新古今和歌集 春歌上

かきくらしなほふる里の雪のうちに跡こそ見えね春は来にけり(宮内卿)

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原文

かきくらしなほふる里の雪のうちに跡こそ見えね春は来にけり(宮内卿)

国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/pid/2567305)より引用(「▼」印は引用者による)。

翻刻(普段使っている字の形に直したもの)

  五十首哥たてまつりしとき  宮内卿
かきくらし猶ふる里の雪のうちに跡こそみえねはるは来にけり

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釈文(わかりやすい表記)

  五十首歌、奉りし時  宮内卿
かきくらしなほふる里の雪のうちに跡こそ見えね春は来にけり

字母(ひらがなのもとになった漢字)

可起久良之猶不留里能雪乃宇知尓跡己曽美衣禰者流盤来仁介利

現代語訳

  五十首歌を献上した時  宮内くないきょう
辺り一面を暗くして、相変わらず古里に降る雪の中に、人のように足跡は見えないけれども、春は訪れたのだ。

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語釈と文法、品詞分解など

奉りし時

「差し上げた時」「献上した時」の意味。

  • 奉り ラ行四段活用動詞「奉る」連用形。「与ふ」の謙譲語。
  • し 過去の助動詞「き」連体形

掻き暗し(かきくらし)

かき乱したように、辺り一面を暗くする。(岩波『古語辞典』)

  • かきくらし サ行四段活用動詞「かきくらす」連用形

なほふる里の雪

「相変わらず古里に降る雪」の意味。「ふる」は「降る」と「古る」の掛詞(かけことば)で、「なほ降る雪」と「古里」を掛ける。

  • なほ 副詞
  • ふる ラ行四段活用動詞「ふる」連体形

跡こそ見えね

「こそ」は係助詞で、已然形の係り結びをする。一般的に、文の途中の「こそ+已然形」は逆接(~けれど)で訳す。

  • 跡 名詞。「足の踏む所。踏んだ所。(岩波『古語辞典』)」
  • こそ 係助詞
  • 見え ヤ行下二段活用動詞「見ゆ」未然形
  • ね 打消の助動詞「ず」已然形(※係り結び)

来にけり

  • き カ行変格活用動詞「来(く)」連用形
  • に 完了の助動詞「ぬ」連用形
  • けり 過去の助動詞「けり」終止形
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