横浜DeNAベイスターズの応援歌にも取り入れられている横浜市歌を現代語訳しました。歌詞にある「まさるあらめや」の意味などをご確認ください。
「横浜市歌」(作詩:森林太郎(※鴎外)、作曲:南能衛)の歌詞
わが日の本は島国よ
朝日かがよふ 海に
連りそばだつ島々なれば
あらゆる国より舟こそ通へ
されば港の数 多かれど
この横浜にまさるあらめや
むかし思へば 苫屋の煙
ちらりほらりと立てりしところ
今は百舟 百千舟
泊るところぞ見よや
果なく栄えて行くらむ 御代を
飾る宝も入りくる港
※参考および楽譜引用:「横浜市歌について」(横浜市HP)https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/yokohamashi/gaiyo/shika/sika.html
「横浜市歌」の現代語訳
わたしたちが暮らす日本は島国であるよ。
朝日がきらきらとかがやく海に、
一列にならび、高くもりあがっている島々なので、
あらゆる国から船がやって来るのだ。
そうであるから、この世のなかに港はたくさんあるけれど、
この横浜よりもすぐれた港があるだろうか、いや、ないだろう。
むかしを思うと、ここは粗末な小屋の煙が、ちらほらと立ちのぼっていたに過ぎないところなのだが……。
それなのに、いまでは多くの船が
停泊するにぎやかなところになった。ご覧なさいよ、
終わりなく繁栄していくだろう御治世を
飾りたてる宝物までもが入ってくるこの港を。
「横浜市歌」の歌詞の意味
※引用は、特記のないかぎり『岩波 古語辞典 補訂版』(大野晋・佐竹昭広・前田金五郎 編集、岩波書店、1990年)によります。ただし、用例は割愛しました。
●かがよふ(う)……静止したものが、きらきらと光ってゆれる。
●そばだつ……①かどばって高く立つ。
●されば……そうであるから。だから。
●苫屋(とまや)……苫葺きの小屋。水辺の粗末な家にいう。
●百船(ももふね)……多くの舟。
●御代(みよ)……神や天皇の御治世。
「横浜市歌」の文法解説・品詞分解
この横浜にまさるあらめや
反語は疑問(~か)に似たかたちを取りますが、うしろに打消(~ではない)がかくれています。多くの場合、「~だろうか、いや、~でない」と訳します。
古文の「やは・かは・めや」はよく使われる反語表現です。
例)嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は いかにひさしき ものとかは知る(百人一首・右大将道綱母)
※古典文法は下記で解説しておりますので、ご覧ください。
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