奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき
小倉百人一首から、猿丸大夫の和歌に現代語訳と品詞分解をつけて、古文単語の意味や、助詞および助動詞の文法知識について整理しました。
また、くずし字・変体仮名で書かれた江戸時代の本の画像も載せております。
ふだん我々が使っている字の形になおした(翻刻と言う)ものと、ひらがなのもとになった漢字(字母)も紹介しておりますので、ぜひ見比べてみてください。
目次
原文
画像転載元国立国会図書館デジタルコレクション
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2541162
翻刻(ほんこく)(普段使っている字の形になおす)
釈文(しゃくもん)(わかりやすい表記)
猿丸大夫
奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋は悲しき
字母(じぼ)(ひらがなのもとになった漢字)
現代語訳(歌意)・文法解説
奥深い山に紅葉(もみじ)を踏みわけて行き、鳴いている鹿の声を聞くときが、秋はとくに悲しい。
※「ふみわけ」を鹿の動作と解釈する説もある。そのときは、「奥深い山に紅葉を踏みわけて鳴いている鹿」の意味になる。
※係助詞の係り結びは「古典の助詞の覚え方」にまとめました。
※活用形の解説は「わかりやすい覚え方で古典文法の基礎から学ぶ」のページでご覧ください。
語釈(言葉の意味)
※特記のないかぎり『岩波 古語辞典 補訂版』(大野晋・佐竹昭広・前田金五郎 編集、岩波書店、1990年)による。
おくやま【奥山】
人が行かないような奥深い山。「―の磐かげに生ふる菅の根の」〈万七九一〉
もみぢ【紅葉・黄葉(もみじ)】
「秋山の毛美知(もみち)をかざし……」(万葉集・巻十五・三中)とあるように、上代には「モミチ」と清音で読んでいたようである。動詞「モミツ」の連用形の「モミチ」が名詞になったのである。(後略)
『歌枕 歌ことば辞典』片桐洋一、笠間書院、1999年
作者:猿丸大夫(さるまるだゆう)について
※編集中につき、しばらくお待ちください。
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