観劇記

歌舞伎座6月公演(2018年)「野晒悟助」を見た感想

歌舞伎座6月公演(2018年)野晒悟助

投稿日:2018年6月5日 更新日:

2018年歌舞伎座6月公演の昼の部「野晒悟助」(のざらしごすけ)を見てきたので、その感想を書きます。

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目次

簡単なあらすじ

※役者の名前(敬称略)であらすじを簡単に書きます。

米吉(よねきち)が住吉大社にお参りに来たところ、左団次(さだんじ)の手下どもにからまれる。そこを通りがかった菊五郎(きくごろう)が手下どもを追いはらって米吉を助ける。

翌日、米吉は母の東蔵(とうぞう)とともに菊五郎の家にお礼にやって来る。そして菊五郎と米吉が結婚。すると、左団次が手下を連れて仕返しにやって来て、菊五郎の額に傷をつける。

怒った菊五郎と左団次が天王寺でけんかする。二人で見得を切って、閉幕。
 

見どころ①祝言の場

菊五郎と米吉が祝言を挙げる場面では、劇場内でも笑いの声がたくさん起きていました。気楽に見られる場面なので、初心者の方でも楽しめると思います。
 

見どころ②菊五郎と左団次のケンカ

菊五郎が天王寺で左団次とケンカする場面は、派手な立ち回りの場面です。「音羽屋」の字が書かれた唐傘を使った演出が目にも鮮やかで楽しいです。
 

いつもの菊五郎劇団

ほかの出演俳優は団蔵に権十郎、橘太郎、といった菊五郎劇団のいつものメンバーです。菊之助も少しだけ出演。

いつか菊之助の野晒悟助を見てみたいなと思います。
 

九つ

菊五郎演じる野晒悟助が、「今日は母の命日だから、けんかはしないことに決めている。殴るなら好きなだけ殴れ」というようなセリフを言う場面があります。その後しばらくして鐘が鳴って、「九つを過ぎれば日付が変わる。もう母の命日ではないからケンカしてくる」と言って、最後のケンカの場面につながっていきます。

ここで言う「ここのつ」とは、子の刻(ねのこく)(午前0時頃)、または午の刻(うまのこく)(午後0時頃)を指します。今回は夜で、日付が変わる時間だから子の刻、つまり午前0時頃のことですね。

ちなみに、小田井(おだい)(※米吉)の母(※東蔵)が帰って行く場面の時刻は、たしか「いつつ」だったので、戌の刻(いぬのこく)(午後8時頃)です。

したがって、小田井の母が帰って行ってから、悟助と小田井が火打石で明かりをつけて、提婆仁三郎(※左団次)が手下と共に家に押しかけてきて帰って行くまでに、およそ4時間ほどの時間が経過していたことになります。
 

歌舞伎初心者におすすめ

笑えるような場面もあり、派手な立ち回りもあるので、歌舞伎をあまり見たことのない人も楽しめる作品だと思います。前回「野晒悟助」が上演されたのは1998年5月なので、20年ぶりの上演になります。

前回上演時に小田井を演じた時蔵が「妹背山婦女庭訓」でお三輪を演じています。

3階席にも空席が目立っていたので、まだチケットを買えるかもしれません。一幕見席で「野晒悟助」だけ見ることも可能です。リピーターの方、初心者の方もぜひご利用ください。

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