古典文法

上一段活用の覚え方 – ひいきにみゐる(ひいきにみいる)で覚える古文の動詞

上一段活用の覚え方 - ひいきにみゐる(ひいきにみいる)で覚える古文の動詞

投稿日:2018年6月23日 更新日:

古文の動詞の活用に上一段活用があります。これは種類が少ないので「ひいきにみいる上一段」とまとめて覚えるのが一般的です。

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目次

上一段動詞の覚え方

上一段活用活用の動詞は次のようなものです。

・ひる … 干る
・いる … 射る・鋳る・沃る
・きる … 着る
・にる … 煮る・似る
・みる … 見る・試みる
・ゐる … 居る・率る・率ゐる・用ゐる

「ひいきにみゐる上一段」とまとめて、代表的なものを覚えておきましょう。

ひいきにみゐる上一段

ひいきにみゐる上一段

・干る … かわく
・射る … 矢などをはなつ
・着る … 衣服を身につける
・似る … 同じように見える
・煮る … 水に入れて加熱する
・見る … 目にする
・居る … すわる
・率る … 引き連れる

ちなみに、「いる」はヤ行、「ゐる」はワ行です。

ア行は滅多になくて、下二段活用の「得(う)」・「心得(こころう)」・「所得(ところう)」などの例が見られるのみです。

「ゐる」は「すわる」

居る」(ゐる)という言葉は、「そこにいる」ことを意味することもありますが、もともと「座る」ことを意味する言葉です。

月の名前に「居待ち月」(いまちづき)というのがあります。これは「すわって待っていると出てくる月」という意味で、旧暦の18日の夜に出る月のことです。

昔の人はどうやら待ちくたびれると座ってしまうようなのです。

旧暦では毎月1日(ついたち)が新月(しんげつ)です。「月」が「立つ」(現れる/これから現れる)ので「つきたち」、さらに転じて「ついたち」と言うようになりました。
 

15日 → 望月

満月になるのは15日。満月は日没のころにのぼって、日の出のころに沈みます。「望月(もちづき)」とも言います。
 

16日 → 十六夜の月

次の16日は「十六夜(いざよひ)の月」です。「いざよふ」は「ためらう」の意味で、満月に比べて50分ほど遅く出るのでそのように言われます。
 

17日 → 立ち待ちの月

17日目が「立ち待ち月」(たちまちづき)です。満月に比べて1時間半ほど遅い時間に出ます。立って待っている間に出てくるのでそのように言われます。
 

18日 → 居待ちの月

18日目が前述の「居待ち月」です。「立ち待ち月」よりもさらに遅い時間に出るので、立って待っていられません。座っているうちに出て来るので「居待ち月」です。
 

19日 → 寝待ちの月

19日目が「寝待ちの月」「臥し待ちの月」です。前日よりもさらに遅い時間に出るので、横になって待ちます。寝て(臥して)待っていると出てくるので、「寝待ちの月」です。

以上のように、15日が満月。そこから、「十六夜 → 立待ち → 居待ち → 寝待ち」の順番で月の呼び名が変わっていきます。
 

上一段動詞の活用

上一段活用は「ア・イ・ウ・エ・オ」の「イ」の段のみで活用します。「い・い・いる・いる・いれ・いよ」ですね。
 

下一段

それに対して「ア・イ・ウ・エ・オ」の「エ」の段のみで活用する動詞を下一段活用と言い、種類は「蹴る」のみです。

下一段「蹴る」の覚え方

下一段「蹴る」の覚え方

 

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種類の少ない動詞から覚える

上一段・下一段に加えて、種類の少ないのが変格活用(へんかくかつよう)動詞で、不規則な変化をします。カ行変格活用・サ行変格活用・ナ行変格活用・ラ行変格活用なので、「カサナラ変」と覚えます。

・カ変 … 来(く)
・サ変 … す・おはす
・ナ変 … 死ぬ・往(い)ぬ・去(い)ぬ
・ラ変 … あり・をり・はべり・いまそかり

 

種類が多いのは四段・上二段・下二段

動詞のなかで種類が多いのが四段活用・上二段活用・下二段活用です。

四段活用・上二段活用・下二段活用の動詞がたくさんある

四段活用・上二段活用・下二段活用の動詞がたくさんある

 

四段動詞の例

「入る(いる)」「切る(きる)」は四段活用動詞です。上一段活用の「射る」「着る」と区別しなければなりません。
 

上二段活用動詞の例

「恨(うら)む」「恋(こ)ふ」が上二段活用動詞の代表例です。
 

下二段活用動詞の例

「植(う)う」「飢(う)う」「据(う)う」はワ行です。ア行ではないので注意が必要です。
 

古典文法の基本はここで確認

古文が苦手な方はこちらをチェック。

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古文・古典文法の解説

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