文学史は知っていれば確実に点が取れる分野です。日本文学史の流れを把握して、重要な知識を効率よく覚えることによって、テストの点数が取れるようになっていきます。古文と漢文、さらに現代文(近代)の文学史まで対応できる参考書を使って受験対策しましょう。
目次
頻出・日本文学史
日本文学史の対策は古文も現代文もこの一冊でOKです。国語便覧でも文学史を確認できますが、情報がくわしすぎるので、もう少しわかりやすく整理された本が一冊あると便利です。
試験で出題される最小限のポイントをチェックするにはこの参考書を使ったほうが効果的です。
内容は3つの構成にわかれています。
・古文の文学史
・現代文の文学史
・漢文の文学史
以上の3つのテーマにわかれているので、古文や現代文など、分野ごとに文学史の流れを確認することができます。
それぞれの文学史の流れは、図を使って説明されているので、作品の前後の関係もよくわかるようになっています。
また、作品の覚えるべきポイントを短くまとめて説明文がつけられているので、要点をとらえやすくなっています。試験によく出題される重要なポイントをおさえられるように工夫されているのです。
そして、それぞれのテーマには問題がついています。問題は「基本チェックテスト」と「応用問題」の2種類があります。チェックテストで基本を確認したあと、応用問題を解いて文学史の知識を定着させていきましょう。問題を何度もくり返すことによって、むずかしい問題にも対応できるようになります。
日本文学史の基本
この本を使う前に日本文学史の基本となる知識を古文と現代文にわけて確認しましょう。
古文の文学史の基本
1.八代集
「八代集(はちだいしゅう)」とは、最初の8つの勅撰和歌集のことです。
勅撰和歌集(ちょくせんわかしゅう)は、天皇の命令によってつくられた和歌集のことで、ぜんぶで21あるので「二十一代集(にじゅういちだいしゅう)」と言いますが、試験に出るのは最初の8つが成立した順番です。
①古今(こきん)和歌集
〈成立:905年〉
②後撰(ごせん)和歌集
〈成立:951年〉
③拾遺(しゅうい)和歌集
〈成立:1006年頃〉
④後拾遺(ごしゅうい)和歌集
〈成立:1086年頃〉
⑤金葉(きんよう)和歌集
〈成立:1127年頃〉
⑥詞花(しか)和歌集
〈成立:1151年頃〉
⑦千載(せんざい)和歌集
〈成立:1188年〉
⑧新古今(しんこきん)和歌集
〈成立:1205年〉
「こきん・ごせん・しゅうい・ごしゅうい・きんよう・しか・せんざい・しんこ」と覚えましょう。
2.平安時代の日記文学
日記文学の成立年代順も覚えましょう。覚え方は「とかげいずむらさらさぬき」です。
①土佐日記(とさにっき)
〈作者:紀貫之(きのつらゆき)〉
②蜻蛉日記(かげろうにっき)
〈作者:藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは)〉
③和泉式部日記(いずみしきぶにっき)
〈作者:和泉式部〉
④紫式部日記(むらさきしきぶにっき)
〈作者:紫式部〉
⑤更級日記(さらしなにっき)
〈作者:菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)〉
⑥讃岐典侍日記(さぬきのすけにっき)
〈作者:讃岐典侍〉
3.物語文学
●作り物語(伝奇物語)
現実には起こらないふしぎな現象をあつかうのが伝奇(でんき)物語です。竹を切ったら中に女の子が入っていて、やがて月に帰っていくなんて、現実には起こらないですよね。
①竹取物語(たけとりものがたり)
②宇津保物語(うつほものがたり)
③落窪物語(おちくぼものがたり)
●歌物語
和歌と、その和歌がよまれた背景や事情を説明する文がくり返される物語で、短編集のような内容です。
①伊勢物語(いせものがたり)
②大和物語(やまとものがたり)
③平中物語(へいちゅうものがたり)
源氏物語
作り物語と歌物語の性質を両方うけついで生まれたのが源氏物語です。
4.歴史物語
漢文ではなく仮名文で物語風に書かれた歴史を歴史物語と言います。覚え方は「はなだいこんみずまし」です。
①栄花物語(えいがものがたり)
②大鏡(おおかがみ)
③今鏡(いまかがみ)
④水鏡(みずかがみ)
⑤増鏡(ますかがみ)
現代文の文学史の基本
覚えるポイントは自然主義と反自然主義です。
現実をありのままに描くのが写実主義で、その延長線上に自然主義があります。自然主義から距離を置く立場だったのが、耽美派や余裕派、白樺(しらかば)派などです。
そして、明治・大正・昭和、それぞれの時代で代表的な作家を覚えておきましょう。覚えやすいように主要な作家との関係や、大学との関係でまとめました。
明治
・坪内逍遥……文芸雑誌「早稲田文学」創刊
・二葉亭四迷……言文一致体「だ」調
・尾崎紅葉……言文一致体「である」調。文学結社「硯友社(けんゆうしゃ)」結成し「我楽多文庫(がらくたぶんこ)」を創刊。
・正岡子規……俳句という言葉を使うのはこの頃から。
・夏目漱石……子規に俳句を学ぶ。
・森鴎外……慶應義塾の講師。『舞姫』の作者。
・永井荷風……森鷗外らの推薦で慶應義塾の教授になり、文芸雑誌「三田文学」の創刊にかかわる。
俳句について
江戸時代以前に俳諧(はいかい)というものがありました。俳諧とはユーモアな内容の詩歌のことです。また、和歌の形式には連歌(れんが)というのものがあります。その場に集まった人で順番に句をよみ、ひとつの長い和歌をつくることを指します。100句つなげていくこともあり、とくに、連歌の最初の五七五の17音のことを発句(ほっく)と言いました。俳句というのは、「俳諧(の連歌)の発句」という意味で、明治になって使われるようになった新しい言葉です。
大正
・泉鏡花……尾崎紅葉の弟子。「三田文学」にも作品を発表。
・芥川龍之介……東大在学中に書いた『鼻』を夏目漱石に絶賛される。
・谷崎潤一郎……「三田文学」にも作品を発表。妻の妹を好きになって妻を佐藤春夫にゆずる。
・佐藤春夫……永井荷風の教え子。慶應文学部中退。「三田文学」編集委員。谷崎から妻をゆずりうけて結婚。息子は慶應義塾の教授。
昭和
・川端康成……日本人初のノーベル文学賞受賞
・太宰治……第1回芥川賞候補。芥川賞がほしかったけれど取れなかった人。芥川賞選考委員の佐藤春夫や川端康成に手紙を書いて、芥川賞がほしいとお願いしたことがある。
知っていれば得点できる文学史
文学史は知っていれば確実に得点にむすびつく分野です。
さきほど説明した文学史の基本をおさえたら、この『頻出・日本文学史 (河合塾シリーズ)』を使って知識を整理しつつ、問題を何度も解いて万全の対策をしましょう。
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