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芥川龍之介『杜子春』あらすじと読書感想文(シンプルな書き方です)

芥川龍之介『杜子春』あらすじと読書感想文(シンプルな書き方です)

投稿日:2018年1月13日 更新日:

 芥川龍之介『杜子春』の簡単なあらすじと読書感想文の見本です。感想文は1860字ほど書きました。高校生や中学生の方は、この感想文の例を参考にして書き方を工夫してみてください。

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目次

『杜子春』の簡単なあらすじ

 『杜子春』のあらすじは次の通りです。

 洛陽のまちに、もとは金持ちの家の出身であったが、いまは貧乏人になってしまった杜子春という男がいた。ある日、彼は食べるものも寝るところもないので、いっそのこと死んでしまおうと考えて道ばたに立っていたが、そこで鉄冠子という仙人に出会う。杜子春が事情を話すと、鉄冠子は彼に、地面をほればそこにたくさんの黄金が見つかるはずだと告げて姿を消す。杜子春が地面をほると、鉄冠子の言葉どおりそこにはたくさんの黄金があった。黄金を手に入れて金持ちになった杜子春だったが、ぜいたくざんまいの暮らしをつづけたおかげで、わずか数年で、もとのとおり貧乏人になってしまった。以前と同じように道ばたで途方に暮れていた杜子春は、鉄冠子に再会しふたたびお金持ちにしてもらったが、同じ失敗をくり返して、もとの貧乏人にもどってしまう。そののち、またもや鉄冠子に出会ったのだが、こんどは金持ちになる提案を断り、仙人をこころざして修行をはじめる。何があっても口をきいてはならない、という約束を交わした杜子春は、さまざまな障害にも負けず約束を守りつづけ我慢をかさねたが、両親が折檻を受けるまぼろしを目にしたとき、ついに約束をやぶってしまう。けっきょく、杜子春は仙人になれなかったが、正直に生きていくことを決意するのであった。

 以上のあらすじをふまえて書きます。

●読書感想文の書き方を解説した記事はこちら。簡単に書くコツがあります。

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『杜子春』感想文の例

 失敗を経験しないという人はおそらくいないはずだ。私も何度も失敗を経験し、また、同じような失敗を何度もくり返してしまうこともある。そのような自分を情けなく思い、時には絶望するような場面もあるのだが、杜子春のように前向きに生きていかなければならない。
 洛陽のまちに、もとは金持ちの家の出身であったが、いまは貧乏人になってしまった杜子春という男がいた。ある日、彼は食べるものも寝るところもないので、いっそのこと死んでしまおうと考えて道ばたに立っていたが、そこで鉄冠子という仙人に出会う。杜子春が事情を話すと、鉄冠子は彼に、地面をほればそこにたくさんの黄金が見つかるはずだと告げて姿を消す。杜子春が地面をほると、鉄冠子の言葉どおりそこにはたくさんの黄金があった。黄金を手に入れて金持ちになった杜子春だったが、ぜいたくざんまいの暮らしをつづけたおかげで、わずか数年で、もとのとおり貧乏人になってしまった。以前と同じように道ばたで途方に暮れていた杜子春は、鉄冠子に再会しふたたびお金持ちにしてもらったが、同じ失敗をくり返して、もとの貧乏人にもどってしまう。そののち、またもや鉄冠子に出会ったのだが、こんどは金持ちになる提案を断り、仙人をこころざして修行をはじめる。何があっても口をきいてはならない、という約束を交わした杜子春は、さまざまな障害にも負けず約束を守りつづけ我慢をかさねたが、両親が折檻を受けるまぼろしを目にしたとき、ついに約束をやぶってしまう。けっきょく、杜子春は仙人になれなかったが、正直に生きていくことを決意するのであった。
 印象的なのは、杜子春が同じ失敗をくり返してしまう点である。物語冒頭の杜子春は、ぼんやり空をながめていて、死ぬことまで考えている。散財して貧乏人になってしまったことで、生きる自信を失っているように感じられる。鉄冠子からふいに質問を投げかけられると杜子春は「さすがに目を伏せて」その問いに答える。おそらく、彼の自信の欠如がその視線に表れているのだろう。ふたたび貧乏人に転落した時にも、杜子春の視線が彼の自信のない様子を表している。「杜子春は老人の顔を見ると、恥しそうに下を向いたまま、暫くは返事もしませんでした」という様子からは、同じ失敗をくり返して無一文にもどってしまった自分を情けなく思っているように感じられる。しかし、杜子春はその後も同じあやまちを犯してしまい、もとの貧乏人になるのだが、その時の様子は以前とちがっている。「不平そうな顔」を見せる杜子春は、もう金はいらないと言い、「人間というものに愛想がつきたのです」、「人間は皆薄情です」と、自らの行いを反省するのではなく、自分に対する思いやりを欠いた他人の心を批判するのである。同じことをくり返す杜子春はおろかであるが、失敗をくり返すうちに気づいたことは真実でもある。
 鉄冠子は杜子春を大金持ちにしてやった理由を、杜子春が「どこか物わかりが好さそうだったから」と語っているが、おそらくその言葉に偽りはないだろう。杜子春を正直な人だと見込み、そのような正直な人にはやすらかに暮してほしいからこそ、二度まで大金持ちにしたのだと考えられる。「人間は皆薄情です」という杜子春の言葉を聞いた鉄冠子が「急ににやにや笑い出し」たのも、杜子春が誠実な心の大切さを理解する正直な人であることを再認識したからだろう。ところが、杜子春の考えは鉄冠子の実感とは少し異なっていた。「これからは貧乏をしても、安らかに暮して行くつもりか」という鉄冠子の問いかけに対して、杜子春はちゅうちょする様子を見せてから、「それも今の私には出来ません。ですから私はあなたの弟子になって、仙術の修業をしたいと思うのです」と突拍子のないことを言い出す。杜子春には、正直な心をまっとうする勇気や自信が欠けていて、頭の中は生活の不安でいっぱいだったのだろう。お金はいらないと言いながらも、生活の不安はつきまとう。貧乏な暮らしをしていく自信がないから、途方に暮れて道ばたにぼんやりたたずんでいたのである。
 そのような杜子春であったが、仙術の修行にはげむまぼろしから目が覚めたのち、自信を取り戻す。「晴れ晴れした調子」で「何になっても、人間らしい、正直な暮しをするつもりです」と言う杜子春の様子には、たとえ貧乏人として生きていかなくてはならないのだとしても、誠実な心をけっして忘れないという決意が感じられる。私は、失敗を重ねる杜子春の姿を自らに重ねながら、彼が今後やすらかに暮していくことを願う。

(1860字)

感想文をスラスラ書くコツ
 

まとめ

 鉄冠子が杜子春を大金持ちにした意味や、杜子春が仙人をこころざす理由など、疑問点が残ったので、私が作品を正確に読むことができていないように感じています。たしかに感想を書くのは自由なのですが、作品を読みあやまることはしたくないと思っているのですが、今回は(今回も?)うまくできませんでした。

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