嶋眞秀(まほろ)・中村勘太郎、二人の子役が活躍(※参考:「秀太郎歌舞伎話」2019年3月7日の記事・2019年3月12日の記事)。
>>参考歌①:名にし負はば逢坂山の真葛人に知られでくるよしもがな
>>参考歌②:これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関
2018年10月・国立劇場
平家女護島(へいけにょごのしま)
12時開演。15時半頃終演。
平家に背き鬼界ヶ島に流された僧侶、俊寛の物語が中心。単独で上演されることの多い「鬼界ヶ島の場」に加えて、「六波羅清盛館の場」と「敷名の浦磯辺の場・御座船の場」を前後に置く。俊寛の妻、東屋が清盛に捕えられ自害する場面が上演されることで、俊寛の悲哀がいっそう痛切に感じられる。
配役は芝翫の清盛・俊寛、孝太郎の東屋、東蔵の後白河法皇ほか。
2018年10月・歌舞伎座
大江山酒呑童子(おおえやましゅてんどうじ)
昼の部。舞踊作品。
源頼光(らいこう/よりみつ)と家来たちが酒呑童子(しゅてんどうじ)という鬼を退治する話。四天王物(してんのうもの)のひとつ。勘九郎の酒呑童子が秀逸。
>>参考歌:大江山生野の道の遠ければまだ文も見ず天橋立
吉野山(よしのやま)
夜の部。舞踊作品。
勘九郎の佐藤忠信(ただのぶ)、玉三郎の静御前(しずかごぜん)の配役。
助六(すけろく)
夜の部。
仁左衛門(にざえもん)の助六は2009年以来9年ぶり、歌舞伎座の上演に限ると1998年以来20年ぶり。成田屋(なりたや)(※團十郎や海老蔵)以外の役者による上演はめずらしいです。
配役は七之助の揚巻(あげまき)、勘九郎の白酒売(しろざけうり)、玉三郎の満江(まんこう)ほか。
2018年8月・歌舞伎座
東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)
猿之助と幸四郎(前・染五郎)による弥次喜多は3年連続。シネマ歌舞伎にもなった人気演目です。
今回は猿之助の甥の團子、幸四郎の長男の染五郎とともに、4人で宙乗りをするそうです。
2018年7月・国立劇場
日本振袖始(にほんふりそではじめ)(歌舞伎鑑賞教室)
近松門左衛門がスサノオのヤマタノオロチ退治を題材にして書いた作品です。
ヤマタノオロチの8つの首をどのように表現するのか注目です。
出演は中村時蔵と中村錦之介。兄弟の共演です。解説は坂東新悟。
2018年6月・国立劇場
連獅子(れんじし)(歌舞伎鑑賞教室)
開演時間:11時・14時半・18時半(6日と15日のみ)
鑑賞教室なので、歌舞伎役者による解説と、日本語の字幕表示がついています。
「連獅子」は舞踊作品で、その内容は、獅子が自らの子を崖の上から突き落とし、這い上がってきた子だけを育てるという故事に基づいています。
雄壮な獅子の毛ぶりを見られるので、初心者の方も楽しめると思います。
学生料金は全席1500円でお買い得です。
2018年5月・歌舞伎座
雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)・鳴神(なるかみ)
昼の部。
幕が開くと、まずは市川海老蔵さんの口上です。海老蔵さん自ら物語のあらましを語ってくれます。歌舞伎役者の方が、このように舞台上で解説をするのはめずらしいことですが、話の内容をわかりやすく伝えて初心者の方にも楽しんでもらおうという海老蔵さんの思いが伝わってきます。
今回は通し狂言ですが、その中でも三幕目・大詰の「鳴神(なるかみ)」が良かったです。海老蔵さん演じる鳴神上人(なるかみしょうにん)という僧侶のもとに、尾上菊之助さん演じる雲の絶間姫(くものたえまひめ)がやって来て、お酒を飲ませて色じかけする話ですが、二人のかけ合いが非常に良かったです。つづく場面では、海老蔵さんが中心の派手な立ち回りもあるので初心者の方も楽しめると思います。
弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)
夜の部。
盗賊が活躍するお話で、私が歌舞伎を好きになるきっかけになった作品の一つです。
五世尾上菊五郎によって初演され、代々受け継がれてきた音羽屋の家の芸。河竹黙阿弥の七五調の台詞に彩られた世話物の人気演目をお楽しみください。(※松竹のチラシより引用)
「雪の下浜松屋の場」では、盗賊の一人、弁天小僧菊之助の有名なセリフ、「知らざあ言って聞かせやしょう」を聞くことができます。菊五郎さんの弁天小僧はぜひ見てほしいです。「極楽寺屋根立腹の場」では、アクロバティックな立ち回りを楽しめます。「立腹(たちばら)」とは、立ったまま腹を切ることです。弁天小僧のハラキリを外国人が見たら喜ぶかもしれません……。
歌舞伎座には「一幕見席(ひとまくみせき)」という当日券があります。空席がない場合は一幕見席で見ましょう。一幕見席のチケットの買い方はこちらをご覧ください。
2018年4月・歌舞伎座
絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)
夜の部。
かたき討ちのお話です。片岡仁左衛門さんは悪役を演じます。
四世鶴屋南北の名作『絵本合法衢』が、片岡仁左衛門一世一代にて、ついに歌舞伎座初上演です。極悪非道な権力者大学之助(※だいがくのすけ)と、悪事の限りを尽くす町人太平次(※たへいじ)の二人がみせる悪の魅力を存分にご堪能いただきます。(※松竹のチラシより引用)