観劇記

国立劇場7月公演(2018年)歌舞伎鑑賞教室「日本振袖始」の感想

歌舞伎鑑賞教室日本振袖始

投稿日:2018年7月4日 更新日:

国立劇場の2018年7月公演、「日本振袖始」を見たので感想を書きます。(※役者・演者名は敬称略)

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目次

#歌舞伎見たよ

2階ロビーにて。歌舞伎国立劇場日本振袖始

2階ロビーにて。歌舞伎国立劇場日本振袖始

2階ロビーには、いかにもインスタ映えしそうな写真撮影用のパネルがありました。これを写真に収めて、SNSに「#歌舞伎見たよ」と投稿すると、たくさんの「いいね!」を獲得できるともっぱらのうわさです。
 

兄弟による上演

いっしょに観劇した連れ合いに「時蔵と錦之介は兄弟でしょ?」と訊かれたので、「いや、いとこでしょ」と適当に返したのですが、後で確認したところ、兄弟でした。

時蔵は菊五郎の相手役を演じることが多いので、錦之介と共演している記憶もなく、二人が兄弟という認識はうすかったです。2018年は「壽三代歌舞伎賑」・「裏表先代萩」・「立場の太平次」での共演がありましたが、舞台上に二人がそろう機会はそれほど多くありませんでした。「裏表先代萩」で細川勝元(錦之介)が登場するのは最後だけなので、政岡(時蔵)とやりとりすることもありませんし、また、「立場の太平次」でうんざりお松(時蔵)が田代屋をたずねた時に与兵衛(錦之介)は留守でしたから、同じ舞台に出演しているとはいえ、セリフをかわすなどの直接的なやりとりは少ないです。かろうじて、「立場の太平次」で、弥十郎妻皐月(時蔵)が与兵衛(錦之介)の切腹に居合わせる場面があるくらい、だと思います。

勘九郎・七之助の兄弟や、彦三郎・亀蔵の兄弟などが、二人そろって出演することが多いのに比べると、時蔵・錦之介の兄弟が共演することは少ないので、彼ら二人が舞台の中央にいて、なおかつ積極的なやりとりをする今回のような公演はめずらしいと言えます。
 

解説は坂東新悟

上演前に行なわれた解説の模様をまとめてみます。

解説は坂東新悟。父親の坂東彌十郎譲りの長身で、スタイル抜群です。新橋演舞場で見た「ワンピース」のサディちゃんが非常によかったので、注目している役者の一人です。

定式幕:国立劇場(黒・萌葱・柿)

定式幕:国立劇場(黒・萌葱・柿)

開演前からスッポンが開いていたので、「ここから登場するんだろうな」と思っていましたが、案の定、舞台が暗転して花道が照らされると、スッポンから新悟が現れました。

花道・揚幕・定式幕(黒・萌葱・柿)の説明の後、舞台中央に移って下手と上手の解説です。
 

下手(しもて)

客席から見て左側が下手。楽器を演奏する黒御簾(くろみす)について説明されました。今回は、演奏者が舞台に出てきて実演してくれました。

小鼓(こつづみ)の演奏者が二人登場して「こだま」をあらわす音楽を実演してくれました。

つづいて大太鼓(おおだいこ)が強い風が木々を吹き渡る音楽を実演。さらに笛と人だまが加わって、幽霊や妖怪が登場するときの音楽を実演してくれました。
 

上手(かみて)

客席から見て右側が上手。ツケと見得について説明されました。男の役(立役)と女の役(女形)の歩き方の違いを実演。
 

義太夫の実演

竹本が登場して「日本振袖始」の冒頭を実演。さらにはカラオケまで披露してくれました。
 

新悟は退場

おそらく上演の準備があるからだと思われますが、新悟は途中で退場し、あらすじを紹介するビデオが流され、解説は終了しました。
 

感想

くろごちゃんの今月の扮装はヤマタノオロチ(非売品)

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新悟の解説は終始柔和で、さすが女形の役者だと思いました。先月の巳之助の解説と一味ちがった趣きが感じられます。また、東武線大夫による大薩摩もよかったです。

「日本振袖始」は、シネマ歌舞伎で玉三郎の岩長姫、勘九郎の素戔嗚尊という配役で見られますので、興味のある方はご覧ください。

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