小倉百人一首をあいうえお順と歌番号順の両方で一覧表示しました。すべてひらがな表記です。このページから各歌の解説ページに移動することが可能です。この百人一首一覧は現代仮名遣いのふりがな付きなので、有名な和歌から人気の歌まで、小学生のお子様も簡単に読み方をご確認いただけます。
目次
百人一首一覧(歌番号順・あいうえお順・五十音順)
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歌番号順一覧
番号 | 和歌 | 作者 |
序歌 | 難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花 なには(わ)づに さくやこのはな ふゆごもり いまははるべと さくやこのはな | 王仁 わに |
001 | 秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ あきのたの かりほのいほ(お)の とまをあらみ わがころもでは つゆにぬれつつ | 天智天皇 てんじてんのう |
002 | 春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山 はるすぎて なつきにけらし しろたへ(え)の ころもほすてふ(ちょう) あまのかぐやま | 持統天皇 じとうてんのう |
003 | あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む あしびきの やまどりのを(お)の しだりを(お)の ながながしよを ひとりかもねむ(ん) | 柿本人麻呂 かきのもとのひとまろ |
004 | 田子の浦に うちいでて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪はふりつつ たごのうらに うちいでてみれば しろたへ(え)の ふじのたかねに ゆきはふりつつ | 山辺赤人 やまべのあかひと |
005 | 奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋は悲しき おくやまに もみぢ(じ)ふみわけ なくしかの こゑ(え)きくときぞ あきはかなしき | 猿丸大夫 さるまるだゆう |
006 | かささぎの わたせる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける かささぎの わたせるはしに おくしもの しろきをみれば よぞふけにける | 大伴家持 おおとものやかもち |
007 | 天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に いでし月かも あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも | 阿部仲麿 あべのなかまろ |
008 | わが庵は 都のたつみ しかぞ住む 世を宇治山と 人は言ふなり わがいほ(お)は みやこのたつみ しかぞすむ よをうぢ(じ)やまと ひとはいふ(う)なり | 喜撰法師 きせんほうし |
009 | 花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに はなのいろは うつりにけりな いたづ(ず)らに わがみよにふる ながめせしまに | 小野小町 おののこまち |
010 | これやこの 行くも帰るも わかれては 知るも知らぬも 逢坂の関 これやこの ゆくもかへ(え)るも わかれては しるもしらぬも あふ(おう)さかのせき | 蝉丸 せみまる |
011 | わたの原 八十島かけて 漕ぎいでぬと 人にはつげよ あまのつり舟 わたのはら やそしまかけて こぎいでぬと ひとにはつげよ あまのつりぶね | 参議篁 さんぎたかむら |
012 | 天つ風 雲の通ひ路 ふきとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ あまつかぜ くものかよひ(い)ぢ(じ) ふきとぢ(じ)よ を(お)とめのすがた しばしとどめむ(ん) | 僧正遍昭 そうじょうへんじょう |
013 | つくばねの みねよりおつる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる つくばねの みねよりおつる みなのがは(わ) こひ(い)ぞつもりて ふちとなりぬる | 陽成院 ようぜいいん |
014 | 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに みだれそめにし われならなくに みちのくの しのぶもぢ(じ)ずり たれゆゑ(え)に みだれそめにし われならなくに | 河原左大臣 かわらのさだいじん |
015 | 君がため 春の野にいでて 若菜つむ わが衣手に 雪はふりつつ きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ | 光孝天皇 こうこうてんのう |
016 | 立ちわかれ いなばの山の みねに生ふる まつとし聞かば いま帰り来む たちわかれ いなばのやまの みねにおふ(う)る まつとしきかば いまかへ(え)りこむ(ん) | 中納言行平 ちゅうなごんゆきひら |
017 | ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは ちはやぶる かみよもきかず たつたがは(わ) からくれなゐ(い)に みづ(ず)くくるとは | 在原業平朝臣 ありわらのなりひらあそん |
018 | 住江の 岸による波 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ すみのえの きしによるなみ よるさへ(え)や ゆめのかよひ(い)ぢ(じ) ひとめよくらむ(ん) | 藤原敏行朝臣 ふじわらのとしゆきあそん |
019 | 難波潟 みじかき葦の ふしの間も あはでこの世を すぐしてよとや なには(わ)がた みじかきあしの ふしのまも あは(わ)でこのよを すぐしてよとや | 伊勢 いせ |
020 | わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ わびぬれば いまはたおなじ なには(わ)なる みをつくしても あは(わ)む(ん)とぞおもふ(う) | 元良親王 もとよししんのう |
021 | いま来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ちいでつるかな いまこむ(ん)と いひ(い)しばかりに ながつきの ありあけのつきを まちいでつるかな | 素性法師 そせいほうし |
022 | 吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ ふくからに あきのくさきの しを(お)るれば むべやまかぜを あらしといふ(う)らむ(ん) | 文屋康秀 ふんやのやすひで |
023 | 月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ わがみひとつの あきにはあらねど | 大江千里 おおえのちさと |
024 | このたびは 幣もとりあへず 手向山 紅葉のにしき 神のまにまに このたびは ぬさもとりあへ(え)ず たむけやま もみぢ(じ)のにしき かみのまにまに | 菅家 かんけ |
025 | 名にしおはば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな なにしおは(わ)ば あふ(おう)さかやまの さねかづ(ず)ら ひとにしられで くるよしもがな | 三条右大臣 さんじょうのうだいじん |
026 | 小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ を(お)ぐらやま みねのもみぢ(じ)ば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなむ(ん) | 貞信公 ていしんこう |
027 | みかの原 わきて流るる いづみ川 いつみきとてか 恋しかるらむ みかのはら わきてながるる いづ(ず)みがは(わ) いつみきとてか こひ(い)しかるらむ(ん) | 中納言兼輔 ちゅうなごんかねすけ |
028 | 山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人めも草も かれぬと思へば やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもへ(え)ば | 源宗于朝臣 みなもとのむねゆきあそん |
029 | 心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花 こころあてに を(お)らばやを(お)らむ(ん) はつしもの おきまどは(わ)せる しらぎくのはな | 凡河内躬恒 おおしこうちのみつね |
030 | 有明の つれなく見えし わかれより 暁ばかり うきものはなし ありあけの つれなくみえし わかれより あかつきばかり うきものはなし | 壬生忠岑 みぶのただみね |
031 | 朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に ふれる白雪 あさぼらけ ありあけのつきと みるまでに よしののさとに ふれるしらゆき | 坂上是則 さかのうえのこれのり |
032 | 山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ もみぢなりけり やまがは(わ)に かぜのかけたる しがらみは ながれもあへ(え)ぬ もみぢ(じ)なりけり | 春道列樹 はるみちのつらき |
033 | ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しづ(ず)ごころなく はなのちるらむ(ん) | 紀友則 きのとものり |
034 | 誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに たれをかも しるひとにせむ(ん) たかさごの まつもむかしの ともならなくに | 藤原興風 ふじわらのおきかぜ |
035 | 人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににほ(お)ひ(い)ける | 紀貫之 きのつらゆき |
036 | 夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月やどるらむ なつのよは まだよひ(い)ながら あけぬるを くものいづ(ず)こに つきやどるらむ(ん) | 清原深養父 きよはらのふかやぶ |
037 | 白露に 風のふきしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける | 文屋朝康 ふんやのあさやす |
038 | 忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな わすらるる みをばおもは(わ)ず ちかひ(い)てし ひとのいのちの を(お)しくもあるかな | 右近 うこん |
039 | 浅茅生の をののしの原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき あさぢふ(う)の を(お)ののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこひ(い)しき | 参議等 さんぎひとし |
040 | しのぶれど 色にいでにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで しのぶれど いろにいでにけり わがこひ(い)は ものやおもふ(う)と ひとのとふ(う)まで | 平兼盛 たいらのかねもり |
041 | 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人しれずこそ 思ひそめしか こひ(い)すてふ(ちょう) わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもひ(い)そめしか | 壬生忠見 みぶのただみ |
042 | 契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波こさじとは ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ すゑ(え)のまつやま なみこさじとは | 清原元輔 きよはらのもとすけ |
043 | 逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり あひ(い)みての のちのこころに くらぶれば むかしはものを おもは(わ)ざりけり | 権中納言敦忠 ごんちゅうなごんあつただ |
044 | 逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも うらみざらまし あふ(おう)ことの たえてしなくは なかなかに ひとをもみをも うらみざらまし | 中納言朝忠 ちゅうなごんあさただ |
045 | あはれとも 言ふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな あは(わ)れとも いふ(う)べきひとは おもほ(お)えで みのいたづ(ず)らに なりぬべきかな | 謙徳公 けんとくこう |
046 | 由良のとを わたる舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな ゆらのとを わたるふなびと かぢ(じ)をたえ ゆくへ(え)もしらぬ こひ(い)のみちかな | 曽祢好忠 そねのよしただ |
047 | 八重むぐら しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋はきにけり やへ(え)むぐら しげれるやどの さびしきに ひとこそみえね あきはきにけり | 恵慶法師 えぎょうほうし |
048 | 風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけてものを 思ふころかな かぜをいたみ いは(わ)うつなみの おのれのみ くだけてものを おもふ(う)ころかな | 源重之 みなもとのしげゆき |
049 | みかきもり 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ ものをこそ思へ みかきもり ゑ(え)じのたくひの よるはもえ ひるはきえつつ ものをこそおもへ(え) | 大中臣能宣朝臣 おおなかとみのよしのぶあそん |
050 | 君がため 惜しからざりし 命さへ ながくもがなと 思ひけるかな きみがため を(お)しからざりし いのちさへ(え) ながくもがなと おもひ(い)けるかな | 藤原義孝 ふじわらのよしたか |
051 | かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな もゆる思ひを かくとだに えやは(わ)いぶきの さしもぐさ さしもしらじな もゆるおもひ(い)を | 藤原実方朝臣 ふじわらのさねかたあそん |
052 | 明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほうらめしき 朝ぼらけかな あけぬれば くるるものとは しりながら なほ(お)うらめしき あさぼらけかな | 藤原道信朝臣 ふじわらのみちのぶあそん |
053 | なげきつつ ひとりぬる夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る なげきつつ ひとりぬるよの あくるまは いかにひさしき ものとかは(わ)しる | 右大将道綱母 うだいしょうみちつなのはは |
054 | わすれじの 行く末までは かたければ 今日をかぎりの 命ともがな わすれじの ゆくすゑ(え)までは かたければ けふ(きょう)をかぎりの いのちともがな | 儀同三司母 ぎどうさんしのはは |
055 | 滝の音は 絶えてひさしく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ たきのおとは たえてひさしく なりぬれど なこそながれて なほ(お)きこえけれ | 大納言公任 だいなごんきんとう |
056 | あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの 逢ふこともがな あらざらむ(ん) このよのほかの おもひ(い)でに いまひとたびの あふ(おう)こともがな | 和泉式部 いずみしきぶ |
057 | めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな めぐりあひ(い)て みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし よは(わ)のつきかな | 紫式部 むらさきしきぶ |
058 | 有馬山 猪名の笹原 風ふけば いでそよ人を 忘れやはする ありまやま ゐ(い)なのささはら かぜふけば いでそよひとを わすれやは(わ)する | 大弐三位 だいにのさんみ |
059 | やすらはで 寝なましものを 小夜ふけて かたぶくまでの 月をみしかな やすらは(わ)で ねなましものを さよふけて かたぶくまでの つきをみしかな | 赤染衛門 あかぞめえもん |
060 | 大江山 いくのの道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立 おほ(お)えやま いくののみちの とほ(お)ければ まだふみもみず あまのはしだて | 小式部内侍 こしきぶのないし |
061 | いにしへの 奈良の都の 八重桜 今日九重に にほひぬるかな いにしへ(え)の ならのみやこの やへ(え)ざくら けふ(きょう)ここのへ(え)に にほ(お)ひ(い)ぬるかな | 伊勢大輔 いせのたいふ |
062 | 夜をこめて 鳥のそらねは はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ よをこめて とりのそらねは はかるとも よにあふ(おう)さかの せきはゆるさじ | 清少納言 せいしょうなごん |
063 | いまはただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな いまはただ おもひ(い)たえなむ(ん) とばかりを ひとづてならで いふ(う)よしもがな | 左京大夫道雅 さきょうのだいぶみちまさ |
064 | 朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々の網代木 あさぼらけ うぢ(じ)のかは(わ)ぎり たえだえに あらは(わ)れわたる せぜのあじろぎ | 権中納言定頼 ごんちゅうなごんさだより |
065 | うらみわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ うらみわび ほさぬそでだに あるものを こひ(い)にくちなむ(ん) なこそを(お)しけれ | 相模 さがみ |
066 | もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに しる人もなし もろともに あは(わ)れとおもへ(え) やまざくら はなよりほかに しるひともなし | 前大僧正行尊 さきのだいそうじょうぎょうそん |
067 | 春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ はるのよの ゆめばかりなる たまくらに かひ(い)なくたたむ(ん) なこそを(お)しけれ | 周防内侍 すおうのないし |
068 | こころにも あらでうき世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな こころにも あらでうきよに ながらへ(え)ば こひ(い)しかるべき よは(わ)のつきかな | 三条院 さんじょういん |
069 | あらしふく 三室の山の もみぢ葉は 龍田の川の にしきなりけり あらしふく みむろのやまの もみぢ(じ)ばは たつたのかは(わ)の にしきなりけり | 能因法師 のういんほうし |
070 | さびしさに 宿を立ちいでて ながむれば いづこもおなじ 秋の夕暮れ さびしさに やどをたちいでて ながむれば いづ(ず)こもおなじ あきのゆふ(う)ぐれ | 良暹法師 りょうぜんほうし |
071 | 夕されば 門田の稲葉 おとづれて 葦のまろやに 秋風ぞふく ゆふ(う)されば かどたのいなば おとづ(ず)れて あしのまろやに あきかぜぞふく | 大納言経信 だいなごんつねのぶ |
072 | 音にきく 高師の浜の あだ波は かけじや袖の ぬれもこそすれ おとにきく たかしのはまの あだなみは かけじやそでの ぬれもこそすれ | 祐子内親王家紀伊 ゆうしないしんのうけのきい |
073 | 高砂の 尾の上の桜 さきにけり 外山の霞 たたずもあらなむ たかさごの を(お)のへ(え)のさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなむ(ん) | 権中納言匡房 ごんちゅうなごんまさふさ |
074 | うかりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは いのらぬものを うかりける ひとをはつせの やまおろしよ はげしかれとは いのらぬものを | 源俊頼朝臣 みなもとのとしよりあそん |
075 | ちぎりおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あは(わ)れことしの あきもいぬめり | 藤原基俊 ふじわらのもととし |
076 | わたの原 漕ぎいでて見れば ひさかたの 雲居にまがふ 沖つ白波 わたのはら こぎいでてみれば ひさかたの くもゐ(い)にまがふ(ごう) おきつしらなみ | 法性寺入道前関白太政大臣 ほっしょうじにゅうどうさきのかんぱくだいじょうだいじん |
077 | 瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ せを(お)はやみ いは(わ)にせかるる たきがは(わ)の われてもすゑ(え)に あは(わ)む(ん)とぞおもふ(う) | 崇徳院 すとくいん |
078 | 淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に 幾夜ねざめぬ 須磨の関守 あは(わ)ぢ(じ)しま かよふ(う)ちどりの なくこゑ(え)に いくよねざめぬ すまのせきもり | 源兼昌 みなもとのかねまさ |
079 | 秋風に たなびく雲の 絶え間より もれいづる月の 影のさやけさ あきかぜに たなびくくもの たえまより もれいづるつきの かげのさやけさ | 左京大夫顕輔 さきょうのだいぶあきすけ |
080 | ながからむ 心も知らず 黒髪の みだれて今朝は ものをこそ思へ ながからむ(ん) こころもしらず くろかみの みだれてけさは ものをこそおもへ(え) | 待賢門院堀河 たいけんもんいんのほりかわ |
081 | ほととぎす 鳴きつるかたを ながむれば ただ有明の 月ぞのこれる ほととぎす なきつるかたを ながむれば ただありあけの つきぞのこれる | 後徳大寺左大臣 ごとくだいじのさだいじん |
082 | 思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり おもひ(い)わび さてもいのちは あるものを うきにたへ(え)ぬは なみだなりけり | 道因法師 どういんほうし |
083 | よのなかよ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる よのなかよ みちこそなけれ おもひ(い)いる やまのおくにも しかぞなくなる | 皇太后宮大夫俊成 こうたいごうぐうのだいぶしゅんぜい |
084 | ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき ながらへ(え)ば またこのごろや しのばれむ(ん) うしとみしよぞ いまはこひ(い)しき | 藤原清輔朝臣 ふじわらのきよすけあそん |
085 | 夜もすがら もの思ふころは 明けやらで ねやのひまさへ つれなかりけり よもすがら ものおもふ(う)ころは あけやらで ねやのひまさへ(え) つれなかりけり | 俊恵法師 しゅんえほうし |
086 | なげけとて 月やはものを 思はする かこち顔なる わが涙かな なげけとて つきやは(わ)ものを おもは(わ)する かこちがほ(お)なる わがなみだかな | 西行法師 さいぎょうほうし |
087 | 村雨の 露もまだひぬ まきの葉に 霧たちのぼる 秋の夕暮れ むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに きりたちのぼる あきのゆふ(う)ぐれ | 寂蓮法師 じゃくれんほうし |
088 | 難波江の 葦のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき なには(わ)えの あしのかりねの ひとよゆゑ(え) みをつくしてや こひ(い)わたるべき | 皇嘉門院別当 こうかもんいんのべっとう |
089 | 玉の緒よ 絶えなば絶えね 長らへば しのぶることの 弱りもぞする たまのを(お)よ たえなばたえね ながらへ(え)ば しのぶることの よわりもぞする | 式子内親王 しょくしないしんのう |
090 | 見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれにぞぬれし 色は変はらず みせばやな を(お)じまのあまの そでだにも ぬれにぞぬれし いろはかは(わ)らず | 殷富門院大輔 いんぷもんいんのたいふ |
091 | きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに ころもかたしき ひとりかも寝む きりぎりす なくやしもよの さむしろに ころもかたしき ひとりかもねむ(ん) | 後京極摂政前太政大臣 ごきょうごくせっしょうさきのだいじょうだいじん |
092 | わが袖は 潮干にみえぬ 沖の石の 人こそ知らね かわく間もなし わがそでは しほ(お)ひにみえぬ おきのいしの ひとこそしらね かわくまもなし | 二条院讃岐 にじょういんのさぬき |
093 | 世の中は つねにもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしも よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ あまのを(お)ぶねの つなでかなしも | 鎌倉右大臣 かまくらのうだいじん |
094 | み吉野の 山の秋風 小夜ふけて ふるさとさむく 衣うつなり みよしのの やまのあきかぜ さよふけて ふるさとさむく ころもうつなり | 参議雅経 さんぎまさつね |
095 | おほけなく うき世の民に おほふかな わがたつ杣に すみぞめのそで おほ(お)けなく うきよのたみに おほ(お)ふ(う)かな わがたつそまに すみぞめのそで | 前大僧正慈円 さきのだいそうじょうじえん |
096 | 花さそふ あらしの庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり はなさそふ(う) あらしのには(わ)の ゆきならで ふりゆくものは わがみなりけり | 入道前太政大臣 にゅうどうさきのだいじょうだいじん |
097 | 来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ こぬひとを まつほのうらの ゆふ(う)なぎに やくやもしほ(お)の みもこがれつつ | 権中納言定家 ごんちゅうなごんていか |
098 | 風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける かぜそよぐ ならのを(お)がは(わ)の ゆふ(う)ぐれは みそぎぞなつの しるしなりける | 従二位家隆 じゅにいいえたか |
099 | 人も惜し 人もうらめし あぢきなく 世を思ふゆゑに もの思ふ身は ひともを(お)し ひともうらめし あぢ(じ)きなく よをおもふ(う)ゆゑ(え)に ものおもふ(う)みは | 後鳥羽院 ごとばいん |
100 | 百敷や ふるき軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり ももしきや ふるきのきばの しのぶにも なほ(お)あまりある むかしなりけり | 順徳院 じゅんとくいん |
五十音順(あいうえお順)一覧
番号 | 和歌 | 作者 |
079 | 秋風に たなびく雲の 絶え間より もれいづる月の 影のさやけさ あきかぜに たなびくくもの たえまより もれいづるつきの かげのさやけさ | 左京大夫顕輔 さきょうのだいぶあきすけ |
001 | 秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ あきのたの かりほのいほ(お)の とまをあらみ わがころもでは つゆにぬれつつ | 天智天皇 てんじてんのう |
052 | 明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほうらめしき 朝ぼらけかな あけぬれば くるるものとは しりながら なほ(お)うらめしき あさぼらけかな | 藤原道信朝臣 ふじわらのみちのぶあそん |
039 | 浅茅生の をののしの原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき あさぢふ(う)の を(お)ののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこひ(い)しき | 参議等 さんぎひとし |
031 | 朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に ふれる白雪 あさぼらけ ありあけのつきと みるまでに よしののさとに ふれるしらゆき | 坂上是則 さかのうえのこれのり |
064 | 朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々の網代木 あさぼらけ うぢ(じ)のかは(わ)ぎり たえだえに あらは(わ)れわたる せぜのあじろぎ | 権中納言定頼 ごんちゅうなごんさだより |
003 | あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む あしびきの やまどりのを(お)の しだりを(お)の ながながしよを ひとりかもねむ(ん) | 柿本人麻呂 かきのもとのひとまろ |
078 | 淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に 幾夜ねざめぬ 須磨の関守 あは(わ)ぢ(じ)しま かよふ(う)ちどりの なくこゑ(え)に いくよねざめぬ すまのせきもり | 源兼昌 みなもとのかねまさ |
045 | あはれとも 言ふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな あは(わ)れとも いふ(う)べきひとは おもほ(お)えで みのいたづ(ず)らに なりぬべきかな | 謙徳公 けんとくこう |
043 | 逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり あひ(い)みての のちのこころに くらぶれば むかしはものを おもは(わ)ざりけり | 権中納言敦忠 ごんちゅうなごんあつただ |
044 | 逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも うらみざらまし あふ(おう)ことの たえてしなくは なかなかに ひとをもみをも うらみざらまし | 中納言朝忠 ちゅうなごんあさただ |
012 | 天つ風 雲の通ひ路 ふきとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ あまつかぜ くものかよひ(い)ぢ(じ) ふきとぢ(じ)よ を(お)とめのすがた しばしとどめむ(ん) | 僧正遍昭 そうじょうへんじょう |
007 | 天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に いでし月かも あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも | 阿部仲麿 あべのなかまろ |
056 | あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの 逢ふこともがな あらざらむ(ん) このよのほかの おもひ(い)でに いまひとたびの あふ(おう)こともがな | 和泉式部 いずみしきぶ |
069 | あらしふく 三室の山の もみぢ葉は 龍田の川の にしきなりけり あらしふく みむろのやまの もみぢ(じ)ばは たつたのかは(わ)の にしきなりけり | 能因法師 のういんほうし |
030 | 有明の つれなく見えし わかれより 暁ばかり うきものはなし ありあけの つれなくみえし わかれより あかつきばかり うきものはなし | 壬生忠岑 みぶのただみね |
058 | 有馬山 猪名の笹原 風ふけば いでそよ人を 忘れやはする ありまやま ゐ(い)なのささはら かぜふけば いでそよひとを わすれやは(わ)する | 大弐三位 だいにのさんみ |
061 | いにしへの 奈良の都の 八重桜 今日九重に にほひぬるかな いにしへ(え)の ならのみやこの やへ(え)ざくら けふ(きょう)ここのへ(え)に にほ(お)ひ(い)ぬるかな | 伊勢大輔 いせのたいふ |
021 | いま来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ちいでつるかな いまこむ(ん)と いひ(い)しばかりに ながつきの ありあけのつきを まちいでつるかな | 素性法師 そせいほうし |
063 | いまはただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな いまはただ おもひ(い)たえなむ(ん) とばかりを ひとづてならで いふ(う)よしもがな | 左京大夫道雅 さきょうのだいぶみちまさ |
074 | うかりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは いのらぬものを うかりける ひとをはつせの やまおろしよ はげしかれとは いのらぬものを | 源俊頼朝臣 みなもとのとしよりあそん |
065 | うらみわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ うらみわび ほさぬそでだに あるものを こひ(い)にくちなむ(ん) なこそを(お)しけれ | 相模 さがみ |
005 | 奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋は悲しき おくやまに もみぢ(じ)ふみわけ なくしかの こゑ(え)きくときぞ あきはかなしき | 猿丸大夫 さるまるだゆう |
072 | 音にきく 高師の浜の あだ波は かけじや袖の ぬれもこそすれ おとにきく たかしのはまの あだなみは かけじやそでの ぬれもこそすれ | 祐子内親王家紀伊 ゆうしないしんのうけのきい |
060 | 大江山 いくのの道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立 おほ(お)えやま いくののみちの とほ(お)ければ まだふみもみず あまのはしだて | 小式部内侍 こしきぶのないし |
095 | おほけなく うき世の民に おほふかな わがたつ杣に すみぞめのそで おほ(お)けなく うきよのたみに おほ(お)ふ(う)かな わがたつそまに すみぞめのそで | 前大僧正慈円 さきのだいそうじょうじえん |
082 | 思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり おもひ(い)わび さてもいのちは あるものを うきにたへ(え)ぬは なみだなりけり | 道因法師 どういんほうし |
051 | かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな もゆる思ひを かくとだに えやは(わ)いぶきの さしもぐさ さしもしらじな もゆるおもひ(い)を | 藤原実方朝臣 ふじわらのさねかたあそん |
006 | かささぎの わたせる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける かささぎの わたせるはし におくしもの しろきをみれば よぞふけにける | 大伴家持 おおとものやかもち |
098 | 風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける かぜそよぐ ならのを(お)がは(わ)の ゆふ(う)ぐれは みそぎぞなつの しるしなりける | 従二位家隆 じゅにいいえたか |
048 | 風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけてものを 思ふころかな かぜをいたみ いは(わ)うつなみの おのれのみ くだけてものを おもふ(う)ころかな | 源重之 みなもとのしげゆき |
015 | 君がため 春の野にいでて 若菜つむ わが衣手に 雪はふりつつ きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ | 光孝天皇 こうこうてんのう |
050 | 君がため 惜しからざりし 命さへ ながくもがなと 思ひけるかな きみがため を(お)しからざりし いのちさへ(え) ながくもがなと おもひ(い)けるかな | 藤原義孝 ふじわらのよしたか |
091 | きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに ころもかたしき ひとりかも寝む きりぎりす なくやしもよの さむしろに ころもかたしき ひとりかもねむ(ん) | 後京極摂政前太政大臣 ごきょうごくせっしょうさきのだいじょうだいじん |
029 | 心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花 こころあてに を(お)らばやを(お)らむ(ん) はつしもの おきまどは(わ)せる しらぎくのはな | 凡河内躬恒 おおしこうちのみつね |
068 | こころにも あらでうき世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな こころにも あらでうきよに ながらへ(え)ば こひ(い)しかるべき よは(わ)のつきかな | 三条院 さんじょういん |
097 | 来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ こぬひとを まつほのうらの ゆふ(う)なぎに やくやもしほ(お)の みもこがれつつ | 権中納言定家 ごんちゅうなごんていか |
024 | このたびは 幣もとりあへず 手向山 紅葉のにしき 神のまにまに このたびは ぬさもとりあへ(え)ず たむけやま もみぢ(じ)のにしき かみのまにまに | 菅家 かんけ |
041 | 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人しれずこそ 思ひそめしか こひ(い)すてふ(ちょう) わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもひ(い)そめしか | 壬生忠見 みぶのただみ |
010 | これやこの 行くも帰るも わかれては 知るも知らぬも 逢坂の関 これやこの ゆくもかへ(え)るも わかれては しるもしらぬも あふ(おう)さかのせき | 蝉丸 せみまる |
070 | さびしさに 宿を立ちいでて ながむれば いづこもおなじ 秋の夕暮れ さびしさに やどをたちいでて ながむれば いづ(ず)こもおなじ あきのゆふ(う)ぐれ | 良暹法師 りょうぜんほうし |
040 | しのぶれど 色にいでにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで しのぶれど いろにいでにけり わがこひ(い)は ものやおもふ(う)と ひとのとふ(う)まで | 平兼盛 たいらのかねもり |
037 | 白露に 風のふきしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける | 文屋朝康 ふんやのあさやす |
018 | 住江の 岸による波 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ すみのえの きしによるなみ よるさへ(え)や ゆめのかよひ(い)ぢ(じ) ひとめよくらむ(ん) | 藤原敏行朝臣 ふじわらのとしゆきあそん |
077 | 瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ せを(お)はやみ いは(わ)にせかるる たきがは(わ)の われてもすゑ(え)に あは(わ)む(ん)とぞおもふ(う) | 崇徳院 すとくいん |
073 | 高砂の 尾の上の桜 さきにけり 外山の霞 たたずもあらなむ たかさごの を(お)のへ(え)のさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなむ(ん) | 権中納言匡房 ごんちゅうなごんまさふさ |
055 | 滝の音は 絶えてひさしく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ たきのおとは たえてひさしく なりぬれど なこそながれて なほ(お)きこえけれ | 大納言公任 だいなごんきんとう |
004 | 田子の浦に うちいでて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪はふりつつ たごのうらに うちいでてみれば しろたへ(え)の ふじのたかねに ゆきはふりつつ | 山辺赤人 やまべのあかひと |
016 | 立ちわかれ いなばの山の みねに生ふる まつとし聞かば いま帰り来む たちわかれ いなばのやまの みねにおふ(う)る まつとしきかば いまかへ(え)りこむ(ん) | 中納言行平 ちゅうなごんゆきひら |
089 | 玉の緒よ 絶えなば絶えね 長らへば しのぶることの 弱りもぞする たまのを(お)よ たえなばたえね ながらへ(え)ば しのぶることの よわりもぞする | 式子内親王 しょくしないしんのう |
034 | 誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに たれをかも しるひとにせむ(ん) たかさごの まつもむかしの ともならなくに | 藤原興風 ふじわらのおきかぜ |
075 | ちぎりおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あは(わ)れことしの あきもいぬめり | 藤原基俊 ふじわらのもととし |
042 | 契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波こさじとは ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ すゑ(え)のまつやま なみこさじとは | 清原元輔 きよはらのもとすけ |
017 | ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは ちはやぶる かみよもきかず たつたがは(わ) からくれなゐ(い)に みづ(ず)くくるとは | 在原業平朝臣 ありわらのなりひらあそん |
023 | 月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ わがみひとつの あきにはあらねど | 大江千里 おおえのちさと |
013 | つくばねの みねよりおつる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる つくばねの みねよりおつる みなのがは(わ) こひ(い)ぞつもりて ふちとなりぬる | 陽成院 ようぜいいん |
080 | ながからむ 心も知らず 黒髪の みだれて今朝は ものをこそ思へ ながからむ(ん) こころもしらず くろかみの みだれてけさは ものをこそおもへ(え) | 待賢門院堀河 たいけんもんいんのほりかわ |
084 | ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき ながらへ(え)ば またこのごろや しのばれむ(ん) うしとみしよぞ いまはこひ(い)しき | 藤原清輔朝臣 ふじわらのきよすけあそん |
053 | なげきつつ ひとりぬる夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る なげきつつ ひとりぬるよの あくるまは いかにひさしき ものとかは(わ)しる | 右大将道綱母 うだいしょうみちつなのはは |
086 | なげけとて 月やはものを 思はする かこち顔なる わが涙かな なげけとて つきやは(わ)ものを おもは(わ)する かこちがほ(お)なる わがなみだかな | 西行法師 さいぎょうほうし |
036 | 夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月やどるらむ なつのよは まだよひ(い)ながら あけぬるを くものいづ(ず)こに つきやどるらむ(ん) | 清原深養父 きよはらのふかやぶ |
025 | 名にしおはば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな なにしおは(わ)ば あふ(おう)さかやまの さねかづ(ず)ら ひとにしられで くるよしもがな | 三条右大臣 さんじょうのうだいじん |
088 | 難波江の 葦のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき なには(わ)えの あしのかりねの ひとよゆゑ(え) みをつくしてや こひ(い)わたるべき | 皇嘉門院別当 こうかもんいんのべっとう |
019 | 難波潟 みじかき葦の ふしの間も あはでこの世を すぐしてよとや なには(わ)がた みじかきあしの ふしのまも あは(わ)でこのよを すぐしてよとや | 伊勢 いせ |
096 | 花さそふ あらしの庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり はなさそふ(う) あらしのには(わ)の ゆきならで ふりゆくものは わがみなりけり | 入道前太政大臣 にゅうどうさきのだいじょうだいじん |
009 | 花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに はなのいろは うつりにけりな いたづ(ず)らに わがみよにふる ながめせしまに | 小野小町 おののこまち |
002 | 春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山 はるすぎて なつきにけらし しろたへ(え)の ころもほすてふ(ちょう) あまのかぐやま | 持統天皇 じとうてんのう |
067 | 春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ はるのよの ゆめばかりなる たまくらに かひ(い)なくたたむ(ん) なこそを(お)しけれ | 周防内侍 すおうのないし |
033 | ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しづ(ず)ごころなく はなのちるらむ(ん) | 紀友則 きのとものり |
035 | 人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににほ(お)ひ(い)ける | 紀貫之 きのつらゆき |
099 | 人も惜し 人もうらめし あぢきなく 世を思ふゆゑに もの思ふ身は ひともを(お)し ひともうらめし あぢ(じ)きなく よをおもふ(う)ゆゑ(え)に ものおもふ(う)みは | 後鳥羽院 ごとばいん |
022 | 吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ ふくからに あきのくさきの しを(お)るれば むべやまかぜを あらしといふ(う)らむ(ん) | 文屋康秀 ふんやのやすひで |
081 | ほととぎす 鳴きつるかたを ながむれば ただ有明の 月ぞのこれる ほととぎす なきつるかたを ながむれば ただありあけの つきぞのこれる | 後徳大寺左大臣 ごとくだいじのさだいじん |
049 | みかきもり 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ ものをこそ思へ みかきもり ゑ(え)じのたくひの よるはもえ ひるはきえつつ ものをこそおもへ(え) | 大中臣能宣朝臣 おおなかとみのよしのぶあそん |
027 | みかの原 わきて流るる いづみ川 いつみきとてか 恋しかるらむ みかのはら わきてながるる いづ(ず)みがは(わ) いつみきとてか こひ(い)しかるらむ(ん) | 中納言兼輔 ちゅうなごんかねすけ |
090 | 見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれにぞぬれし 色は変はらず みせばやな を(お)じまのあまの そでだにも ぬれにぞぬれし いろはかは(わ)らず | 殷富門院大輔 いんぷもんいんのたいふ |
014 | 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに みだれそめにし われならなくに みちのくの しのぶもぢ(じ)ずり たれゆゑ(え)に みだれそめにし われならなくに | 河原左大臣 かわらのさだいじん |
094 | み吉野の 山の秋風 小夜ふけて ふるさとさむく 衣うつなり みよしのの やまのあきかぜ さよふけて ふるさとさむく ころもうつなり | 参議雅経 さんぎまさつね |
087 | 村雨の 露もまだひぬ まきの葉に 霧たちのぼる 秋の夕暮れ むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに きりたちのぼる あきのゆふ(う)ぐれ | 寂蓮法師 じゃくれんほうし |
057 | めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな めぐりあひ(い)て みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし よは(わ)のつきかな | 紫式部 むらさきしきぶ |
100 | 百敷や ふるき軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり ももしきや ふるきのきばの しのぶにも なほ(お)あまりある むかしなりけり | 順徳院 じゅんとくいん |
066 | もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに しる人もなし もろともに あは(わ)れとおもへ(え) やまざくら はなよりほかに しるひともなし | 前大僧正行尊 さきのだいそうじょうぎょうそん |
059 | やすらはで 寝なましものを 小夜ふけて かたぶくまでの 月をみしかな やすらは(わ)で ねなましものを さよふけて かたぶくまでの つきをみしかな | 赤染衛門 あかぞめえもん |
047 | 八重むぐら しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋はきにけり やへ(え)むぐら しげれるやどの さびしきに ひとこそみえね あきはきにけり | 恵慶法師 えぎょうほうし |
032 | 山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ もみぢなりけり やまがは(わ)に かぜのかけたる しがらみは ながれもあへ(え)ぬ もみぢ(じ)なりけり | 春道列樹 はるみちのつらき |
028 | 山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人めも草も かれぬと思へば やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもへ(え)ば | 源宗于朝臣 みなもとのむねゆきあそん |
071 | 夕されば 門田の稲葉 おとづれて 葦のまろやに 秋風ぞふく ゆふ(う)されば かどたのいなば おとづ(ず)れて あしのまろやに あきかぜぞふく | 大納言経信 だいなごんつねのぶ |
046 | 由良のとを わたる舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな ゆらのとを わたるふなびと かぢ(じ)をたえ ゆくへ(え)もしらぬ こひ(い)のみちかな | 曽祢好忠 そねのよしただ |
093 | 世の中は つねにもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしも よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ あまのを(お)ぶねの つなでかなしも | 鎌倉右大臣 かまくらのうだいじん |
083 | よのなかよ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる よのなかよ みちこそなけれ おもひ(い)いる やまのおくにも しかぞなくなる | 皇太后宮大夫俊成 こうたいごうぐうのだいぶしゅんぜい |
085 | 夜もすがら もの思ふころは 明けやらで ねやのひまさへ つれなかりけり よもすがら ものおもふ(う)ころは あけやらで ねやのひまさへ(え) つれなかりけり | 俊恵法師 しゅんえほうし |
062 | 夜をこめて 鳥のそらねは はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ よをこめて とりのそらねは はかるとも よにあふ(おう)さかの せきはゆるさじ | 清少納言 せいしょうなごん |
008 | わが庵は 都のたつみ しかぞ住む 世を宇治山と 人は言ふなり わがいほ(お)は みやこのたつみ しかぞすむ よをうぢ(じ)やまと ひとはいふ(う)なり | 喜撰法師 きせんほうし |
092 | わが袖は 潮干にみえぬ 沖の石の 人こそ知らね かわく間もなし わがそでは しほ(お)ひにみえぬ おきのいしの ひとこそしらね かわくまもなし | 二条院讃岐 にじょういんのさぬき |
038 | 忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな わすらるる みをばおもは(わ)ず ちかひ(い)てし ひとのいのちの を(お)しくもあるかな | 右近 うこん |
054 | わすれじの 行く末までは かたければ 今日をかぎりの 命ともがな わすれじの ゆくすゑ(え)までは かたければ けふ(きょう)をかぎりの いのちともがな | 儀同三司母 ぎどうさんしのはは |
076 | わたの原 漕ぎいでて見れば ひさかたの 雲居にまがふ 沖つ白波 わたのはら こぎいでてみれば ひさかたの くもゐ(い)にまがふ(ごう) おきつしらなみ | 法性寺入道前関白太政大臣 ほっしょうじにゅうどうさきのかんぱくだいじょうだいじん |
011 | わたの原 八十島かけて 漕ぎいでぬと 人にはつげよ あまのつり舟 わたのはら やそしまかけて こぎいでぬと ひとにはつげよ あまのつりぶね | 参議篁 さんぎたかむら |
020 | わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ わびぬれば いまはたおなじ なには(わ)なる みをつくしても あは(わ)む(ん)とぞおもふ(う) | 元良親王 もとよししんのう |
026 | 小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ を(お)ぐらやま みねのもみぢ(じ)ば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなむ(ん) | 貞信公 ていしんこう |
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