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森鷗外『山椒大夫』あらすじと読書感想文(シンプルな書き方です)

投稿日:2018年2月14日 更新日:

 『山椒大夫』のあらすじと感想文を書きました。

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『山椒大夫』あらすじ

 『山椒大夫』のあらすじは次の通りです。

 母とともに父親をたずねて旅をしていた安寿と厨子王のきょうだいは、旅の途中で人買いにつかまってしまう。母ときょうだい二人は別のところへ売られていき、親子はなればなれになる。きょうだいは山椒大夫のもとへ売られ、奴隷として働くことになった。ある日、厨子王は安寿の犠牲とひきかえに山椒大夫のもとをのがれ、京都へ行く。そこで関白師実に出会い、そののち丹後の国守に任じられた。やがて佐渡に渡った厨子王は生きわかれた母を探しだしたのであった。

 以上のあらすじをふまえて書きます。

●読書感想文の書き方を解説した記事はこちら。簡単に書くコツがあります。

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『山椒大夫』感想文

 世の中には良い人もいれば悪い人もいる。人はどのような人に出会うかによって命運を左右されるのだ。人生は運しだいであると思いつつ、運をひきよせる努力も忘れてはならない。絶望して望みを捨ててしまえば、開けるはずの運も開けない。人生を一変させるような縁をつかもうとする心がけが大切だ。
 母とともに父親をたずねて旅をしていた安寿と厨子王のきょうだいは、旅の途中で人買いにつかまってしまう。母ときょうだい二人は別のところへ売られていき、親子はなればなれになる。きょうだいは山椒大夫のもとへ売られ、奴隷として働くことになった。ある日、厨子王は安寿の犠牲とひきかえに山椒大夫のもとをのがれ、京都へ行く。そこで関白師実に出会い、そののち丹後の国守に任じられた。やがて佐渡に渡った厨子王は生きわかれた母を探しだしたのであった。
 旅の一行が人買いにめぐりあいだまされてしまったのは不運である。人買いは生活のために必死だ。その行為自体は悪であるが、人買いも生活しなくてはならない。他者をかえりみる余裕を失うと恐ろしい悪行に手を染めてしまうのだろう。人買いはしてはならない悪いことなのだ、という常識を高らかに唱えても無駄である。人買いをする人はする。その人にとっては必要なことである。しなければならない理由もあるのだろう。どれほど理性に訴えかけようとも意味がない。世の中には常識が通じない人が一定数いるのだ。どれほど議論をかさねても平行線をたどる。けっして理解しあえない人々である。そのような人々にどのように接していけばよいのだろうか。答えは簡単で、相手にしないことだ。近よらないこと、これが重要である。立場が異なることを認めたうえで、共存を図っていけばよい。自分にとって迷惑であり、そのうえ消し去ることなどできそうにない事柄に関しては、相手にしないという手段を取るのが最善だ。説得を試みても効果はなく自分の時間を無駄に消耗するのみであり、かえって自分の身に危険がおよぶ恐れがある。だから、逃れるのだ。危険を避けて自らの身を守ることが大切だ。
 悪事をはたらく人間がいるいっぽう、自らに共感し救いの手を差しのべてくれる人間がいるのも事実だ。山椒大夫のもとから京都へ逃れる道のりを安寿に教えてくれたのは小萩という奴隷だった。小萩は安寿に上手な潮の汲み方を教えてくれたこともあった。とつぜん過酷な環境に身を置かれた安寿にとって、仕事を優しく教えてくれる小萩は心強い存在だったであろう。厨子王もまた他者の善意によって救われる。山椒大夫のもとを逃れた厨子王を、山椒大夫の追手たちからかくまったのは寺の住職である。彼がいなければ厨子王は京都に到着することができなかっただろう。そして、なによりも厨子王を救ったのは安寿である。厨子王は安寿の犠牲があったからこそ生きのびることができた。安寿が厨子王を送りだしたときに言った、「開ける運なら坊さんがお前を隠してくれましょう」という言葉のとおり、厨子王は住職にかくまわれて京都へとのがれていくことができたのだ。厨子王の命運は安寿の自己犠牲をはじめ、そのほかの人々の支えによって開かれた。苦境の中にあっても望みをつないでいれば、人生を好転させる出会いをひきよせられる。
 考えてみると、自分はたくさんの人に支えられている。自分の周りには「良い人」が多くいて、困ったときに手を差しのべてくれる。悪いことを考える人はたしかにいる。テレビや新聞などで、世間をにぎわすニュースの中には、自らの思いもよらない陰惨な事件があるものだ。しかし、悪いことを考える人ばかりではない。身近にも優しい人はいるから、それは恵まれた環境だと言える。そして、目には見えない善意もある。何気なく使っている道具、利用している交通機関、口にする食べ物、それらには見ず知らずの人々の手が加えられている。労働は自己犠牲であると言ってもよい。自己犠牲によって生み出された価値を知らず知らずのうちに享受することのなんと多いことか。自らの幸福をあらためて実感できれば、他者にも優しくなれるはずだ。人と人との縁を大切にしながら、ほかの誰かに救いの手を差しのべられるような心の余裕を持っていたい。

(1720字)

感想文をスラスラ書くコツ
 

まとめ

 運験し(うんだめし)という安寿の発した言葉が印象に残ったので、運について取り上げてみました。「勝負は時の運」という言葉もあるとおり、人生は努力がすべてではありません。受験もそうですし、なにより就職活動で強く感じました。「徒労」の二文字が絶えず頭の中を去来する苦しい時期でしたね。

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都内の私立大学 文学部国文学専攻出身
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