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宮沢賢治『注文の多い料理店』あらすじと読書感想文(シンプルな書き方です)

宮沢賢治『注文の多い料理店』あらすじと読書感想文(シンプルな書き方です)

投稿日:2018年1月19日 更新日:

 宮沢賢治『注文の多い料理店』の簡単なあらすじと読書感想文の見本です。感想文は1169字ほど書きました。高校生や中学生の方は、この感想文の例を参考にして書き方を工夫してみてください。

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目次

『注文の多い料理店』の簡単なあらすじ

 『注文の多い料理店』のあらすじは次の通りです。

 二人の若い紳士が山奥に狩りをしにくるが、さっぱり成果があがらず、つれてきた二匹の犬も目をまわして死んでしまう。二人は帰ろうとしたものの、帰り道がわからずに迷ってしまう。しばらく歩いていると、一軒の西洋料理店を見つけ入店する。そこは山猫の妖怪の店で、やってきた客を料理して食べてしまうおそろしい店だったのである。二人がまさに料理にされてしまいそうになったところで、死んだはずの二匹の犬がやってきて猫の妖怪を退治する。二人は気がつくといつのまにかもとの山の中の草むらに立っていた。二人はめでたく東京へ帰ることができたのである。

 以上のあらすじをふまえて書きます。

●読書感想文の書き方を解説した記事はこちら。簡単に書くコツがあります。

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『注文の多い料理店』感想文の例

 二人の若い紳士が山奥に狩りをしにくるが、さっぱり成果があがらず、つれてきた二匹の犬も目をまわして死んでしまう。二人は帰ろうとしたものの、帰り道がわからずに迷ってしまう。しばらく歩いていると、一軒の西洋料理店を見つけ入店する。そこは山猫の妖怪の店で、やってきた客を料理して食べてしまうおそろしい店だったのである。二人がまさに料理にされてしまいそうになったところで、死んだはずの二匹の犬がやってきて猫の妖怪を退治する。二人は気がつくといつのまにかもとの山の中の草むらに立っていた。二人はめでたく東京へ帰ることができたのである。
 この作品には都会と自然の対比が描かれている。二人の若い紳士は東京という都会からやってきた者たちである。彼らは気晴らしのために山奥へ狩りにやってきたのだろう。彼らは動物たちを遊びの道具としてのみ扱っているように思われる。「なんでも構わないから、早くタンタアーンと、やって見たいもんだなあ」「鹿の黄いろな横っ腹なんぞに、二三発お見舞いもうしたら、ずいぶん痛快だろうねえ」などと語る二人の姿には、動物に対する尊厳のまなざしが欠けている。また、二人は連れてきた犬がとつぜん泡を吹いてたおれてもあまり悲しそうな様子を見せない。「じつにぼくは、二千四百円の損害だ」「ぼくは二千八百円の損害だ」などと語り合う二人は、悲しいことにちがいはないのだろうが、それは経済的な損失という面のみであり、犬に対する愛情の気持ちは見られない。動物たちを狩りの獲物、または金銭でしか考えられない「物」として認識しているのであり、そこに東京の都会人のおろかさを指摘しているのではないだろうか。
 動物を狩りにきていたはずの紳士が反対に山猫の妖怪に捕食されそうになる構造が滑稽さを醸し出している。二人は料理店内に掲げられている数々の「注文」を、自らに都合のよいように解釈しつづける。それは自然を都合のよいように解釈する都会人の姿を象徴している。都会は自然を切り開くことによって発展をとげた。都会は人を呼び込みさらに大きくなっていく。大きく発展した都会は、その機能を保つために自然から搾取をつづける。木をきり鉱物をほり出し、ごみは川や海に捨てる。そうすることによって森林や河川などの自然は破壊されていくのである。
 料理店のまぼろしから現実にもどった二人の紳士の心境にまったく変化がない。料理店を訪れる以前から話していたとおり、山鳥を買って帰り、彼らを救った犬に対しても感謝の気持ちをおこすことはない。彼らは依然として動物に対する視点、すなわち自然に対する視点をくずしていない。彼らにとって動物は物であり道具である。その考えを改めることはない。都会人の自然に対する傲慢な一面を表している。二人の姿は、都会として発展した東京の、自然をかえりみない姿とかさなるのだ。

(1169字)

感想文をスラスラ書くコツ
 

まとめ

 文字数が少ないですが、都会と自然の対立に注目して書いてみました。「妖怪」というのもキーワードになると思います。酒呑童子や土蜘蛛の説話など、日本には妖怪をあつかった話がたくさんありますので、興味のある方は調べてみるとよいかもしれません。

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