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古文の助動詞「じ」の意味・用法を例文つきで解説。

古文の助動詞「じ」の意味・用法を例文つきで解説。

投稿日:2021年2月14日 更新日:

古典の助動詞「じ」には、打消推量・打消意志の用法があります。今回は「じ」の活用や接続、意味について、用例をまじえながら解説します。

 

【POINT】

  • 「じ」は「む」の否定に相当する
  • 文中ではほとんどの場合、終止形で表れる

 

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「じ」の活用

特殊型

基本形未然形連用形終止形連体形已然形命令形

 

「じ」の接続

未然形

 

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「じ」の意味

  • 打消推量うちけしすいりょう「~ないだろう」
  • 打消うちけし意志いし「~ないようにしよう・~まい」

「じ」は、推量や意志を表す助動詞「む」を否定する語に当たると考えられています。したがって、打消推量(~ないだろう)・打消意志(~ないようにしよう)といった意味を表します。

 

①打消推量(うちけしすいりょう)「~ないだろう」

【例】万葉集・巻16・3861
荒雄あらをらをかといひ盛りてかどで立ち待てどまさず

荒雄良あらをら 将来こむ不来こじ いひもり かど出立いでたち 雖待まてど不座まさず

じ_打消推量_来むか来じか
(訳)荒雄が帰って来るだろうか、帰って来ないだろうかと、飯を盛って門に出で立ち、待っているけれども、帰って来られない。

※荒雄…「義勇遭難物語の主人公の名。ただし本名でなく、当時の人が仮に作ったものか。」(『新編日本古典文学全集 萬葉集 (4)』128ページ)

 

②打消意志(うちけしいし)「~ないようにしよう・~まい」

【例1】伊勢物語・60段・花橘
女あるじにからけとらせよ。さらずは飲ま
じ_打消意志_さらずは飲まじ
(訳)この家の主婦にさかずきを捧げさせなさい。そうでなければ酒は飲むまい。

 

※「ずは」は「~ないで」「~ないならば」などと訳します。詳しい成り立ちについては助動詞「ず」の記事で解説しております。

>>古文の助動詞「ず」の活用と意味、接続を解説。
 

【例2】源氏物語・若紫
「しばし人に知らせ」と君ものたまひ、
じ_打消意志_人に知らせじ
(訳)「しばらく誰にも知らせないようにしよう」と源氏の君もおっしゃって、

 
※参考文献
・『実例詳解 古典文法総覧』小田勝、和泉書院、2015年


 
・『改訂増補 古文解釈のための国文法入門』松尾聰、筑摩書房(ちくま学芸文庫)、2019年


 
・『吉野式古典文法スーパー暗記帖 完璧バージョン』吉野敬介、学研プラス、2014年


 
※本文引用
・『新編日本古典文学全集 萬葉集』小島憲之・木下正俊・東野治之、小学館、1994年
・『新編日本古典文学全集 (12) 竹取物語 伊勢物語 大和物語 平中物語』片桐洋一・高橋正治・福井貞助・清水好子、小学館、1994年
・『新編日本古典文学全集 源氏物語』阿部秋生・今井源衛・秋山虔・鈴木日出男、小学館、1994年

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都内の私立大学 文学部国文学専攻出身
お菓子メーカー勤務のサラリーマン
趣味は歌舞伎を見ること(2012年~)
古文や古典を楽しむ人が一人でも増えればよいなと考えながら情報発信しております。
その他、趣味で始めたプログラミングに関することや、通信制大学(放送大学)、各種資格試験の体験談などについても、記事にまとめております。


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