目次
原文
国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/pid/2567305)より引用(「▼」印は引用者による)。
翻刻(普段使っている字の形に直したもの)
入道前関白太政大臣右大臣に侍ける時百首哥讀せ侍けるに立春の心を 皇太后宮大夫俊成
けふといへばもろこしまでも行春を都にのみと思ひけるかな
釈文(わかりやすい表記)
入道前関白太政大臣、右大臣に侍りける時、百首歌、詠ませ侍りけるに、立春の心を 皇太后宮大夫俊成
けふと言へばもろこしまでもゆく春を都にのみと思ひけるかな
字母(ひらがなのもとになった漢字)
遣不止以部八゛毛路己之満天゛毛行春越都尓乃三登思比遣留加那
現代語訳
入道前関白太政大臣(藤原兼実)が、右大臣でしたとき、百首歌を詠ませましたところ、立春の心を(詠んだ歌) 皇太后宮大夫俊成(藤原俊成)
今日は立春だと言うので、はるか唐土までも行きわたる春を、この都にだけ訪れたものだと思っていたよ。
語釈と文法、品詞分解など
右大臣に侍りける時
「右大臣でした時」「右大臣でございました時」の意味。「に+あり」の形で断定(~である)を表す場合は多い。ここでは「あり」の丁寧語の「侍り」が用いられている。
- に 断定の助動詞「なり」連用形
- 侍り ラ行変格活用動詞「侍り」連用形。「あり」の丁寧語。
- ける 過去の助動詞「けり」連体形
百首歌(ひゃくしゅ(の)うた)
いくつかの題につき、各題ごとに一定数の歌を詠み、合計百首になるようにする題詠法。(岩波『古語辞典』)
けふ(今日)と言へば
「今日は立春だと言うので」の意味。
- と 格助詞
- 言へ ハ行四段活用動詞「言ふ」已然形
- ば 接続助詞。「已然形+ば」で順接確定条件を表す。ここでは原因(~ので)の意味。
唐土(もろこし)までも
- もろこし 名詞。「昔、わが国で、中国を呼んだ称。(岩波『古語辞典』)」
- まで 副助詞
- も 係助詞
都(みやこ)にのみと思ひけるかな
- 都 名詞。
- に 格助詞
- のみ 副助詞
- と 格助詞
- 思ひ ハ行四段活用動詞「思ふ」連用形
- ける 過去の助動詞「けり」連体形
- かな 終助詞。詠嘆(~だなあ)の意味。


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