歌舞伎座では一幕見席という当日券も販売しています。歌舞伎を幕見席で見たいという初心者の方のために、チケットの買い方や列に並ぶ時間などをご紹介します。
目次
一幕見席とは
定員は150人くらい
一幕見席とは、歌舞伎座4階にある先着順の自由席で、好きな幕のみ見ることが可能です。椅子席は約90人、立ち見は約60人、合計約150人の定員で、椅子席は前後2列に分かれています。
チケットを買うときは、必ず列に並ぶと思ってください。
並ばずに買えることはありますが、立ち見の場合がほとんどですので、座って観劇したい場合は並ぶことになります。
どんな人が買うの?
歌舞伎を見たことのない初心者の方だけでなく、チケットを買い損ねた松竹歌舞伎会会員も買います。外国人観光客も多いです。私は歌舞伎会に加入していますが、次のような時に幕見席を利用します。
・チケットが取れなかった時
・一幕だけ見たい時
・もう一度見たい時
歌舞伎会の会員でも人気演目の場合、チケットを取れない場合があるので、そんな時はしかたなく幕見席に並びます。また、見たい演目があるけれど、それ以外の演目には興味がない時には、節約のために一幕だけ見ます。そして、「一度見て面白かったからもう一度見たい」という時も利用します。
実際のチケットはこんな感じ
上の画像は通しで見る場合のチケットですので、一幕目の「石切梶原」から三幕目の「魚屋宗五郎」まで通しで見るということです。通しの場合、1階の販売窓口でチケットを買う時に、三幕すべてのチケットを受け取ります。
「石切梶原」の「7番」という数字は、私が列の7番目に並んでいたことを示します。次の「吉野山」で「3番」になっているのは、私の前に並んでいた6人のうち、4人が「石切梶原」一幕だけ見て帰ったということです。「石切梶原」一幕だけなら観劇代は1500円なので、「安い」ですよね。
ちなみに、ふつうのチケットの基本的な料金表は次の通りです。
・1階桟敷席 20000円
・1等席 18000円
・2等席 14000円
・3階A席 6000円
・3階B席 4000円
一幕見席も通しで見れば3階B席と同じ値段なのです。
二幕目や三幕目から見る場合については、後述の「幕見席のデメリットは?」で解説しておりますので、そちらをご覧ください。
列に並ぶ時間はどれくらい?
混雑具合によって変わりますが、「チケット販売開始90分前から並ぶ」のが私の基準です。
混雑は演目や出演者によって変わります。人気の演目、人気俳優が出演する月は込みますし、平日よりも週末のほうが込みます。発売予定時間の30分前に並んで座れたこともありますし、混雑を予想して2時間前から並んだこともあります。
チケット発売予定時間は松竹ホームページ歌舞伎美人(かぶきびと)で確認しましょう。
1.「公演情報」から「歌舞伎座」を選択
2. 見に行きたい月の「幕見席のご案内」を選択
3. 演目と発売予定時間を確認
一幕見席の詳細は、公演初日の数日前から公開されます。
どこでチケットを買うの?
歌舞伎座正面の向かって左手にチケット販売窓口があります。
また、販売開始時間をすぎている場合は、4階の窓口で買う場合もありますので、係りの方に確認しましょう。
チケットを買ったあとの流れ
●エレベーターで4階へ
チケットを買ったら、販売窓口左のエレベーターで4階へ行きます。(チケット購入後、集合時間まで時間がある場合がありますので、その時は近所をぶらぶらして時間をつぶしましょう。>> 歌舞伎座の見学コースを紹介!木挽町広場と屋上は無料で入れる観光スポット)
●番号順に整列
開幕時間およそ20分くらい前から、4階の劇場入り口前の廊下に入場番号順で整列します。ここにも係りの方がいるので、指示に従ってください。
●入場したら席の確保
入場時間になったら、係りの方にチケットを見せて、番号順に一人ずつ入場します。さきほどの画像の場合、「石切梶原」のチケットを見せながら入場します。中に入ったら早い者勝ちで席を確保します。
トイレなどで席を離れる際は、上着や新聞紙などを置いて席を確保してあることがわかるようにしましょう。置き引きされる危険があるので、かばんを置いて行ってはダメです。
●通しで見る場合、座席で待機
一幕目終了後、引き続き二幕目を見る場合は、係りの方が座席までチケットを確認しにくるので、そのまま座って待っていてください。係りの方がやってきたら二幕目のチケットを見せましょう。上の画像の場合は、「吉野山」のチケットですね。二幕目終了後も同様です。
一幕見席のメリットは?
前述しましたが、場合によっては安いことです。昼の部(または夜の部)を通しで見れば、料金は3階B席と同じですが、一幕ごとに分割して見ることが可能なので、一幕のみ、あるいは二幕のみの観劇ならば、通しで見るよりも安上がりです。
それから、当日券なので見に行きたいときに手軽に利用できるのもメリットですね。
一幕見席のデメリットは?
通しで見る人が圧倒的に有利
二幕目以降から見る人は、一幕目から通しで見る人など、前の幕から見る人に順番を抜かされて行く仕組みです。
二幕目:「吉野山」
三幕目:「魚屋宗五郎」
三幕目の「魚屋宗五郎」だけ見たい時、その一幕だけ見ることは可能ですが、「石切梶原」から「魚屋宗五郎」まで通しで見る人がたくさんいたら自分は座って見られません。最悪の場合、売り切れで見られない、という理屈です。
実際には、係りの方が「通しで見る人」の数をかぞえていますので、列に並ぶときに、「今日は混雑しているので、通しでないと三幕目を見られません」と教えてくれます。空いている時には二幕目や三幕目から並んでも座って見られますが、お目当ての演目を確実に、しかも座って見たいという場合には、通しで見る必要があるのです。
このような仕組みなので、一幕目を見た後、三幕目の列に並びなおす場合、つまり上の例を使うと「吉野山」だけ見ないというパターンですが、この場合も通しで見る人が多くて三幕目を見られない恐れがあるので、注意が必要ですね。
けっこう疲れる
列の先頭のほうは腰を掛けられるのですが、後ろのほうは座れません。2時間立ちっぱなしで並ぶこともあるので、けっこう疲れます。
ひまつぶしには本を読んだり音楽を聞いたりしましょう。そのための準備をしていく必要があります。
夏は暑く、冬は寒いです。冬はカイロを使っています。
一幕見席の注意点
●連れが後から合流するのはマナー違反
例えば、私が列に先に並んでいて、1時間ほど遅れてきた友人が私と合流する、というのはダメです。二人そろって並びましょう。
トイレで抜けるのはOKですが、なるべく早めに戻りましょう。チケット販売時に列に並んでいないと買えません。
●ほかの階には入れない
1階の売店や、3階のたい焼きのお店には行けません。
前の月の公演の舞台写真ならば5階のお土産処「楽座」で買うことができます。地下2階、木挽町広場のコンビニの奥にエレベーターがあるので、そこから5階へ行けます。
●係りの方の指示に従いましょう
基本的に複数の係りの方が列の管理をしていますので、昼の部の列と夜の部の列が混ざるなんてことにはなりませんから、いくら早めに並んでも大丈夫です。安心して並びましょう。
●花道すべてを見るのは諦めてください
花道の舞台寄りのほうは見えます。これは一幕見席も3階席も同じです。
観劇マナー
●前のめりにならない(後ろの観客の邪魔になるから)
●帽子は取る(後ろの観客の邪魔になるから)
●途中退席は可能です。具合が悪くなったら外に出ても大丈夫です。
ただし、他の観客の邪魔になる場合があるのでトイレは開幕前に済ませましょう。
歌舞伎座に行く服装は着物じゃなくてOK!それよりマナーのほうが大切です。
一幕見席の観劇テクニック
手すりについて
椅子席前列は、前にある手すりが視界に入って観劇の邪魔になる場合があるので、お尻に敷いて座高を少し高くするためのタオルを数枚持参すると良いです。後列のほうが角度がつくので見やすいという意見もあります。小柄な母は「後ろの方が見やすい」と言っています。イヤホンガイドは利用するべきか
イヤホンガイドは歌舞伎の舞台の展開やセリフに合わせて、イヤホンで解説を聞くというサービスです。好みによりますが、私は歌舞伎を見始めた頃も含めて利用したことはありません。私は、よくわからないことがあっても気にせずにそのまま見ます。後で調べることもありますが、基本的に放ったらかしです。
特に初心者の方は劇場や舞台の雰囲気を楽しむのが重要だと私は考えています。
ただ、予習はいまでもするので、チラシの裏のあらすじに目を通しておくだけでも、より楽しめるようになると思います。
終わりに
これから一幕見席に行こうと考えている方のお役に立てたら幸いです。ぜひ歌舞伎座の舞台を楽しんでください。
最後までご覧くださりありがとうございました。