小倉百人一首かるたは初心者向けから上級者向けまで様々なものがあります。どれがいいのか迷ってしまうかもしれませんが、「小学生の子どもと一緒に家族みんなで楽しみたい」「競技を始めることも見据えて本格的なかるたがほしい」など、それぞれの目的や用途に合わせて選ぶのがポイントです。今回は百人一首かるたの最適の選び方をご紹介します。
目次
百人一首かるたとは
まずは百人一首かるたの基本知識を簡単にご説明します。すでにご存じの方は読み飛ばしていただいてかまいません。
百人一首の由来
小倉百人一首は、京都の小倉山に住んでいた歌人の藤原定家(1162~1241年)が、歌人百人につきそれぞれ一首のすぐれた和歌を選んでつくった秀歌選です(和歌は1首2首とかぞえます)。天智天皇から順徳院までの、約600 年間の代表的な歌人の歌が、ほぼ年代順に並べられています。
百人一首かるたの用語解説
上の句・下の句
和歌は漢詩に対して言う文芸のことでさまざまな形式がありますが、現在では、和歌と言えば「5・7・5・7・7、合計31音」の形式が一般的です。
その中で前半の「5・7・5」を上の句、後半の「7・7」を下の句と言います。
取札・読札
百人一首かるたには取札と読札の2種類の札があり、別々に売られている場合もあります。
取札には下の句のみが書かれているのに対して、読札には和歌一首とその作者、さらに作者の絵が描かれています。
競技かるた
競技かるたは1対1の対戦形式で行われます。
百人一首かるたの取札100枚の中から50枚をランダムに選び出し、自分の陣地と相手の陣地に半分ずつ並べて、読みあげられた札を取っていきます。
そして、対戦相手よりも早く自分の陣地の札がなくなれば勝利です。
決まり字
決まり字とは競技かるたにおいて、その字まで読まれたら下の句が決定する字のことを言います。
たとえば、小倉百人一首の中で「む」から始まる歌は「むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに、きりたちのぼる あきのゆふぐれ」という歌一首のみなので、「む」が読みあげられた瞬間に「きりたちのぼる あきのゆふぐれ」と書いてある札を取れるのです。
このように、百人一首かるたはすべての歌の意味を覚えていなくても、決まり字がわかっていれば札を取ることができます。
百人一首かるたの選び方
百人一首は学習の教材として利用されることがよくあります。
たしかに百人一首は古典文学に親しむ良い機会になりますし、和歌の暗誦は将来にわたって大きな学習効果が期待できます。
しかし、子どもに始めから和歌の暗記を強要したり、勉強の色合いを強めたりしてしまうと、百人一首や古文に対する興味を失ってしまう恐れがあります。
百人一首かるたで重要なのは「楽しむ」ことなので、楽しめるかるたを選ぶのがポイントです。
始めは読札(絵札)のデザインを楽しみながら遊ぶのが良いと思います。
特に、まだ文字が読めない小さな子供でも楽しめる「坊主めくり」という遊び方は百人一首かるたの入門としておすすめです。
最初は好きなキャラクターが描かれている百人一首かるたを使用しても良いですし、次第に百人一首に対する興味が増してきたら競技用の本格的なかるたを使って練習すれば良いと思います。
子ども向け・初心者向け:家族で楽しむ百人一首かるた
まずは手ごろな百人一首かるたと、決まり字を効率的に覚えられる百人一首かるたをご紹介します。
任天堂:百人一首 舞扇
子供用おもちゃの製造販売の老舗である任天堂がつくったシンプルな百人一首かるたです。
読札と取札がセットになっているので、これだけで百人一首かるたを使った遊びはすべてできます。
もちろん競技用かるたに比べれば耐久性も手触りも劣りますが、価格も安いので百人一首を試しに始めてみたい方に最適です。
大石天狗堂:小倉百人一首 きまり字五色二十人一首 読札・取札セット
大石天狗堂の「小倉百人一首 きまり字五色二十人一首 読札・取札セット」は、百首の歌を覚えやすいように20首ずつ色分けして分類したかるたです。
取札の裏に上の句が書かれていて、さらに決まり字もわかるようになっています。
競技かるたに取り組む場合は決まり字を覚えるのが基本ですので、このかるたなら決まり字を効率よく覚えることができます。
また、競技では決まり字を覚えるだけでなく、下の句を見て上の句をすぐに思い出せるようにすることも大切ですので、取札の裏に上の句が書かれているこのかるたは練習に使うのに最適と言えます。
このかるたを使って練習すれば実戦で札を取れる力を効率的に鍛えることができるので、競技かるたに興味がある方にもおすすめです。
なお、このかるたの類似品として東京教育技術研究所(TOSS)の「五色百人一首」があります。これは主に教育現場で教材として使用されるかるたなので、大石天狗堂のかるたとは別のものです。
競技かるた用:競技を見据えた本格的な百人一首かるた
大石天狗堂:小倉百人一首 歌かるた 標準取札・読札
全日本かるた協会公認の本格的なかるた札です。
競技かるた日本一を決める名人・クイーン戦をはじめ、全国のかるた協会で使用されている定番のかるたです。
競技では勢いよく札を払い飛ばして取るのが一般的なので、競技用かるたは分厚く丈夫に作られています。
また、札が床に接する部分を減らして簡単に手で払えるように、「反り」と言われるカーブをつける工夫も施されているので、本番と同じような実戦形式で練習したい場合には欠かせないかるた札です。
なお、「標準百人一首」は読札と取札のセットだけでなく、それぞれ別々に買うこともできるので、すでにほかの百人一首かるたを使っている方も取札のみ購入することが可能です。
おすすめ百人一首かるたのまとめ
今回は子供用から競技用まで定番の百人一首かるたをご紹介しました。
百人一首かるたを通して家族や友人とのコミュニケーションの機会が増えれば良いですね。