こちらのページでは百人一首に収録されている恋の歌の一覧表とその現代語訳、さらにテーマごとの分類をご紹介します。
小倉百人一首の恋の歌はぜんぶで43首にのぼり、和歌を分類した中では最も多いです。
そもそも和歌は恋する相手に自らの思いを伝える手段であり、恋愛をするためには欠かせないものでしたから、数が多くなるのも当然と言えます。
激しい恋心を胸に秘めた歌をはじめ、会いたい気持ちを募らせる片思いの歌、浮気な男を恨む女の歌、嫉妬や失恋に涙を流す切ない歌、意中の人を夢にまで見る歌など、人気の歌や有名な歌を解説つきで一覧にまとめました。百人一首の恋の世界をお楽しみください。
百人一首「恋の歌」一覧(歌番号順)
まずは恋の歌を一覧にして並べます。現代語訳一覧はこの表の続きに表示します。表の左端にある歌番号を押すと、言葉の意味や文法の解説をご覧いただけます。
本文 | 作者 | |
3 | あしひきのやまどりのをのしだりをの、ながながしよをひとりかもねむ | 柿本人麻呂 |
13 | つくばねのみねよりおつるみなのがは、こひぞつもりてふちとなりぬる | 陽成院 |
14 | みちのくのしのぶもぢずりたれゆゑに、みだれそめにしわれならなくに | 河原左大臣 |
18 | すみのえのきしによるなみよるさへや、ゆめのかよひぢひとめよくらむ | 藤原敏行朝臣 |
19 | なにはがたみじかきあしのふしのまも、あはでこのよをすぐしてよとや | 伊勢 |
20 | わびぬればいまはたおなじなにはなる、みをつくしてもあはむとぞおもふ | 元良親王 |
21 | いまこむといひしばかりにながつきの、ありあけのつきをまちいでつるかな | 素性法師 |
25 | なにしおはばあふさかやまのさねかづら、ひとにしられでくるよしもがな | 三条右大臣 |
27 | みかのはらわきてながるるいづみがは、いつみきとてかこひしかるらむ | 中納言兼輔 |
30 | ありあけのつれなくみえしわかれより、あかつきばかりうきものはなし | 壬生忠岑 |
38 | わすらるるみをばおもはずちかひてし、ひとのいのちのをしくもあるかな | 右近 |
39 | あさぢふのをののしのはらしのぶれど、あまりてなどかひとのこひしき | 参議等 |
40 | しのぶれどいろにいでにけりわがこひは、ものやおもふとひとのとふまで | 平兼盛 |
41 | こひすてふわがなはまだきたちにけり、ひとしれずこそおもひそめしか | 壬生忠見 |
42 | ちぎりきなかたみにそでをしぼりつつ、すゑのまつやまなみこさじとは | 清原元輔 |
43 | あひみてののちのこころにくらぶれば、むかしはものをおもはざりけり | 権中納言敦忠 |
44 | あふことのたえてしなくはなかなかに、ひとをもみをもうらみざらまし | 中納言朝忠 |
45 | あはれともいふべきひとはおもほえで、みのいたづらになりぬべきかな | 謙徳公 |
46 | ゆらのとをわたるふなびとかぢをたえ、ゆくへもしらぬこひのみちかな | 曽祢好忠 |
48 | かぜをいたみいはうつなみのおのれのみ、くだけてものをおもふころかな | 源重之 |
49 | みかきもりゑじのたくひのよるはもえ、ひるはきえつつものをこそおもへ | 大中臣能宣朝臣 |
50 | きみがためをしからざりしいのちさへ、ながくもがなとおもひけるかな | 藤原義孝 |
51 | かくとだにえやはいぶきのさしもぐさ、さしもしらじなもゆるおもひを | 藤原実方朝臣 |
52 | あけぬればくるるものとはしりながら、なほうらめしきあさぼらけかな | 藤原道信朝臣 |
53 | なげきつつひとりぬるよのあくるまは、いかにひさしきものとかはしる | 右大将道綱母 |
54 | わすれじのゆくすゑまではかたければ、けふをかぎりのいのちともがな | 儀同三司母 |
56 | あらざらむこのよのほかのおもひでに、いまひとたびのあふこともがな | 和泉式部 |
58 | ありまやまゐなのささはらかぜふけば、いでそよひとをわすれやはする | 大弐三位 |
59 | やすらはでねなましものをさよふけて、かたぶくまでのつきをみしかな | 赤染衛門 |
63 | いまはただおもひたえなむとばかりを、ひとづてならでいふよしもがな | 左京大夫道雅 |
65 | うらみわびほさぬそでだにあるものを、こひにくちなむなこそをしけれ | 相模 |
72 | おとにきくたかしのはまのあだなみは、かけじやそでのぬれもこそすれ | 祐子内親王家紀伊 |
74 | うかりけるひとをはつせのやまおろしよ、はげしかれとはいのらぬものを | 源俊頼朝臣 |
77 | せをはやみいはにせかるるたきがはの、われてもすゑにあはむとぞおもふ | 崇徳院 |
80 | ながからむこころもしらずくろかみの、みだれてけさはものをこそおもへ | 待賢門院堀河 |
82 | おもひわびさてもいのちはあるものを、うきにたへぬはなみだなりけり | 道因法師 |
85 | よもすがらものおもふころはあけやらで、ねやのひまさへつれなかりけり | 俊恵法師 |
86 | なげけとてつきやはものをおもはする、かこちがほなるわがなみだかな | 西行法師 |
88 | なにはえのあしのかりねのひとよゆゑ、みをつくしてやこひわたるべき | 皇嘉門院別当 |
89 | たまのをよたえなばたえねながらへば、しのぶることのよわりもぞする | 式子内親王 |
90 | みせばやなをじまのあまのそでだにも、ぬれにぞぬれしいろはかはらず | 殷富門院大輔 |
92 | わがそではしほひにみえぬおきのいしの、ひとこそしらねかわくまもなし | 二条院讃岐 |
97 | こぬひとをまつほのうらのゆふなぎに、やくやもしほのみもこがれつつ | 権中納言定家 |
恋の歌現代語訳一覧表
本文 | 現代語訳 | |
3 | あしひきの やまどりのをの しだりをの、 ながながしよを ひとりかもねむ | 山鳥の長く垂れ下がっている尾のように、長い夜をひとりで寝るのだろうか。【柿本人麻呂】 |
13 | つくばねの みねよりおつる みなのがは、 こひぞつもりて ふちとなりぬる | 筑波山の峰から流れ落ちるみなの川の深いところのように、私の恋も積もりに積もって淵のように深くなったのだ。【陽成院】 |
14 | みちのくの しのぶもぢずり たれゆゑに、 みだれそめにし われならなくに | 陸奥国の信夫郡で作られる忍草のすり染めの模様が乱れているように、あなた以外の誰かのせいで思い乱れた私ではないのに。【河原左大臣】 |
18 | すみのえの きしによるなみ よるさへや、 ゆめのかよひぢ ひとめよくらむ | 住の江の岸によせる波ではないけれど、昼だけでなく夜までも、どうしてあの人は夢の中の通い路で人目を避けているのだろうか。【藤原敏行朝臣】 |
19 | なにはがた みじかきあしの ふしのまも、 あはでこのよを すぐしてよとや | 難波潟に生えている葦の、その短い節と節の間のように短い間も、あなたに逢わずにこの世を過ごせと言うのでしょうか。【伊勢】 |
20 | わびぬれば いまはたおなじ なにはなる、 みをつくしても あはむとぞおもふ | 嘆いているので、今となってはやはり同じことだ。難波にある澪標ではないけれど、この身をほろぼしても逢おうと思うのだ。【元良親王】 |
21 | いまこむと いひしばかりに ながつきの、 ありあけのつきを まちいでつるかな | あなたが「今行きます」と言ったばかりに、九月の長い夜の、有明の月が出るまで、私はあなたが来るのか来ないのか考えながら、お待ちしてしまったことだ。【素性法師】 |
25 | なにしおはば あふさかやまの さねかづら、 ひとにしられで くるよしもがな | 「逢(あ)って寝る」という名を持っているならば、逢坂山のさねかずらよ、人に知られずにあなたのところに来ることができたらなあ。【三条右大臣】 |
27 | みかのはら わきてながるる いづみがは、 いつみきとてか こひしかるらむ | 「甕(みか)」という名をもつ「みかの原」に湧いて流れる泉川の、その「いつみ」ではないけれど、いつ見たということから、これほどまで恋しいのだろうか。【中納言兼輔】 |
30 | ありあけの つれなくみえし わかれより、 あかつきばかり うきものはなし | 月が空に残っているうちに夜明けになったその頃に、つめたく見えたあなたとの無情な別れ以来、暁ほどつらいものはない。【壬生忠岑】 |
38 | わすらるる みをばおもはず ちかひてし、 ひとのいのちの をしくもあるかな | あなたに忘れられる我が身のことは何ともおもわないが、心変わりしないと誓ったあなたの命が、誓いを破った罰で失われることがもったいなくも思われることだ。【右近】 |
39 | あさぢふの をののしのはら しのぶれど、 あまりてなどか ひとのこひしき | 浅茅の生えている野原の篠原よ、その「しの」ではないが、いくら耐えしのんでも、こらえきれないほど、どうしてあなたが恋しいのか。【参議等】 |
40 | しのぶれど いろにいでにけり わがこひは、 ものやおもふと ひとのとふまで | 隠しても顔色に出てしまった、私の恋は。「物思いをしているのか」と人が尋ねるほどに。【平兼盛】 |
41 | こひすてふ わがなはまだき たちにけり、 ひとしれずこそ おもひそめしか | 「恋をしている」という私の評判は早くも立ってしまった。人知れず心ひそかに思い初めたのに。【壬生忠見】 |
42 | ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ、 すゑのまつやま なみこさじとは | 心変わりすることはあるまいと、あなたと約束いたしましたのに。お互いに涙で濡れた袖をしぼりながら、「末の松山を波が越えることはあるまい」と。【清原元輔】 |
43 | あひみての のちのこころに くらぶれば、 むかしはものを おもはざりけり | あなたにお逢いして契りを結んでから後の、恋しい心に比べると、それ以前は何の物思いもしなかったと同じことだ。【権中納言敦忠】 |
44 | あふことの たえてしなくは なかなかに、 ひとをもみをも うらみざらまし | 逢うということがまったく期待できないならば、もうあきらめてしまって、そうすればかえって、相手の無情さも自分の不運さも、恨むことがないだろうに。【中納言朝忠】 |
45 | あはれとも いふべきひとは おもほえで、 みのいたづらに なりぬべきかな | たとえ恋焦がれて死んだとしても、私を「ああ、かわいそうだ」と言ってくれそうな人は思い浮かばず、きっと私はむなしく死んでしまうのだろうな。【謙徳公】 |
46 | ゆらのとを わたるふなびと かぢをたえ、 ゆくへもしらぬ こひのみちかな | 由良の水路を漕いで渡る舟人がかじを失って困りはてるように、たよりとする人を失って行方もわからない恋の道であることだ。【曽祢好忠】 |
48 | かぜをいたみ いはうつなみの おのれのみ、 くだけてものを おもふころかな | 風が強いので、岩は全く動じずに、岩にぶつかる波だけがくだけちるように、あなたは全く心を動かさずに自分だけが、心もくだけるばかりに胸のうちで思いにふけるこのごろであるよ。【源重之】 |
49 | みかきもり ゑじのたくひの よるはもえ、 ひるはきえつつ ものをこそおもへ | 内裏(だいり)の御垣守(みかきもり)である衛士の焚く火のように、夜は恋の思いに燃えて、昼は心も消え入りそうになって、毎日のように思いわずらっていることだ。【大中臣能宣朝臣】 |
50 | きみがため をしからざりし いのちさへ、 ながくもがなと おもひけるかな | あなたに逢うために、惜しくはないと思った命までも、こうしてお逢いできたあとは、長く生きていたいと思われることです。【藤原義孝】 |
51 | かくとだに えやはいぶきの さしもぐさ、 さしもしらじな もゆるおもひを | 「わたしはこのように恋をしている」とだけでも言うことができないので、伊吹山のさしも草ではないけれど、これほど燃えているわたしの思いを、あなたは知らないでしょうね。【藤原実方朝臣】 |
52 | あけぬれば くるるものとは しりながら、 なほうらめしき あさぼらけかな | 「夜が明けるといつも日が暮れて、そして、あなたに逢えるのだ」とは知っていながら、やはり恨めしいのは(恋人と別れる時間の)夜が明ける頃であるよ。【藤原道信朝臣】 |
53 | なげきつつ ひとりぬるよの あくるまは、 いかにひさしき ものとかはしる | あなたが来ないのを嘆きながら、一人で寝る夜が明けるまでの間は、どれほど長いものなのか、あなたは知っているだろうか、いや、知らないだろう。【右大将道綱母】 |
54 | わすれじの ゆくすゑまでは かたければ、 けふをかぎりの いのちともがな | あなたが私を忘れまいとおっしゃる、その遠い将来のことまでは、頼みにしがたいことなので、こうしてお逢いしている今日かぎりの命であってほしいものです。【儀同三司母】 |
56 | あらざらむ このよのほかの おもひでに、 いまひとたびの あふこともがな | この世からいなくなってしまうので、思い出にもう一度あなたにお逢いしたいのです。【和泉式部】 |
58 | ありまやま ゐなのささはら かぜふけば、 いでそよひとを わすれやはする | 有馬山にほど近い猪名の笹原に風が吹くと、笹の葉がそよそよと音をたてるように、さあ、そうですよ、あなたのことを忘れることがありましょうか、いや、けっして忘れません。【大弐三位】 |
59 | やすらはで ねなましものを さよふけて、 かたぶくまでの つきをみしかな | あなたが来ないと知っていたら、ためらわずに寝てしまったのですが、あなたをお待ちして、夜が更けて西の空にかたむくほどの月を見てしまったことです。【赤染衛門】 |
63 | いまはただ おもひたえなむ とばかりを、 ひとづてならで いふよしもがな | 逢っていただけない今となっては、「あなたに対する思いもきっと途切れさせてしまいましょう」とだけ、人づてではなく、直接お目にかかって言う方法があればなあ。【左京大夫道雅】 |
65 | うらみわび ほさぬそでだに あるものを、 こひにくちなむ なこそをしけれ | うらみにうらんで、もはやうらむ気力すら失って、涙でかわくひまもない袖さえくちおしく思われるのに、恋の評判のためにきっと朽ちてしまうであろう私の名がもったいないことだ。【相模】 |
72 | おとにきく たかしのはまの あだなみは、 かけじやそでの ぬれもこそすれ | 評判の高い高師の浜のいたずらに立ち騒ぐ波ではないけれど、浮気者のあなたを心に掛けることはいたしません。涙で袖を濡らすことになるといけないから。【祐子内親王家紀伊】 |
74 | うかりける ひとをはつせの やまおろしよ、 はげしかれとは いのらぬものを | つれなくなった人を、初瀬の山おろしよ、その風がはげしく吹きつけるようにあの人がますますつれない態度をとるようにとは、祈らなかったのだが。【源俊頼朝臣】 |
77 | せをはやみ いはにせかるる たきがはの、 われてもすゑに あはむとぞおもふ | 川の浅い所は流れが速いので、岩にせき止められる急流が二つに分かれても最後には一つになるように、いつかは一緒になろうと思うのだ。【崇徳院】 |
80 | ながからむ こころもしらず くろかみの、 みだれてけさは ものをこそおもへ | 私に対するお心が長く続くかもわからず、お逢いして別れた今朝の私の心は、黒髪のように乱れて思い悩むことです。【待賢門院堀河】 |
82 | おもひわび さてもいのちは あるものを、 うきにたへぬは なみだなりけり | つれない恋人を思いつづけて、もはや物思いにふける気力すら失っても、それでも命はあるのだが、つらさにこらえきれないのは涙で、たえずこぼれ落ちつづけることだ。【道因法師】 |
85 | よもすがら ものおもふころは あけやらで、 ねやのひまさへ つれなかりけり | 一晩中、胸のうちでつれない人を思いつづけるころは、「早く朝になってほしい」と思うけれど明けきらずに、恋人だけでなく、なかなか白んでこない寝室の戸のすきままでもが、無情に思われることだ。【俊恵法師】 |
86 | なげけとて つきやはものを おもはする、 かこちがほなる わがなみだかな | 「嘆け」と言って、月は私に物思いをさせるのか、いや、そうではない。つれない恋人のせいだ。それなのに月のせいにして、うらめしそうな顔つきで流れ落ちる私の涙であることだ。【西行法師】 |
88 | なにはえの あしのかりねの ひとよゆゑ、 みをつくしてや こひわたるべき | 難波に生えている葦(あし)の、その刈り根の一節(ひとよ)のように短い一夜をともに過ごしたせいで、澪標(みおつくし)ではないけれど、この身をささげつくして恋をしつづけなければならないのだろうか。【皇嘉門院別当】 |
89 | たまのをよ たえなばたえね ながらへば、 しのぶることの よわりもぞする | 私の命よ、絶えてしまうならば絶えてしまえ。生き長らえていたら、胸の内に秘める力が弱まって、秘めていられなくなってしまうと困るから。【式子内親王】 |
90 | みせばやな をじまのあまの そでだにも、 ぬれにぞぬれし いろはかはらず | あなたにお見せしたいものだ。雄島の海人の袖さえ、いくら濡れても色は変わらない。それなのに、血の涙に濡れて色が変わってしまった私の袖を。【殷富門院大輔】 |
92 | わがそでは しほひにみえぬ おきのいしの、 ひとこそしらね かわくまもなし | 私の袖は、干潮の時でも見えない沖の石のように、人は知らないが、涙にぬれてかわくひまもない。【二条院讃岐】 |
97 | こぬひとを まつほのうらの ゆふなぎに、 やくやもしほの みもこがれつつ | いつまで経っても来ない恋人を待っております。松帆の浦の風がやんだ夕方、その時に焼く藻塩のように、私の身も恋い焦がれながら。【権中納言定家】 |
※恋以外の歌の訳はこちら
テーマごとの分類
百人一首の恋の歌を内容に注目して分類する場合、どのような基準を設定するのか、というのは非常にむずかしいのですが、今回は二つの基準を決めました。
①快・不快の感情
②逢瀬(おうせ)の前後
①は、喜怒哀楽のさまざまな感情を、良いほう(快)・悪いほう(不快)の二つにおおまかに分けてしまう考えです。
いっぽう②は、歌の内容が男女が逢(あ)う以前のことなのか、それともすでに逢っていて、関係がつづいている状況を想定したものなのか、という視点です。ちなみに「逢ふ」というのは単に会うのではなく、共に寝ることを意味します。「見る」も同じような使い方をします。
百人一首の恋の歌分類表
快 | 不快 | ||
贅沢な悩み | 強い不快感 | ||
逢 瀬 の 前 | 13つくばねの 27みかのはら | 18すみのえの 19なにはがた 39あさぢふの 40しのぶれど 41こひすてふ 44あふことの 48かぜをいたみ 49みかきもり 51かくとだに 72おとにきく 74うかりける 89たまのをよ 92わがそでは | |
不 明 | 3あしひきの 25なにしおはば 46ゆらのとを | ||
逢 瀬 の 後 | 50きみがため 77せをはやみ | 14みちのくの 43あひみての 52あけぬれば 54わすれじの 56あらざらむ 80ながからむ | 20わびぬれば 21いまこむと 30ありあけの 38わすらるる 42ちぎりきな 45あはれとも 53なげきつつ 58ありまやま 59やすらはで 63いまはただ 65うらみわび 82おもひわび 85よもすがら 86なげけとて 88なにはえの 90みせばやな 97こぬひとを |
※上の句を押すと歌の解説に移動します。
上の表のとおり、恋の和歌の分布は「快」のほうに少なく「不快」のほうに偏っているので、百人一首の中には純粋に恋の喜びを歌ったものはほとんどないと言えます。あえて例をあげるとすれば、「13つくばねの」「50きみがため」などの歌は内容が比較的おだやかです。
それでは次に、恋の歌の大半を占める「不快」の歌について細かく見てみましょう。
逢瀬の前
分類表の上のほうは恋愛の初期の段階、つまり男女が共寝をする前のことをあつかった歌です。主なテーマは次の二つです。
テーマ | 例 |
ア)意中の相手が自分になびかないことを嘆く片思いの歌 | 18すみのえの 19なにはがた 44あふことの 48かぜをいたみ 74うかりける |
イ)ひそかに恋心を抱きながら苦しみに耐える歌 | 39あさぢふの 40しのぶれど 41こひすてふ 49みかきもり 51かくとだに 89たまのをよ 92わがそでは |
逢瀬の後
いっぽう分類表の下のほうは恋愛の中盤から終盤にかけての段階、つまり倦怠期や別れなどをあつかった歌です。主なテーマは次の四つです。
テーマ | 例 |
ウ)ひとり寝床で恋人を待つ、あるいは思う歌 | 21いまこむと 53なげきつつ 59やすらはで 85よもすがら 97こぬひとを |
エ)疎遠になったつれない恋人に対する歌 | 30ありあけの 38わすらるる 58ありまやま |
オ)涙に関する歌(※92番歌も含む) | 42ちぎりきな 65うらみわび 82おもひわび 86なげけとて 90みせばやな 92わがそでは |
カ)恋人との別れを余儀なくされ、悲痛な思いを訴える歌 | 20わびぬれば 63いまはただ |
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