21~30番歌

百人一首の意味と文法解説(27)みかの原わきて流るる泉川いつ見きとてか恋しかるらむ┃中納言兼輔

小倉百人一首解説:和歌の現代語訳・古文単語の意味・文法解説・品詞分解-27

投稿日:2018年3月11日 更新日:

みかのはらわきて流るる泉河いつみきとてか恋しかるらむ

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小倉百人一首から、中納言兼輔の和歌に現代語訳と品詞分解をつけて、古文単語の意味や、助詞および助動詞の文法知識について整理しました。

また、くずし字・変体仮名で書かれた江戸時代の本の画像も載せております。

ふだん我々が使っている字の形になおした(翻刻と言う)ものと、ひらがなのもとになった漢字(字母)も紹介しておりますので、ぜひ見比べてみてください。

原文

ogura-hyakunin-isshu-27

百人一首(27)みかの原わきて流るる泉川いつ見きとてか恋しかるらむ

画像転載元
国立国会図書館デジタルコレクション
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2541162

翻刻(ほんこく)(普段使っている字の形になおす)

hyakuni-isshu-honkoku-27

百人一首(27)みかの原わきて流るる泉川いつ見きとてか恋しかるらむ

釈文(しゃくもん)(わかりやすい表記)

中納言兼輔
みかの原 わきて流るる いづみ川 いつ見きとてか 恋しかるらむ
 

字母(じぼ)(ひらがなのもとになった漢字)

hyakunin-isshu-jibo-27

百人一首(27)みかの原わきて流るる泉川いつ見きとてか恋しかるらむ

現代語訳(歌意)・文法解説

※この和歌の題やよまれた事情はあきらかでない。

「甕(みか)」(※水をいれる大きな容器)という名をもつ「みかの原」に湧いて流れる泉川の、その「いつみ」ではないが、「いつ見た」ということから、これほどまで恋しいのだろうか。

みかの原わきて流るる泉川いつ見きとてか恋しかるらむ

みかの原わきて流るる泉川いつ見きとてか恋しかるらむ

※「らむ」は終止形接続の助動詞(「べし・らし・まじ・らむ・めり・なり」の6種類)ですが、ラ変型の活用語(あり・けり・たり・めり・なり・なり・り)には連体形に接続します。これは「らむ」だけでなく、そのほかの終止形接続の助動詞も同じです。形容詞の補助活用(カリ活用)は、連用形の語尾「く」にラ変動詞「あり」がついて生まれたと考えられているので、形容詞の補助活用もラ変型の活用語にふくみます。

助動詞の解説は「古典の助動詞の活用表の覚え方」にまとめましたのでご確認ください。

参考:形容詞の活用表

古文の形容詞一覧

古文の形容詞一覧

 

語釈(言葉の意味)

※特記のないかぎり『岩波 古語辞典 補訂版』(大野晋・佐竹昭広・前田金五郎 編集、岩波書店、1990年)による。
 

詞書(ことばがき)

※詞書とは、和歌がよまれた事情を説明する短い文で、和歌の前に置かれます。

題しらず(※和歌の題やよまれた事情が明らかでないこと。)

※詞書の引用は『新日本古典文学大系 新古今和歌集』(田中裕・赤瀬信吾、1992年、岩波書店、300ページ)によります。
 

みかのはら【瓶原 / 甕原】

●みか【甕・瓺】
《ミは接頭語。カ(瓮)は容器類》
大きなかめ。水や酒を貯えたり、酒をかもしたりするのに使った。「―の原満(み)てならべて、汁にも穎(かひ)にも称辞(たたへごと)をへまつらむ」〈祝詞祈年祭〉

●みかのはら【瓶原】

山城国の歌枕。今の京都府相良郡加茂町。『古今集』読み人知らずの歌「都いでて今日みかの原泉川川風寒し衣かせ山」(羇旅)で有名となり、以後はこの歌によって「見」と掛けて「泉川」「鹿背山(かせやま)」などの地名とともによまれることが多く、「みかの原わきて流るる泉川いつ見きとてか恋しかるらむ」(新古今集・恋一・兼輔、古今六帖、百人一首)がその代表。(後略)
歌枕 歌ことば辞典』片桐洋一、笠間書院、1999年

○みかの原
山城国(やましろのくに)(※今の京都府南部)の歌枕。元明天皇(げんめいてんのう)の甕原離宮(みかのはらりきゅう)、聖武天皇(しょうむてんのう)の恭仁京(くにきょう)の地。(『新日本古典文学大系 新古今和歌集』300ページ)
 

わきて

甕、泉の縁語で「湧きて」。「分きて」と掛けるには及ばない。(『新日本古典文学大系 新古今和歌集』300ページ)
 

泉川

○泉河
山城国の歌枕。甕原(みかのはら)辺の木津川(きづがわ)の古名。「いつみき」に掛ける。(『新日本古典文学大系 新古今和歌集』300ページ)
 

いつみき

(※「き」は過去の助動詞。「いつ見た」の意。)
 

らむ

(※目前原因推量:~ので…だろう)
 

百人一首の現代語訳と文法解説はこちらで確認

こちらは小倉百人一首の現代語訳一覧です。それぞれの歌の解説ページに移動することもできます。

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あきぜに ぎりす はるぎて
あきたの こころてに はるよの
ぬれば こころ かたの
あさふの ひとを ひといさ
あさぼらけ たびは ひとをし
あさぼらけ すてふ くからに
ひきの やこの ととぎす
あはしま びしさに みかもり
あはとも ぶれど みかはら
みての つゆに ばやな
あふとの みのえの のくの
あまかぜ をはやみ しのの
あまはら さごの らさめの
あららむ のおとは ぐりあひて
あらふく のうらに しきや
ありけの わかれ ともに
ありやま のをよ らはで
しへの をかも むぐら
いまむと ちぎりきし やまはに
いまただ ちぎり やまとは
りける やぶる されば
みわび みれば のとを
やまに ばねの よのなか
にきく ながらむ よのなか
おほやま ながへば すがら
おほなく なげつつ こめて
ひわび なげとて わがほは
とだに のよは わがでは
さぎの なにおはば わするる
かぜよぐ なには わすじの
かぜいたみ なには わたのはら
きみがため はなそふ わたのはら
きみがため はないろは ぬれば
らやま

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都内の私立大学 文学部国文学専攻出身
お菓子メーカー勤務のサラリーマン
趣味は歌舞伎鑑賞(2012年~)
歌舞伎の観客のすそ野を広げるには古典教育から見直す必要があると考えているので、このブログで古文にまつわる情報を発信しております。


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