古典文法

古文の敬語の覚え方 – 一覧で種類や対象を確認するのが見分け方の基本

古文の敬語の覚え方 - 一覧で種類や対象を確認するのが見分け方の基本

投稿日:2018年5月10日 更新日:

古文の敬語がよくわからない方のために、敬語の見分け方や覚え方をご紹介します。尊敬語・謙譲語・丁寧語、それぞれの敬語の一覧を確認しながら、古典の敬語の基本をおさえていくのが重要です。

Sponsored Link

敬語の種類

 

尊敬語

その敬語を使った人から、動詞の主語に敬意をはらう。
※主語……「が・は」の前にある言葉

尊敬語:先生がおほせらる

尊敬語:先生がおほせらる

 

謙譲語

その敬語を使った人から、動詞の目的語に敬意をはらう。
※目的語……「を・に・と・より」の前にある言葉

謙譲語:先生より賞状をたまはる

謙譲語:先生より賞状をたまはる

 

丁寧語

その敬語を使った人から、聞き手(地の文なら読み手)に敬意をはらう。

丁寧語:犬、多くはべりけり

丁寧語:犬、多くはべりけり

※敬語を使った人とは、多くの場合、本文の書き手・作者を指します。
 

古文の敬語のポイント

 

敬語の順番

敬語を接続させて使うとき、順番が必ず決まっています。

謙譲語・尊敬語・丁寧語

以上の敬語の順番です。

謙譲語→尊敬語→丁寧語

謙譲語→尊敬語→丁寧語

謙譲語・尊敬語・丁寧語の順番だから、「けんそんてい」と覚えましょう。
 

二方面の敬語

謙譲語 + 尊敬語

謙譲語で目的語に敬意をはらい、尊敬語で主語に敬意をはらうので、二方面の敬語です。動詞の主語と目的語、二人とも敬語を使った人よりも身分の高い人の場合に見られます。
 

最高敬語(二重敬語)

尊敬語をかさねて使います。尊敬語のダブルです。

最高敬語(二重敬語)

最高敬語(二重敬語)

動詞の主語に最高級の敬意をはらいます。

例)
・せ給ふ
・させ給ふ
・しめ給ふ
・おほせらる
・おほせ給ふ

など
 

自敬表現

自分自身に敬意をはらいます。天皇などの高貴な人物が使います。
 

敬意の度合い

長くて大げさなほど、大きい敬意をはらいます。

例)
・おほん > おん > お
・おぼしめす > おぼす
・きこえさす > きこゆ
 

Sponsored Link

古典の尊敬語の一覧表

古文の尊敬語一覧

古文の尊敬語一覧

 

尊敬語の「たてまつる」

「たてまつる」は動詞の後ろについて「~し申し上げる」という謙譲語の使われ方で目にすることが多いので、尊敬語の使い方があることを意外に思われるかもしれません。

そして、「着る」「食う」「乗る」の3つの動詞の尊敬語なので、覚えるのが大変です。

そんなときはリズムに乗って語呂合わせで覚えましょう。次のような感じです。

たてまつる 差し上げる 着る食う乗るの 尊敬だ

以上のようにリズムに乗って30回くらい音読すると覚えられます。

この方法は下記の古文単語帳にのっている覚え方です。

私が受験生時代に使っていた単語帳です。上記のように頻出単語を語呂合わせで覚えられるように並べられています。ほかの敬語の語呂合わせものっているので役に立つと思います。

 

古典の謙譲語の一覧表

古文の謙譲語一覧

古文の謙譲語一覧

 

まゐる・まうづ・まかる・まかづ

まゐる・まうづ・まかる・まかづ、いずれも目的語に敬意をはらう謙譲語ですが、出発地に敬意をはらうグループと、目的地に敬意をはらうグループにわかれます。

まゐる・まうづ・まかる・まかづ

まゐる・まうづ・まかる・まかづ

以上のような使い分けをします。

現在でも「まうづ」や「まゐる」は形を変えて普通に使われている言葉です。お正月になると「初もうで」をする方も多いと思います。これは「まうづ」が「もうで」という名詞になった形です。また、三重県の伊勢神宮にお参りすることを「お伊勢参り」と言うこともありますが、これは「まゐる」が「まいり」という名詞になった形です。

「初もうで」も「お伊勢参り」も、どちらも目的地の神社に敬意をはらう言葉ですね。

以上の例で少しは覚えやすくなるかと思います。
 

古典の丁寧語の一覧表

古文の丁寧語一覧

古文の丁寧語一覧

 

Sponsored Link

実際に古文を読むのが重要

それぞれの敬語と、もとになった動詞・意味を覚えればだいたいOKです。そして、その次は実際に古文を読んでいくのが重要です。

この本に入試に出た敬語の問題が収められているので、確認すると効果的です。問題をくり返し解いて、古文を得意科目にしてしまいましょう。

 

古文が苦手な方はこちらの記事もチェック

古典が苦手な方はこちらの記事もご覧ください。

>> 古典文法の勉強法(基礎編)わかりやすい覚え方で用言の活用形から学ぶ

また、百人一首を品詞分解して現代語訳と文法解説をつけたページもございますので、勉強のテキストとしてぜひご利用ください。

>> 百人一首の現代語訳一覧(わかりやすい意味と解説で恋の歌も簡単に理解)

ホーム

Sponsored Link

-古典文法
-,

執筆者:

古文・古典文法の解説

  ➤ 文法基礎動詞
  ➤ 形容詞形容動詞
  ➤ 助詞助動詞
  ➤ 敬語参考書
  ➤ 古文単語単語帳


Sponsored Link



comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

関連記事

古典文法の勉強法(基礎編)わかりやすい覚え方で用言の活用形から学ぶ

古典文法の勉強法(基礎編)わかりやすい覚え方で用言の活用形から学ぶ

古典文法の勉強法について基本的なことからご紹介します。古文を苦手に感じている方も、もう一度、古典文法の基礎を見なおすことで、古文を読む力が上がっていきます。動詞や助動詞の接続や活用も、きちんと対策すれ …

助動詞「る・らる」の活用・意味・識別を解説

古文の助動詞「る・らる」の活用・意味・識別を解説。

古文の助動詞「る」「らる」には、受身・尊敬・可能・自発の4つの用法がありますが、「自発と可能、どっちの意味なのか区別がつかない」、「他の助動詞との違いが分からない」という悩みはよく聞かれます。 &nb …

古文の助詞の覚え方 - まずは種類の確認から

古文の助詞の覚え方 – まずは種類の確認から

古文の助詞は地味で見おとされやすい分野ですが、古典文法の中では助動詞と並んで最も重要な項目の一つです。助詞の種類を覚えておくと品詞分解もしやすくなるので、「助詞の知識はいらない」というのは間違いです。 …

上一段活用の覚え方 - ひいきにみゐる(ひいきにみいる)で覚える古文の動詞

上一段活用の覚え方 – ひいきにみゐる(ひいきにみいる)で覚える古文の動詞

古文の動詞の活用に上一段活用があります。これは種類が少ないので「ひいきにみいる上一段」とまとめて覚えるのが一般的です。 目次1 上一段動詞の覚え方1.1 「ゐる」は「すわる」2 上一段動詞の活用2.1 …

体言止めの意味や効果を例文で解説!句読点や反対の意味は?

体言止めの意味や効果を例文で解説!句読点や反対の意味は?

体言止めの使い方や意味を、例文をまじえながら解説します。そもそも体言とは何か、というところからご説明しますので、文法が苦手な方も大丈夫です。また、「体言止めに句点は必要?」、「体言止めの反対は?」など …


運営者 : honda
都内の私立大学 文学部国文学専攻出身
お菓子メーカー勤務のサラリーマン
趣味は歌舞伎を見ること(2012年~)
古文や古典を楽しむ人が一人でも増えればよいなと考えながら情報発信しております。
その他、趣味で始めたプログラミングに関することや、通信制大学(放送大学)、各種資格試験の体験談などについても、記事にまとめております。


Sponsored Link