31~40番歌

百人一首の意味と文法解説(37)しらつゆに風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける┃文屋朝康

小倉百人一首解説:和歌の現代語訳・古文単語の意味・文法解説・品詞分解-37

投稿日:2018年3月11日 更新日:

白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける

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小倉百人一首から、文屋朝康の和歌に現代語訳と品詞分解をつけて、古文単語の意味や、助詞および助動詞の文法知識について整理しました。

また、くずし字・変体仮名で書かれた江戸時代の本の画像も載せております。

ふだん我々が使っている字の形になおした(翻刻と言う)ものと、ひらがなのもとになった漢字(字母)も紹介しておりますので、ぜひ見比べてみてください。

目次

原文

ogura-hyakunin-isshu-37

百人一首(37)しらつゆに風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける

画像転載元
国立国会図書館デジタルコレクション
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2541162

翻刻(ほんこく)(普段使っている字の形になおす)

hyakuni-isshu-honkoku-37

百人一首(37)しらつゆに風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける

釈文(しゃくもん)(わかりやすい表記)

文屋朝康
白露に 風の吹きしく 秋の野は 貫きとめぬ 玉ぞ散りける
 

字母(じぼ)(ひらがなのもとになった漢字)

hyakuni-isshu-honkoku-37

百人一首(37)しらつゆに風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける

現代語訳(歌意)・文法解説

白露に風がしきりに吹きつける秋の野は、まるで糸につらぬきとめない玉を散らしたようだ。

白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける

白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける

※係助詞「ぞ」は連体形で結びます。係り結びの解説は「古典の助詞の覚え方」をご覧ください。

係助詞:ぞ・なむ・や・か・こそ

係助詞:ぞ・なむ・や・か・こそ

 

語釈(言葉の意味)

※特記のないかぎり『岩波 古語辞典 補訂版』(大野晋・佐竹昭広・前田金五郎 編集、岩波書店、1990年)による。
 

しらつゆ【白露】

葉の上などの、白く見える露。「秋草に置く―の飽かずのみ」〈万四三一二〉
 

しく

●し・き【頻き・茂き】
〘四段〙
①後から後から追いついて前のものに重なる。事が重なって起る。「住吉の岸の浦廻(うらみ)に―・く浪の」〈万二七三五〉。「新しき年の始の初春の今日降る雪の〔ヨウニ〕いや―・け吉事(よごと)」〈万四五一六〉
 

たま【玉・珠】

一〘名〙
①呪術・装飾などに用いる美しい石。宝石。また、真珠・竹の管など。「水を奉れば、水を飲まさずして、此の―を唾き入れたまひき」〈紀神代〉
 

百人一首の現代語訳と文法解説はこちらで確認

こちらは小倉百人一首の現代語訳一覧です。それぞれの歌の解説ページに移動することもできます。

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あきぜにぎりすはるぎて
あきたのこころてにはるよの
ぬればこころかたの
あさふのひとをひといさ
あさぼらけたびはひとをし
あさぼらけすてふくからに
ひきのやこのととぎす
あはしまびしさにみかもり
あはともぶれどみかはら
みてのつゆにばやな
あふとのみのえののくの
あまかぜをはやみしのの
あまはらさごのらさめの
あららむのおとはぐりあひて
あらふくのうらにしきや
ありけのわかれともに
ありやまのをよらはで
しへのをかもむぐら
いまむとちぎりきしやまはに
いまただちぎりやまとは
りけるやぶるされば
みわびみればのとを
やまにばねのよのなか
にきくながらむよのなか
おほやまながへばすがら
おほなくなげつつこめて
ひわびなげとてわがほは
とだにのよはわがでは
さぎのなにおはばわするる
かぜよぐなにはわすじの
かぜいたみなにはわたのはら
きみがためはなそふわたのはら
きみがためはないろはぬれば
らやま

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都内の私立大学 文学部国文学専攻出身
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