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サン=テグジュペリ『星の王子さま』あらすじと読書感想文の例(シンプルな書き方です)

サン=テグジュペリ『星の王子さま』あらすじと読書感想文の例(シンプルな書き方です)

投稿日:2018年1月10日 更新日:

 サン=テグジュペリ『星の王子さま』の簡単なあらすじと読書感想文の見本です。感想文は2005字ほど書きました。高校生や中学生、小学生の方も、この感想文の例を参考にして書き方を工夫してみてください。

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目次

『星の王子さま』の簡単なあらすじ

 『星の王子さま』のあらすじは次の通りです。

 飛行機の操縦士である筆者の「僕」は、「六年前」サハラ砂漠に飛行機が不時着したとき、ひとりの「星の王子さま」に出会い、友人になる。そして、星の王子さまから、彼が故郷の星を旅立って、さまざまな星をめぐりながら、地球にやってきたことを聞かされる。不時着から一週間たったのち、飛行機の修理に成功した筆者は、星の王子さまと別れ、砂漠をあとにするのであった。

 以上のあらすじをふまえて書きます。

●読書感想文の書き方を解説した記事はこちら。簡単に書くコツがあります。

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『星の王子さま』感想文の例

 飛行機の操縦士である筆者の「僕」は、「六年前」サハラ砂漠に飛行機が不時着したとき、ひとりの「星の王子さま」に出会い、友人になる。そして、星の王子さまから、彼が故郷の星を旅立って、さまざまな星をめぐりながら、地球にやってきたことを聞かされる。不時着から一週間たったのち、飛行機の修理に成功した筆者は、星の王子さまと別れ、砂漠をあとにするのであった。
 物語では、筆者も星の王子さまも、くりかえし「おとな」を批判する。筆者は、「おとなというものは、自分たちだけではけっしてなにもわからないから、子どもはいつもいつも説明しなくてはならず、まったくいやになる……」と考える。なぜなら、彼が描いた、ゾウを消化している大蛇ボアの絵が、帽子を描いた絵だと誤解されたり、絵のことよりも勉強のことを大事にしなさいと言われたりして、おとなにはまったく理解されないからだ。ほんとうにものごとの理解できる人はいないと考えて、心から話のできる人もないまますごしてきた筆者だったが、彼が砂漠で出会った星の王子さまは、ほかのおとなたちとちがっていた。王子さまは筆者の描いた絵を見るなり、それがゾウを飲みこんだボアの絵であることを理解した。筆者は、はじめて心から話のできる友人を得ることができたのである。
 星の王子さまも、筆者と同じようにおとなを批判する。王子さまが自分の星を旅立ったあとに訪れたいくつかの星には、それぞれ「おとな」がいたが、王子さまには理解できない人が多かったのだ。だれかに命令していばりたがる王さま、だれかにほめられたがる大物きどりの男、酒びたりの男、星をかぞえてばかりいる実業家の男、彼らが大切にしていることは、王子さまが大切だと思うこととちがっていた。彼らが大切にしているのは、自分自身を満足させることであったり、自分の持っているものの権利を主張することであったり、自己中心的なことである。反対に、王子さまは、「すてきだってことは、役に立っているってことだ」と考える。そして、王子さまは実業家の男に向かってこう言う。「火山にとっても花にとっても、ぼくが持ち主で、役に立っていた。でもあなたは、星の役には立っていない……」。本当に価値のあることは、自分自身を満足させることにとどまるのではなく、自分以外のもののために心をつくすことなのだと王子さまは教えてくれる。
 さらにもうひとつ、王子さまが大切にしていることがある。それは、「いちばんたいせつなことは、目に見えない」ということである。王子さまは、故郷の星にいるときには、わがままな花の言うことを理解しきれずにいた。花は、風をよけるためのついたてを用意してほしいと王子さまに頼んだり、四つのトゲはトラに食べられないためについているのだと話したりするので、王子さまは花の言うことを信じることができなくなってしまった。そして、「花とうまくいかなくなっちゃった」と考えた王子さまは、花を残して旅立ったのだが、王子さまは花を星に残してきたことを後悔するようになる。なぜなら、地球にやってきて、その花が自分にとってかけがえのない存在であることがわかったからだ。地球にやってきた王子さまは、あるときバラ園でたくさんのバラの花を目にし、それらのバラが星に残してきた花にそっくりであることに気づく。自分の星に咲いた花が、地球にたくさんあることに驚き、それが「ただのありふれたバラだった」ことを知った王子さまはがっかりするが、キツネに出会ったことで、考えを改めるようになるのだ。キツネは王子さまに、「なつく」こと、つまり、きずなを結ぶことの意味を教える。キツネは言う。

きみはまだ、ぼくにとっては、ほかの十万の男の子となにも変わらない男の子だ。だからぼくは、べつにきみがいなくてもいい。きみも、べつにぼくがいなくてもいい。きみにとってもぼくは、ほかの十万のキツネとなんの変りもない。でも、もしきみがぼくをなつかせたら、ぼくらは互いに、なくてはならない存在になる。きみはぼくにとって、世界にひとりだけの人になる。ぼくもきみにとって、世界で一匹だけのキツネになる……

 きずなを結ぶことの意味を知った王子さまは、もう一度バラ園に行きバラをながめてみるが、いずれのバラも、自分の星のバラとはちがっていることに気づく。「もちろんぼくのバラだって、通りすがりの人が見れば、きみたちと同じだと思うだろう。でもあのバラだけ、彼女だけが、きみたちぜんぶよりもたいせつだ。ぼくが水をやったのは、あのバラだもの」と、自分の花がどれほど大切な存在であるかを理解するのである。
 外見のみに目を向けるのではなく、その裏にかくされた背景に思いをはせることも重要なのだ。それは、おとなだからできない、こどもだからできる、ということではなく、すべての人間が人間らしくいるために心がけなければならないことのひとつなのだと考えられる。

(2005字)

感想文をスラスラ書くコツ
 

まとめ

 「おとな」が批判の対象になっていますが、すべての大人が悪いわけではなくて、想像力に欠けている人を批判しているのです。

※本文引用:『星の王子さま』 サン=テグジュペリ、河野万里子訳(新潮社・平成18年)
※キツネのことばを引用しましたが、長い文章を引用するときは「改行2字下げ」がルールです。

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