奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき
小倉百人一首から、猿丸大夫の和歌に現代語訳と品詞分解をつけて、古文単語の意味や、助詞および助動詞の文法知識について整理しました。
また、くずし字・変体仮名で書かれた江戸時代の本の画像も載せております。
ふだん我々が使っている字の形になおした(翻刻と言う)ものと、ひらがなのもとになった漢字(字母)も紹介しておりますので、ぜひ見比べてみてください。
目次
原文
![ogura-hyakunin-isshu-5](https://honda-n2.com/wp-content/uploads/2018/03/3r-663x1024.jpg)
百人一首(5)奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき
国立国会図書館デジタルコレクション
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2541162
翻刻(ほんこく)(普段使っている字の形になおす)
![hyakuni-isshu-honkoku-5](https://honda-n2.com/wp-content/uploads/2018/03/9cb97b6ee9ac61eef84bda6e610c8dfb.png)
百人一首(5)奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき
釈文(しゃくもん)(わかりやすい表記)
猿丸大夫
奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋は悲しき
字母(じぼ)(ひらがなのもとになった漢字)
![百人一首(5)奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき](https://honda-n2.com/wp-content/uploads/2018/03/0b8c2e14bc733397f8abbf2d83f8a957.png)
百人一首(5)奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき
現代語訳(歌意)・文法解説
奥深い山に紅葉(もみじ)を踏みわけて行き、鳴いている鹿の声を聞くときが、秋はとくに悲しい。
※「ふみわけ」を鹿の動作と解釈する説もある。そのときは、「奥深い山に紅葉を踏みわけて鳴いている鹿」の意味になる。
![奥山に紅葉踏み分け](https://honda-n2.com/wp-content/uploads/2018/03/30d79a8810e873d4f8f7e40b6961af41.png)
奥山に紅葉踏み分け
![鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき](https://honda-n2.com/wp-content/uploads/2018/03/b4b98ebe2cb3f836b4679d9d9c845479.png)
鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき
![連用中止法](https://honda-n2.com/wp-content/uploads/2018/03/dcc9d13bee3139a7cd7b09f1d1f2481e.png)
連用中止法
※活用形の解説は「わかりやすい覚え方で古典文法の基礎から学ぶ」のページでご覧ください。
語釈(言葉の意味)
※特記のないかぎり『岩波 古語辞典 補訂版』(大野晋・佐竹昭広・前田金五郎 編集、岩波書店、1990年)による。
おくやま【奥山】
人が行かないような奥深い山。「―の磐かげに生ふる菅の根の」〈万七九一〉
もみぢ【紅葉・黄葉(もみじ)】
「秋山の毛美知(もみち)をかざし……」(万葉集・巻十五・三中)とあるように、上代には「モミチ」と清音で読んでいたようである。動詞「モミツ」の連用形の「モミチ」が名詞になったのである。(後略)
『歌枕 歌ことば辞典』片桐洋一、笠間書院、1999年
作者:猿丸大夫(さるまるだゆう)について
※編集中につき、しばらくお待ちください。
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