最近はくずし字を勉強したいという方も多いと聞きます。しかし、手軽に勉強する方法がなかなか見つからない、という場合もあるので、簡単に勉強できる方法をご紹介します。アプリも不要なので難しい設定はまったくございません。
翻刻(ほんこく)とは
翻刻とは、くずし字を、普段私たちが使っている字の形に直すことです。
くずし字とは、文字通り「字の形をくずして」書かれたものです。くずし字で書かれた昔の文献(古文書・古典籍)を読む場合、翻刻され活字化されたものであれば、簡単に読める可能性もあるのですが、くずし字のままだとそもそも字を読みとるのに苦労します。そこで、くずし字を現在我々が普段使っている字の形に直す作業が必要になるのです。
つまり、くずし字が読めるようになるということは、翻刻ができるようになる、ということとほぼ同じなのです。
学習の手順
①ひらがなを読めるようにする
②漢字を読めるようにする
まずは、ひらがなを読めるようにするのが第一段階です。
ひらがなは、漢字の音を借りながら、形をくずして生まれたものです。現在は基本的に、一つの音に対して一つのひらがながあてられています。しかしそれは、明治33年(1900年)に「小学校令」が制定されて、一つの音に対して一つのひらがなをあてることが決められたからです。それ以前は、ひらがなにはたくさんの種類がありました。
上はひらがなの「あ」の代表的な例です。ひらがなのもととなる漢字のことを字母(じぼ)と言いますが、同じ音を表すひらがなでも、字母によって形が変わるのです。
このように、現在使われているひらがなと異なる形のかなを、変体仮名(へんたいがな)と言います。
この変体仮名を覚えるのが崩し字学習の第一段階ということです。
百人一首でくずし字学習
当サイトでは、多くの人が知っている百人一首を使ってくずし字を学ぶという企画で、江戸時代につくられた百人一首の本を翻刻して公開しております。
また、翻刻だけでなく、文法や言葉の解説もつけましたので、そもそも古典文法がよくわからないという初心者の方でも一から学べるように工夫しました。
さらに、ひらがなの字母もつけてあります。変体仮名の学習には、字母をきちんと把握することも大切なので、ぜひ参考にしていただきたいと存じます。
こちらは現代語訳一覧のページですが、ここから各歌を翻刻して解説したページに移動できますので、目次としてご利用ください。
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書いて覚えました
私は物覚えが悪いので、何度も書いて練習しました。
書いて覚えることと、読んで覚えること、どちらも大切なことだと思いますので、なかなか覚えられないときにはぜひ「手を動かす」ということをお試しください。
変体仮名の一覧を確認する方法
くずし字を勉強するときは『字典かな』を手元に置きながら進めていくのが良いと思いますが、当サイトでは変体仮名の一覧も公開中です。学習の参考としてご利用ください。
>> 【ひらがな】くずし字一覧
『字典かな』は、国文学専攻の学生が手元に置いて使う参考書です。私も大学時代から使っています。
漢字を参照するときは『くずし字解読辞典』を使います。漢字はこちらに網羅しています。もちろん私も持っています。
古典文法が苦手な方はこちらをチェック
そもそも古典文法が苦手という方はこちらの記事をご覧ください。苦手意識の克服のかぎは助動詞と助詞にあります。特に、助動詞の接続と、助詞の種類は必ず確認しなければならない分野です。
>> 古典文法の勉強法(基礎編)わかりやすい覚え方で用言の活用形から学ぶ