古文(古典)の助動詞「まほし」の意味や活用、接続について、例文を交えながら解説します。また、「まほし」以外の希望・願望表現である「たし」「ばや」「なむ」などとの比較・違いも説明します。
- 「まほし」は平安時代から使われるようになった。
- 「たし」が平安時代後期に登場。のちに「まほし」に代わってよく使われるようになり、現代語の「たい」に変化した。
目次
「まほし」の活用
形容詞型
基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
まほし | (まほしく) | まほしく | まほし | まほしき | まほしけれ | ○ |
まほしから | まほしかり | ○ | まほしかる | ○ | ○ |
「まほし」の接続
未然形
「まほし」の意味
- 希望(願望)「~たい」「~てほしい」
「まほし」は、希望(願望)を表す助動詞です。自身に対する希望(~たい)や、他者に対する希望(~てほしい)を表現します。
※「希望」「願望」の表記は参考書・文法書によって異なります。
希望(きぼう)「~たい」「~てほしい」
希望や願望を表す「まほし」には次のような例があります。
その他の希望・願望表現①「たし」
助動詞「たし」も希望(~たい、~てほしい)を表します。平安時代後期に見られるようになった表現で、現代語の「~たい」に変化していきます。
「たし」は活用語の連用形に接続します。
その他の希望・願望表現②「ばや」
終助詞「ばや」は、自身に対する希望(~たい)を表します。
「ばや」は活用語の未然形に接続します。
その他の希望・願望表現③「なむ」
終助詞「なむ」は、他者に対する希望(~てほしい)を表します。
「なむ」は活用語の未然形に接続します。
※参考文献
・『実例詳解 古典文法総覧』小田勝、和泉書院、2015年
・『改訂増補 古文解釈のための国文法入門』松尾聰、筑摩書房(ちくま学芸文庫)、2019年
・『吉野式古典文法スーパー暗記帖 完璧バージョン』吉野敬介、学研プラス、2014年
※本文引用
・『新編日本古典文学全集 源氏物語』阿部秋生・今井源衛・秋山虔・鈴木日出男、小学館、1994年
・『新編日本古典文学全集 (26) 和泉式部日記 紫式部日記 更級日記 讃岐典侍日記』藤岡忠美・中野幸一・犬養廉・石井文夫、小学館、1994年
・『新編日本古典文学全集 平家物語』市古貞次、小学館、1994年