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宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』あらすじと読書感想文(シンプルな書き方です)

宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』あらすじと読書感想文(シンプルな書き方です)

投稿日:2018年1月18日 更新日:

 宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』の簡単なあらすじと読書感想文の見本です。感想文は1794字ほど書きました。高校生や中学生の方は、この感想文の例を参考にして書き方を工夫してみてください。

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目次

『セロ弾きのゴーシュ』の簡単なあらすじ

 『セロ弾きのゴーシュ』のあらすじは次の通りです。

 町の活動写真館でセロ(チェロ)を弾くゴーシュは、演奏が下手でいつも楽長からいじめられていた。ある日、ゴーシュが練習を終えて帰宅すると、猫がやってきて演奏を聞かせてほしいとゴーシュに頼む。ゴーシュはセロを弾き、猫を追いかえした。その翌日から、毎日ゴーシュのもとへ動物がかわるがわるやってきて、彼は動物たちに演奏を聞かせることになる。ゴーシュの所属する楽団は演奏会の日をむかえ、ゴーシュもその一員として演奏に加わった。すると、ゴーシュは以前しかられてばかりだった楽長からほめられ、アンコールの演奏においても聴衆を魅了する。彼は動物たちとの交流をとおして、自らの演奏技術の上達を実感するのだった。

 以上のあらすじをふまえて書きます。

●読書感想文の書き方を解説した記事はこちら。簡単に書くコツがあります。

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『セロ弾きのゴーシュ』感想文の例

 町の活動写真館でセロ(チェロ)を弾くゴーシュは、演奏が下手でいつも楽長からいじめられていた。ある日、ゴーシュが練習を終えて帰宅すると、猫がやってきて演奏を聞かせてほしいとゴーシュに頼む。ゴーシュはセロを弾き、猫を追いかえした。その翌日から、毎日ゴーシュのもとへ動物がかわるがわるやってきて、彼は動物たちに演奏を聞かせることになる。ゴーシュの所属する楽団は演奏会の日をむかえ、ゴーシュもその一員として演奏に加わった。すると、ゴーシュは以前しかられてばかりだった楽長からほめられ、アンコールの演奏においても聴衆を魅了する。彼は動物たちとの交流をとおして、自らの演奏技術の上達を実感するのだった。
 この作品はゴーシュの成長の物語である。物語冒頭ではゴーシュの演奏が下手であることが述べられている。その演奏技術は評判になるほどだった。楽長はゴーシュに向かって何度も問題点を指摘する。「セロがおくれた」「糸が合わない。(中略)ぼくはきみにドレミファを教えてまでいるひまはないんだがなあ。」「どうしてもぴたっと外の楽器と合わないもなあ」などと、さんざんに小言を言うのである。周囲の足をひっぱるというのは非常につらいことである。当人は問題点を自覚しているのだが、実際におこなうことができない。頭で理解することと実際におこなうということのあいだには大きなちがいがある。周囲の人間があたりまえにできると思っていることが、できない人にとってはあたりまえではない。それを克服しなければならないのは第三者には簡単なことに思えても、当人にとってじつは難しいことなのである。
 物語前半のゴーシュは乱暴な一面を見せる。彼の家にやってきた猫をあらあらしくもてなすのである。彼は演奏を聞かせてほしいと言う猫に対して「印度の虎狩」という曲を弾く。それを聞いた猫は苦しがって走りまわる。ゴーシュの演奏がよほどひどいのだろうか。とにかく猫は苦しがって走りまわるのである。苦しむ猫を見て、「ゴーシュはすっかり面白くなってますます勢よくやり出しました」とあるから、ゴーシュの残酷な一面がよく理解できる。猫が演奏をやめてほしいと言ってもゴーシュはそれを聞きいれず、演奏をやめない。ますます猫は苦しがるのであった。きわめつけにゴーシュは猫の舌でマッチを擦る。想像しただけでも痛々しい。「セロ弾きは扉をあけて猫が風のように萱のなかを走って行くのを見てちょっとわらいました」という一文も、ゴーシュの乱暴な一面を示している。
 そのような乱暴なゴーシュがその後、動物たちと交流をかさねることで、粗野な一面をおさえて人間らしい優しさを獲得していく。その優しさこそが彼の音楽性をはぐくんだのだろう。かっこうがゴーシュのもとを訪れたとき、はじめは猫と同じように乱暴にあつかう。しかし、かっこうといっしょにセロを弾くうちに彼の心境は変化する。「ゴーシュははじめはむしゃくしゃしていましたがいつまでもつづけて弾いているうちにふっと何だかこれは鳥の方がほんとうのドレミファにはまっているかなという気がしてきました。どうも弾けば弾くほどかっこうの方がいいような気がするのでした。」というように、かっこうの音程をはじめはばかにしていたのが、しだいに受けいれるようになる。ゴーシュの乱暴な面がおさえられているのである。さらに、なかなか家から出られないかっこうを、窓をわることによって逃がす優しい一面も見せるようになる。つづいて狸がやってきたときにも、ゴーシュはその指摘に耳をかたむける。「ゴーシュははっとしました。たしかにその糸はどんなに手早く弾いてもすこしたってからでないと音が出ないような気がゆうべからしていたのでした。」と、狸の指摘を受けいれ楽器の欠陥に気づくことができた。以上のように、動物たちとともにセロの練習をかさねたことで、ゴーシュは他人の意見にしずかに耳をかたむける冷静さを手に入れる。さらに、他者を気づかう心の余裕と優しさをも獲得したのである。
 ゴーシュが一人で練習にうちこんでも、なかなか上達しなかったかもしれない。彼の音楽は動物たちとの交流がきっかけとなってよくなっていったのだ。動物たちは粗野なゴーシュに心を寄せ、セロの練習につきあってくれた。人は、自身を理解し受けいれてくれる優しく寛容な心にふれることによって、大きく成長することができるのだ。

(1794字)

感想文をスラスラ書くコツ
 

まとめ

 ゴーシュの乱暴な一面にぞっとしましたが、彼の成長を見とどけられてほっと一安心できました。最後の、「ああかっこう。あのときはすまなかったなあ。おれは怒ったんじゃなかったんだ。」というゴーシュの一言には、反省する彼の謙虚な一面を読みとることもできますが、ほんとうに謝るべきは三毛猫なんじゃないかと思います。猫がかわいそうですね。

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