古文の敬語がよくわからない方のために、敬語の見分け方や覚え方をご紹介します。尊敬語・謙譲語・丁寧語、それぞれの敬語の一覧を確認しながら、古典の敬語の基本をおさえていくのが重要です。
目次
敬語の種類
尊敬語
その敬語を使った人から、動詞の主語に敬意をはらう。
※主語……「が・は」の前にある言葉
謙譲語
その敬語を使った人から、動詞の目的語に敬意をはらう。
※目的語……「を・に・と・より」の前にある言葉
丁寧語
その敬語を使った人から、聞き手(地の文なら読み手)に敬意をはらう。
※敬語を使った人とは、多くの場合、本文の書き手・作者を指します。
古文の敬語のポイント
敬語の順番
敬語を接続させて使うとき、順番が必ず決まっています。
謙譲語・尊敬語・丁寧語
以上の敬語の順番です。
謙譲語・尊敬語・丁寧語の順番だから、「けんそんてい」と覚えましょう。
二方面の敬語
謙譲語 + 尊敬語
謙譲語で目的語に敬意をはらい、尊敬語で主語に敬意をはらうので、二方面の敬語です。動詞の主語と目的語、二人とも敬語を使った人よりも身分の高い人の場合に見られます。
最高敬語(二重敬語)
尊敬語をかさねて使います。尊敬語のダブルです。
動詞の主語に最高級の敬意をはらいます。
例)
・せ給ふ
・させ給ふ
・しめ給ふ
・おほせらる
・おほせ給ふ
など
自敬表現
自分自身に敬意をはらいます。天皇などの高貴な人物が使います。
敬意の度合い
長くて大げさなほど、大きい敬意をはらいます。
例)
・おほん > おん > お
・おぼしめす > おぼす
・きこえさす > きこゆ
古典の尊敬語の一覧表
尊敬語の「たてまつる」
「たてまつる」は動詞の後ろについて「~し申し上げる」という謙譲語の使われ方で目にすることが多いので、尊敬語の使い方があることを意外に思われるかもしれません。
そして、「着る」「食う」「乗る」の3つの動詞の尊敬語なので、覚えるのが大変です。
そんなときはリズムに乗って語呂合わせで覚えましょう。次のような感じです。
たてまつる 差し上げる 着る食う乗るの 尊敬だ
以上のようにリズムに乗って30回くらい音読すると覚えられます。
この方法は下記の古文単語帳にのっている覚え方です。
私が受験生時代に使っていた単語帳です。上記のように頻出単語を語呂合わせで覚えられるように並べられています。ほかの敬語の語呂合わせものっているので役に立つと思います。
古典の謙譲語の一覧表
まゐる・まうづ・まかる・まかづ
まゐる・まうづ・まかる・まかづ、いずれも目的語に敬意をはらう謙譲語ですが、出発地に敬意をはらうグループと、目的地に敬意をはらうグループにわかれます。
以上のような使い分けをします。
現在でも「まうづ」や「まゐる」は形を変えて普通に使われている言葉です。お正月になると「初もうで」をする方も多いと思います。これは「まうづ」が「もうで」という名詞になった形です。また、三重県の伊勢神宮にお参りすることを「お伊勢参り」と言うこともありますが、これは「まゐる」が「まいり」という名詞になった形です。
「初もうで」も「お伊勢参り」も、どちらも目的地の神社に敬意をはらう言葉ですね。
以上の例で少しは覚えやすくなるかと思います。
古典の丁寧語の一覧表
実際に古文を読むのが重要
それぞれの敬語と、もとになった動詞・意味を覚えればだいたいOKです。そして、その次は実際に古文を読んでいくのが重要です。
この本に入試に出た敬語の問題が収められているので、確認すると効果的です。問題をくり返し解いて、古文を得意科目にしてしまいましょう。
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また、百人一首を品詞分解して現代語訳と文法解説をつけたページもございますので、勉強のテキストとしてぜひご利用ください。
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